109 / 126
京谷小雨の日常&Fall in the moonlight ジャンル:コメディ&ホラー
9月17日(3) 小雨
しおりを挟む
我が家の前に、黒塗りのタクシーが停まった。追突したら示談の条件が問題になりそうなやつだ。もちろん、私が呼んだわけではない。
後部座席の扉が開き、ぴったりと揃えられた華奢な足首、鮮やかな紅色のパンプスが地面に下ろされる。
一歩足を踏み出すたびに、白いワンピースのスカートが揺れている。涼しげなオフショルからのぞく肩は、長い夏を経ても尚、ワンピースと見分けがつかないくらい白かった。
不意に吹き付けた夜風に、ゆるくウェーブのかかったことりベージュの髪が靡く。
西洋の宗教画に描かれていてもおかしくないぐらい、神々しさを覚えるその姿。でも、彼女は女神でも天使でもない。
西野園真紀。私の親友、瞬の彼女。
私より一足先に二十歳を迎えたはずなのに、彼女にはまだ、どこか少女のような可憐さがある。にもかかわらず、彼女を包む圧倒的なオーラはなんだろう。今の真紀は、とても自信に満ち溢れている、そんな印象を受ける。
「ごめん、待った?」
「いや、全然」
真紀は、車も運転免許も持っていない。私は免許を持っているので、父から車を借りて迎えに行こうか、と打診したのだが、『せっかく二十歳の誕生日なんだから、アルコールも飲もうよ』との彼女の仰せによって、贅沢なタクシーでのお出迎えとなったわけだ。
黒塗りの高級タクシーに揺られて辿り着いたのは、大通りから数本裏に入った、寂れた一角にぽつんと佇むレストラン。周囲のうらぶれた雰囲気からは明らかに浮いている、オシャンティなレストランだ。入り口に掲げられた看板には『Poisson d'or』の文字。英語ではなさそうだけど、何語だろ、これ?
「さ、着いたよ」
「え、ここ?」
「そうだよ、今日は私の奢りだから、お腹いっぱい食べてね」
奢りと言っても、真紀はバイトをしていない。彼女の資金源はもっぱら両親名義のカードなのである。ああ羨ましい。先日偶然バイト先にやってきた彼女の母親の顔が思い起こされて、なんだか申し訳なくなってきた。
タクシーを降り、改めて店の外装を眺める。それにしても、こんなオシャンティな店に来るんだったら、事前にそう言っておいてほしかった。私はまだ、夕方に瀬名家で慌てて着替えたTシャツとショーパンのままなのだ……。
「ここ、高いんじゃないの?それにほら、あたしこんな格好だし……」
「大丈夫大丈夫、シェフとも奥さんとも知り合いだし、そんなに人も来ないし、それに私だってこんな格好だもの」
真紀はそう言うと、その場でくるりと回って見せた。確かに若干布の量は少なめだが、所謂ファストファッションには全く見えない。それともなにか、美人が着ているから何となくおしゃれに見えているだけなのか。モデルが着ているのを見てめっちゃかわいいと思って買った服を自分で着てみたら意外とそうでもなかったという、よくあるやつの逆パターンか?
敗北感にうちひしがれた私に追い討ちをかけるように放たれた真紀の一言。
「瞬とだって何回か来たことあるし、そんな肩肘張らないで。おいしいんだよぉ、ここ」
くっそ〜。あいつ、そんなこと一言も言ってなかったぞ。
自分の生来のポーカーフェイス(仏頂面とも言う)を、この時ほどありがたいと思ったことはない。
真紀の後ろに隠れるようにして恐る恐る店に入ると、ショートカットで快活そうな雰囲気の美人ウエイトレスが私達を出迎えた。
「いらっしゃいませ……あら、今日はお友達とご一緒ですか?」
「こんばんは。ええ、そうなんです。今日は彼女の誕生日で……珍しいでしょう?」
真紀と美人ウエイトレスは随分打ち解けている様子だ。そこまで常連なのだろうか。
「お二人でのご予約でしたから、てっきりまたボーイフレンドとご一緒にいらっしゃるのかと」
「ふふ。たまには、女同士でじっくりね。『女子会』っていうのかな、これ?」
店内は明るく落ち着いた雰囲気で統一されており、照明のシャンデリアがいかにもオシャンティ。BGMはクラシックで、こんなのをずっと聴いていると眠くなってしまいそうだ。私達の他に客は二組、土曜の夜にしてはちょっと少ないような気がする。
私達が通されたのは窓際のテーブルで、私と真紀はお互いに向かい合って座った。
「じゃあ、改めて、お誕生日おめでとう、小雨。これでお互い大人だね」
「ありがとう……でも、なんか全然実感がないよね。子供の頃は、二十歳っていったらもう別世界の大人ってイメージだったのに、いざ自分がその年齢になってみるとなんにも変わらなくて」
「うんうん、わかる、それ」
真紀はそう言うと、おもむろに、ブランド物のハンドバッグから何かを取り出す。
「はい、これ……何にしようか、ちょっと迷ったんだけど」
差し出されたのは、赤い包装紙の小包だった。前面に小さく結んであるリボンがとてもかわいらしい。受け取ってみると、見た目の割にはズシリと手にくるものがあった。
「わあ、ありがとう……なんか、包装すごいかわいい!」
「ふふ。どうぞ、開けてみて」
言われるままに開封してみると、中から出てきたのは、カラフルでかわいらしい二つの小瓶。片方は薄いピンク、もう片方は薄い黄色だ。
「なあに? これ……」
「それね、ボディスクラブなの。お風呂上りとかに使うとすべすべになるよ!」
なななんと、二十年の人生で全く縁がなかった美容アイテムか!
ラベルは全て英語で書いてあるし、色合いもヨーグルトみたいな感じだから、保管場所に注意しないとうちのバカが食べてしまうかもしれない。鮫太郎ならやりかねん。
あ、そういえば。
「ねえ真紀、そういえば、この間言ってた不審者だっけ? ベランダに出たやつ。あれ、どうなったの?」
すると真紀は、少し俯き加減で首を傾いだ。
「ああ、あれね……うん、多分、解決したと思う……」
「犯人捕まったの?」
「ううん、そうじゃなくて……でも、多分、もう現れないはず」
なんだろう、歯切れの悪さが少し気になった。
そうこうしているうちに、私達のテーブルにもワインが運ばれてきた。
参ったなあ。ワインはあまり飲み慣れていないし、アルコール度数の高い酒は未だに得意ではない。二十歳になって早々、こんなオシャンティな店で昨日のように正体を失って赤っ恥をかいてしまうようなことは何としても避けたい。
グラスに注がれたワインの色は、ウェルチみたいな深い紅色をしていた。
「小雨もようやく大手を振ってお酒が飲めるようになったね」
真紀がワインの香りを楽しみながら言った。
「う、うん、まあね」
いや、まあ、これまでも特に遠慮なんてしていなかったけど……。そもそも真紀だって未成年の頃からワインをガブガブ飲んでた(※)じゃないか。
「ところで、そのネックレス、サファイアだよね?」
「あ、うん。サファイアだよ。本物の宝石なんて身に着けたことがないから、なんか浮いちゃいそうで……」
「ううん、すごく似合ってるよ。とっても綺麗……誰から貰ったの?」
真紀の屈託のない笑顔が、私に無言の圧力をかける。
言ってしまおうか?
