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俺たちの通う王立聖騎士学園では、1年の終わりごとに1回の任務を受けさせられる。
任務といっても、1年生は見回り任務しか与えられず、行き先を普通に見て回れば進級可能という楽な内容だ。
2人1組で行うことになっており、俺は教室でのくじ引きの結果、女の友達であるメアリと共に見回りを行う事となった。
だが、最近街で大きな事件が起こったという話は聞いたことがない。
だから、いつものように見回り、買い食い等をしながらを学園へ帰る。
そんな楽しい任務になると思っていた。
これから向かうのは、レンガ作りの建物が特徴的なガルグという街だ。
家は全てがレンガ造りで街の中心には噴水が飾られており、よく子供たちが遊んでいる。そんな街。
特に大きな事件が起こった事はない平和な街……。
だが、今俺たちの目の前に映っているのはまったく違う光景だった。
「なんだよ……これ」
そこにあったのは、壊れてしまった家"だった"物と、地面に横たわっている、街の人々。
「ひっ……」
その光景を見たメアリが小さな悲鳴を上げる。
当然だろう、目の前の光景を、見てしまったのだから。
「だれも……いないの?皆、死んじゃったの?
ねぇ、クロノ君……」
「……」
話しかけてくるメアリの声は酷く掠れていて、それだけでも怯えているのが良く解る。
俺は、そんなメアリの肩を抱き、『大丈夫』と、何度も呟いた。
… … …
メアリを落ち着かせると、二手に分かれて街を見て回った。誰かが生きていることを信じて。
だが、ひとしきり見回るも、生きている者はだれもいなかった。
俺はひとまずメアリと合流し、探索の結果を報告し合う。
だが、帰ってきた答えは"誰も生きていなかった"という事実だけ……。
「そんな……」
メアリは再び泣きそうになるも、震えながらも何とか耐えている。
ひとまず学園に報告するために帰ろうとしたそのときだった。
声が、聞こえたのは。
「……え?」
「クロノくん?」
「なにか声が聞こえたけど……メアリ、なんかいったか?」
「うぅん、何もいってないけど……それに何も聞こえないよ?」
どうやらこの声はメアリのものではないらしい。
だとしたらこれは幻聴なのだろうか?そう思ったが、この声が、ただの幻聴だとは思えなかった。
「……メアリはここで待っててくれ!」
この声が気になった俺は、メアリにここに待ってくれるようにいうと、声が聞こえる方向へと向かった。
「あ、ちょっと、クロノくん!」
… … …
「ここか……」
里のはずれにある木組みの小さな小屋。声はここから聞こえてきた。
だが、中には人のいる気配もない。
扉を叩く、やはり誰も現れず。小屋に入るも、中には何もなかった。
ただ1つ、大きな黒い箱があるだけで。
「何だ……これ」
箱は縦に長く鉄製で、成人している女性でも入れそうなくらいだった。
全身は真っ黒に染まっており、中央に白い十字架が書かれている。
「……やっぱり、声はこの箱から……って事は中か?」
俺は蓋の部分に手を掛け持ち上げようとする。だがかなり鉄製のそれはかなりの重量があり、俺だけの力じゃ開きそうになかった。
それでもあきらめきれずに持ち上げようとしていると、後ろから声が聞こえ、振り向く。
「やっと……追いついた」
そこにはメアリが立っていた。疲れたのか膝に手を着き、息を荒げている。
置いて行ってしまったことを俺は謝罪し、背中を少し撫でた。数分そうしていると少しは落ち着いたのか、背筋を伸ばす。
「ありがとう……クロノくん
それで、ここは……きゃっ!」
この箱に驚いたのか、メアリが悲鳴を上げた。とりあえずこの状況を説明すると、メアリは協力してくれるといい、蓋に手をかけた。
… … …
あれから数分を掛け、何とか蓋を持ち上げることに成功した。
俺とメアリは達成感からか手を叩きあい、箱の中を見る。
そこには、金色の髪を揺らし心地良さそうに眠っている少女の姿があった。
任務といっても、1年生は見回り任務しか与えられず、行き先を普通に見て回れば進級可能という楽な内容だ。
2人1組で行うことになっており、俺は教室でのくじ引きの結果、女の友達であるメアリと共に見回りを行う事となった。
だが、最近街で大きな事件が起こったという話は聞いたことがない。
だから、いつものように見回り、買い食い等をしながらを学園へ帰る。
そんな楽しい任務になると思っていた。
これから向かうのは、レンガ作りの建物が特徴的なガルグという街だ。
家は全てがレンガ造りで街の中心には噴水が飾られており、よく子供たちが遊んでいる。そんな街。
特に大きな事件が起こった事はない平和な街……。
だが、今俺たちの目の前に映っているのはまったく違う光景だった。
「なんだよ……これ」
そこにあったのは、壊れてしまった家"だった"物と、地面に横たわっている、街の人々。
「ひっ……」
その光景を見たメアリが小さな悲鳴を上げる。
当然だろう、目の前の光景を、見てしまったのだから。
「だれも……いないの?皆、死んじゃったの?
ねぇ、クロノ君……」
「……」
話しかけてくるメアリの声は酷く掠れていて、それだけでも怯えているのが良く解る。
俺は、そんなメアリの肩を抱き、『大丈夫』と、何度も呟いた。
… … …
メアリを落ち着かせると、二手に分かれて街を見て回った。誰かが生きていることを信じて。
だが、ひとしきり見回るも、生きている者はだれもいなかった。
俺はひとまずメアリと合流し、探索の結果を報告し合う。
だが、帰ってきた答えは"誰も生きていなかった"という事実だけ……。
「そんな……」
メアリは再び泣きそうになるも、震えながらも何とか耐えている。
ひとまず学園に報告するために帰ろうとしたそのときだった。
声が、聞こえたのは。
「……え?」
「クロノくん?」
「なにか声が聞こえたけど……メアリ、なんかいったか?」
「うぅん、何もいってないけど……それに何も聞こえないよ?」
どうやらこの声はメアリのものではないらしい。
だとしたらこれは幻聴なのだろうか?そう思ったが、この声が、ただの幻聴だとは思えなかった。
「……メアリはここで待っててくれ!」
この声が気になった俺は、メアリにここに待ってくれるようにいうと、声が聞こえる方向へと向かった。
「あ、ちょっと、クロノくん!」
… … …
「ここか……」
里のはずれにある木組みの小さな小屋。声はここから聞こえてきた。
だが、中には人のいる気配もない。
扉を叩く、やはり誰も現れず。小屋に入るも、中には何もなかった。
ただ1つ、大きな黒い箱があるだけで。
「何だ……これ」
箱は縦に長く鉄製で、成人している女性でも入れそうなくらいだった。
全身は真っ黒に染まっており、中央に白い十字架が書かれている。
「……やっぱり、声はこの箱から……って事は中か?」
俺は蓋の部分に手を掛け持ち上げようとする。だがかなり鉄製のそれはかなりの重量があり、俺だけの力じゃ開きそうになかった。
それでもあきらめきれずに持ち上げようとしていると、後ろから声が聞こえ、振り向く。
「やっと……追いついた」
そこにはメアリが立っていた。疲れたのか膝に手を着き、息を荒げている。
置いて行ってしまったことを俺は謝罪し、背中を少し撫でた。数分そうしていると少しは落ち着いたのか、背筋を伸ばす。
「ありがとう……クロノくん
それで、ここは……きゃっ!」
この箱に驚いたのか、メアリが悲鳴を上げた。とりあえずこの状況を説明すると、メアリは協力してくれるといい、蓋に手をかけた。
… … …
あれから数分を掛け、何とか蓋を持ち上げることに成功した。
俺とメアリは達成感からか手を叩きあい、箱の中を見る。
そこには、金色の髪を揺らし心地良さそうに眠っている少女の姿があった。
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