聖魔騎士

黒狐白魔

文字の大きさ
2 / 2

教師

しおりを挟む
 見回りの任を終えると、空はすっかり薄暗くなっていた。
 街で出会った少女、さすがにあのままには出来ず、メアリと話し合い、とりあえず学園へとつれて帰ることにした。
 だが、少女は眠っており、歩けるはずもない。そこでメアリに協力してもらい、なんとか背負うと、俺たちは学園へ徒歩を進めた。

…   …   …

 街を出てから10分程時間がたつと、薄暗かった空が真っ暗な闇に変わった。
 見回りに行く前に渡されたライトがあったが、少女を背負っている状態では使うことができず、メアリにライトを出すように伝え、ライトで前方を照らしてもらう。だが、それでもあまり明るいとはいえない。
 30分をかけ、何とか学園にたどり着くと、任務の報告をするため、職員室へ向かった。

…   …   …

 職員室に着くと、室内には誰もいなかった。照明はついてるから誰かがいたのだと思うが……。とりあえず誰か来ないかと待っていると、スライド式のドアが開く音が聞こえた。
「おぉ、やっと帰っててきたか」
 入ってきたのは、少し太っているがそんなに太ってはいない、いわゆる平均的な体系の中年男性。
 クラス担任のサトウだ。その手には湯気が出ているティーカップが握られていた。
 サトウは俺たちを確認すると、ねぎらいの言葉を告げ、自分の席へとつく。
 俺たちはそれを確認するとサトウの前に立ち、報告を開始した。

…   …   …

「そうか、そんなことが……」

 報告を聞くとサトウも驚いたようで、報告を聞く前は笑顔でいた顔が、今では悲しそうな顔になっていた。
 だが、すぐにいつものような優しい顔に戻すと、「ごくろうさん」と告げる。
 俺はその一言がうれしく、俺たちはその言葉に「はい!」と返した。

「あ~、ところで」
「はい?」
「その子は、どうしたんだ?」
 そういうと、サトウは俺に背負われたまま眠っている少女を指差す。
 そのことに俺は正直に話すべきかどうか悩んだ。さすがに黒い箱の中で眠っていた。なんて信じてもらえるかわからなかったからだ。
 それを見ていたサトウは、少し首をかしげていた。が、すぐに表情を戻す。

「ま、いいや。お前たちのことだから誘拐とかではないだろう」
「……すみません」
「なに、教師は生徒を信じるもんだ」

 そう言い、サトウは笑顔になる。
 その言葉に礼を告げ、俺たちは職員室を後にした
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...