瞬から貰った、と。
……いや、
私には無理だ。
こんな時、何の遠慮もなく『これはあなたの彼氏からのプレゼントだ』と言えるような性格だったら、もっと人生を楽しめるんだろうか。
「ああ、これね、自分で買ったんだよ。自分へのプレゼント」
弱いなあ、私。
「へえ、そうなんだ……いいじゃん、そういうの。私もいつか、自分で稼いだお金で自分へのプレゼントを買ってみたいな」
これ、普通の金持ちの女に言われたら嫌味にしか聞こえない発言だと思うのだが、真紀が言うとあまり不快に感じないから不思議である。いや、真紀が同性に嫌われやすいのは多分こういうことを無神経に言ってしまうからなんだけど、私は彼女がそんな嫌味を言うような人間ではないということをよく知っている。それがおそらく、私が真紀の唯一の親友である理由だ。
ワインに口をつけた真紀の胸元で、ダイヤモンドのネックレスが眩く輝いている。
四月の誕生石、ダイヤモンド。彼女の誕生日に、瞬がプレゼントしたものだ。
彼女の実家は裕福だから、きっとこれぐらいのアクセサリーはいくつも持っているに違いない。にもかかわらず、瞬から貰ったの、と話す真紀の喜びようは大変なものだった。
私のネックレスと真紀のネックレス、どちらが高いんだろう。
真紀は、私と瞬の関係にきっとまだ気付いていない。
舞台裏ではこんなドロドロの事態に発展しているわけなのだが、私は恋敵であるはずの彼女のことを、未だに憎みきれないでいる。
そもそも、真紀は全くの正攻法で瞬の心を射止めたのだ。
後ろ暗いことなどどこにもない。
コソコソ寝取ろうとしているだけの私が、どうして彼女を非難できようか。
一昨日の夜のことが脳裏を掠める。
おそらくあの夜、瞬は真紀の部屋で夜を明かしたのだろう。
そうか、そういうことか。
今日の真紀から溢れ出る自信は。
こんな歪な三角関係が、果たしていつまで続くのか、続けられるのか、私にはわからない。
でも、きっと、壊れるときに弾きだされるのは私の方だろう。
何となくそれがわかっているから、自分から壊したいとは思わない。
今のところは。
ウエイトレスが前菜を運んできた。料理の量に比べて、皿がやたらとでかい。真紀はこんな量で満足できるんだろうか? こんなにか細いのに、彼女は意外とよく食べるのだ。
おいしそうな料理を前にして、真紀は天使のように微笑みながら言った。
「さあ、食べましょう。ほっぺたが落ちるほど美味しいよ!」
後部座席の扉が開き、ぴったりと揃えられた華奢な足首、鮮やかな紅色のパンプスが地面に下ろされる。
一歩足を踏み出すたびに、白いワンピースのスカートが揺れている。涼しげなオフショルからのぞく肩は、長い夏を経ても尚、ワンピースと見分けがつかないくらい白かった。
不意に吹き付けた夜風に、ゆるくウェーブのかかったことりベージュの髪が靡く。
西洋の宗教画に描かれていてもおかしくないぐらい、神々しさを覚えるその姿。でも、彼女は女神でも天使でもない。
西野園真紀。私の親友、瞬の彼女。
私より一足先に二十歳を迎えたはずなのに、彼女にはまだ、どこか少女のような可憐さがある。にもかかわらず、彼女を包む圧倒的なオーラはなんだろう。今の真紀は、とても自信に満ち溢れている、そんな印象を受ける。
「ごめん、待った?」
「いや、全然」
真紀は、車も運転免許も持っていない。私は免許を持っているので、父から車を借りて迎えに行こうか、と打診したのだが、『せっかく二十歳の誕生日なんだから、アルコールも飲もうよ』との彼女の仰せによって、贅沢なタクシーでのお出迎えとなったわけだ。
黒塗りの高級タクシーに揺られて辿り着いたのは、大通りから数本裏に入った、寂れた一角にぽつんと佇むレストラン。周囲のうらぶれた雰囲気からは明らかに浮いている、オシャンティなレストランだ。入り口に掲げられた看板には『Poisson d'or』の文字。英語ではなさそうだけど、何語だろ、これ?
「さ、着いたよ」
「え、ここ?」
「そうだよ、今日は私の奢りだから、お腹いっぱい食べてね」
奢りと言っても、真紀はバイトをしていない。彼女の資金源はもっぱら両親名義のカードなのである。ああ羨ましい。先日偶然バイト先にやってきた彼女の母親の顔が思い起こされて、なんだか申し訳なくなってきた。
タクシーを降り、改めて店の外装を眺める。それにしても、こんなオシャンティな店に来るんだったら、事前にそう言っておいてほしかった。私はまだ、夕方に瀬名家で慌てて着替えたTシャツとショーパンのままなのだ……。
「ここ、高いんじゃないの?それにほら、あたしこんな格好だし……」
「大丈夫大丈夫、シェフとも奥さんとも知り合いだし、そんなに人も来ないし、それに私だってこんな格好だもの」
真紀はそう言うと、その場でくるりと回って見せた。確かに若干布の量は少なめだが、所謂ファストファッションには全く見えない。それともなにか、美人が着ているから何となくおしゃれに見えているだけなのか。モデルが着ているのを見てめっちゃかわいいと思って買った服を自分で着てみたら意外とそうでもなかったという、よくあるやつの逆パターンか?
敗北感にうちひしがれた私に追い討ちをかけるように放たれた真紀の一言。
「瞬とだって何回か来たことあるし、そんな肩肘張らないで。おいしいんだよぉ、ここ」
くっそ〜。あいつ、そんなこと一言も言ってなかったぞ。
自分の生来のポーカーフェイス(仏頂面とも言う)を、この時ほどありがたいと思ったことはない。
真紀の後ろに隠れるようにして恐る恐る店に入ると、ショートカットで快活そうな雰囲気の美人ウエイトレスが私達を出迎えた。
「いらっしゃいませ……あら、今日はお友達とご一緒ですか?」
「こんばんは。ええ、そうなんです。今日は彼女の誕生日で……珍しいでしょう?」
真紀と美人ウエイトレスは随分打ち解けている様子だ。そこまで常連なのだろうか。
「お二人でのご予約でしたから、てっきりまたボーイフレンドとご一緒にいらっしゃるのかと」
「ふふ。たまには、女同士でじっくりね。『女子会』っていうのかな、これ?」
店内は明るく落ち着いた雰囲気で統一されており、照明のシャンデリアがいかにもオシャンティ。BGMはクラシックで、こんなのをずっと聴いていると眠くなってしまいそうだ。私達の他に客は二組、土曜の夜にしてはちょっと少ないような気がする。
私達が通されたのは窓際のテーブルで、私と真紀はお互いに向かい合って座った。
「じゃあ、改めて、お誕生日おめでとう、小雨。これでお互い大人だね」
「ありがとう……でも、なんか全然実感がないよね。子供の頃は、二十歳っていったらもう別世界の大人ってイメージだったのに、いざ自分がその年齢になってみるとなんにも変わらなくて」
「うんうん、わかる、それ」
真紀はそう言うと、おもむろに、ブランド物のハンドバッグから何かを取り出す。
「はい、これ……何にしようか、ちょっと迷ったんだけど」
差し出されたのは、赤い包装紙の小包だった。前面に小さく結んであるリボンがとてもかわいらしい。受け取ってみると、見た目の割にはズシリと手にくるものがあった。
「わあ、ありがとう……なんか、包装すごいかわいい!」
「ふふ。どうぞ、開けてみて」
言われるままに開封してみると、中から出てきたのは、カラフルでかわいらしい二つの小瓶。片方は薄いピンク、もう片方は薄い黄色だ。
「なあに? これ……」
「それね、ボディスクラブなの。お風呂上りとかに使うとすべすべになるよ!」
なななんと、二十年の人生で全く縁がなかった美容アイテムか!
ラベルは全て英語で書いてあるし、色合いもヨーグルトみたいな感じだから、保管場所に注意しないとうちのバカが食べてしまうかもしれない。鮫太郎ならやりかねん。
あ、そういえば。
「ねえ真紀、そういえば、この間言ってた不審者だっけ? ベランダに出たやつ。あれ、どうなったの?」
すると真紀は、少し俯き加減で首を傾いだ。
「ああ、あれね……うん、多分、解決したと思う……」
「犯人捕まったの?」
「ううん、そうじゃなくて……でも、多分、もう現れないはず」
なんだろう、歯切れの悪さが少し気になった。
そうこうしているうちに、私達のテーブルにもワインが運ばれてきた。
参ったなあ。ワインはあまり飲み慣れていないし、アルコール度数の高い酒は未だに得意ではない。二十歳になって早々、こんなオシャンティな店で昨日のように正体を失って赤っ恥をかいてしまうようなことは何としても避けたい。
グラスに注がれたワインの色は、ウェルチみたいな深い紅色をしていた。
「小雨もようやく大手を振ってお酒が飲めるようになったね」
真紀がワインの香りを楽しみながら言った。
「う、うん、まあね」
いや、まあ、これまでも特に遠慮なんてしていなかったけど……。そもそも真紀だって未成年の頃からワインをガブガブ飲んでた(※)じゃないか。
「ところで、そのネックレス、サファイアだよね?」
「あ、うん。サファイアだよ。本物の宝石なんて身に着けたことがないから、なんか浮いちゃいそうで……」
「ううん、すごく似合ってるよ。とっても綺麗……誰から貰ったの?」
真紀の屈託のない笑顔が、私に無言の圧力をかける。
言ってしまおうか?
瞬から貰った、と。
……いや、
私には無理だ。
こんな時、何の遠慮もなく『これはあなたの彼氏からのプレゼントだ』と言えるような性格だったら、もっと人生を楽しめるんだろうか。
「ああ、これね、自分で買ったんだよ。自分へのプレゼント」
弱いなあ、私。
「へえ、そうなんだ……いいじゃん、そういうの。私もいつか、自分で稼いだお金で自分へのプレゼントを買ってみたいな」
これ、普通の金持ちの女に言われたら嫌味にしか聞こえない発言だと思うのだが、真紀が言うとあまり不快に感じないから不思議である。いや、真紀が同性に嫌われやすいのは多分こういうことを無神経に言ってしまうからなんだけど、私は彼女がそんな嫌味を言うような人間ではないということをよく知っている。それがおそらく、私が真紀の唯一の親友である理由だ。
ワインに口をつけた真紀の胸元で、ダイヤモンドのネックレスが眩く輝いている。
四月の誕生石、ダイヤモンド。彼女の誕生日に、瞬がプレゼントしたものだ。
彼女の実家は裕福だから、きっとこれぐらいのアクセサリーはいくつも持っているに違いない。にもかかわらず、瞬から貰ったの、と話す真紀の喜びようは大変なものだった。
私のネックレスと真紀のネックレス、どちらが高いんだろう。
真紀は、私と瞬の関係にきっとまだ気付いていない。
舞台裏ではこんなドロドロの事態に発展しているわけなのだが、私は恋敵であるはずの彼女のことを、未だに憎みきれないでいる。
そもそも、真紀は全くの正攻法で瞬の心を射止めたのだ。
後ろ暗いことなどどこにもない。
コソコソ寝取ろうとしているだけの私が、どうして彼女を非難できようか。
一昨日の夜のことが脳裏を掠める。
おそらくあの夜、瞬は真紀の部屋で夜を明かしたのだろう。
そうか、そういうことか。
今日の真紀から溢れ出る自信は。
こんな歪な三角関係が、果たしていつまで続くのか、続けられるのか、私にはわからない。
でも、きっと、壊れるときに弾きだされるのは私の方だろう。
何となくそれがわかっているから、自分から壊したいとは思わない。
今のところは。
ウエイトレスが前菜を運んできた。料理の量に比べて、皿がやたらとでかい。真紀はこんな量で満足できるんだろうか? こんなにか細いのに、彼女は意外とよく食べるのだ。
おいしそうな料理を前にして、真紀は天使のように微笑みながら言った。
「さあ、食べましょう。ほっぺたが落ちるほど美味しいよ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる