僕は何度も

宮川 涙雨

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5、美夜

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目を開けてまず最初に目に入ったのは自分の部屋だった。
1階まで急いでおりる。
そこにあったのは……昨日と全く同じ風景。
「やっぱり同じだ…」
「どうしたの?」 
 母の問い。 
「別に、何も…ないよ…」
僕はニュースを確認することなく、電話もかけずに昨日も行った△△△病院へむかった。
美夜もその両親も驚いていて、まぁ当たり前だろう。けれど驚いているのは僕の方だ。
今日も同じだった。同じ話を聞いた。同じ授業をうけた。
そして帰り道、近所の交差点で刺された。
はしったのは激痛、また…気を失った……。
10月18日、17時22分

僕はやはり生きていて、日付は10月18日。
流れるニュースは昨日と同じ、僕は制服に着替えて学校へむかうふりをして家を出た。
きちんと学校へは向かった、そのあとすぐに早退したのだけれど…。
といってもなかなかタイミングが掴めず早退は昼過ぎとなった。
次の目的地は△△△病院、今日は先にケーキ屋へ寄る。
チョコレートケーキとショートケーキ、モンブランもついでに買った。
病室を開けて見えるのは、驚く美夜とその両親の顔。やはり美夜は可愛い、そう見えるのは僕だけ?いや、こいつは誰が見ても可愛い。
…別にノロケている訳ではない。
「ケーキ買ってきたぞ、食えるか?」
「な、何であんた知ってんの?」
うん、だろうな。いたって普通で当たり前の反応だ。
「ねぇ、お母さん。こいつと2人で話させて」
何度目かの同じセリフ、彼女の泣き顔。
「おいしい?」
「うん、うまいっ」
「うまいって、もっと可愛いこと言えよ」
「ふーんだ、別にいーんですぅー」
あ、すねた。これは初めてだな。
「うん、可愛いよお前は」
「は!?」
うわ…何を口に出しているんだ僕は……。
もうこの際、言ってしまおう。
クエスチョンマークをうかべる彼女、どれだけ感情が顔に出ればすむのだろうか。
「僕はお前のことが好きだよ、ずっと前から美夜のことが好きだった。」
初めて告白をした瞬間…。
10月18日、17時11分。

今日が終わるかも知れない時刻まであと…11分。
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