5 / 11
5、美夜
しおりを挟む
目を開けてまず最初に目に入ったのは自分の部屋だった。
1階まで急いでおりる。
そこにあったのは……昨日と全く同じ風景。
「やっぱり同じだ…」
「どうしたの?」
母の問い。
「別に、何も…ないよ…」
僕はニュースを確認することなく、電話もかけずに昨日も行った△△△病院へむかった。
美夜もその両親も驚いていて、まぁ当たり前だろう。けれど驚いているのは僕の方だ。
今日も同じだった。同じ話を聞いた。同じ授業をうけた。
そして帰り道、近所の交差点で刺された。
はしったのは激痛、また…気を失った……。
10月18日、17時22分
僕はやはり生きていて、日付は10月18日。
流れるニュースは昨日と同じ、僕は制服に着替えて学校へむかうふりをして家を出た。
きちんと学校へは向かった、そのあとすぐに早退したのだけれど…。
といってもなかなかタイミングが掴めず早退は昼過ぎとなった。
次の目的地は△△△病院、今日は先にケーキ屋へ寄る。
チョコレートケーキとショートケーキ、モンブランもついでに買った。
病室を開けて見えるのは、驚く美夜とその両親の顔。やはり美夜は可愛い、そう見えるのは僕だけ?いや、こいつは誰が見ても可愛い。
…別にノロケている訳ではない。
「ケーキ買ってきたぞ、食えるか?」
「な、何であんた知ってんの?」
うん、だろうな。いたって普通で当たり前の反応だ。
「ねぇ、お母さん。こいつと2人で話させて」
何度目かの同じセリフ、彼女の泣き顔。
「おいしい?」
「うん、うまいっ」
「うまいって、もっと可愛いこと言えよ」
「ふーんだ、別にいーんですぅー」
あ、すねた。これは初めてだな。
「うん、可愛いよお前は」
「は!?」
うわ…何を口に出しているんだ僕は……。
もうこの際、言ってしまおう。
クエスチョンマークをうかべる彼女、どれだけ感情が顔に出ればすむのだろうか。
「僕はお前のことが好きだよ、ずっと前から美夜のことが好きだった。」
初めて告白をした瞬間…。
10月18日、17時11分。
今日が終わるかも知れない時刻まであと…11分。
1階まで急いでおりる。
そこにあったのは……昨日と全く同じ風景。
「やっぱり同じだ…」
「どうしたの?」
母の問い。
「別に、何も…ないよ…」
僕はニュースを確認することなく、電話もかけずに昨日も行った△△△病院へむかった。
美夜もその両親も驚いていて、まぁ当たり前だろう。けれど驚いているのは僕の方だ。
今日も同じだった。同じ話を聞いた。同じ授業をうけた。
そして帰り道、近所の交差点で刺された。
はしったのは激痛、また…気を失った……。
10月18日、17時22分
僕はやはり生きていて、日付は10月18日。
流れるニュースは昨日と同じ、僕は制服に着替えて学校へむかうふりをして家を出た。
きちんと学校へは向かった、そのあとすぐに早退したのだけれど…。
といってもなかなかタイミングが掴めず早退は昼過ぎとなった。
次の目的地は△△△病院、今日は先にケーキ屋へ寄る。
チョコレートケーキとショートケーキ、モンブランもついでに買った。
病室を開けて見えるのは、驚く美夜とその両親の顔。やはり美夜は可愛い、そう見えるのは僕だけ?いや、こいつは誰が見ても可愛い。
…別にノロケている訳ではない。
「ケーキ買ってきたぞ、食えるか?」
「な、何であんた知ってんの?」
うん、だろうな。いたって普通で当たり前の反応だ。
「ねぇ、お母さん。こいつと2人で話させて」
何度目かの同じセリフ、彼女の泣き顔。
「おいしい?」
「うん、うまいっ」
「うまいって、もっと可愛いこと言えよ」
「ふーんだ、別にいーんですぅー」
あ、すねた。これは初めてだな。
「うん、可愛いよお前は」
「は!?」
うわ…何を口に出しているんだ僕は……。
もうこの際、言ってしまおう。
クエスチョンマークをうかべる彼女、どれだけ感情が顔に出ればすむのだろうか。
「僕はお前のことが好きだよ、ずっと前から美夜のことが好きだった。」
初めて告白をした瞬間…。
10月18日、17時11分。
今日が終わるかも知れない時刻まであと…11分。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
離れて後悔するのは、あなたの方
翠月るるな
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。
岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。
財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。
だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。
結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。
しかしそれは、一つの計画の為だった。
そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる