僕は何度も

宮川 涙雨

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7、無駄

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10月18日…。5日目の朝。
                                   ・・・・
この日、美夜に会ってまた明日会う約束をした。
そして学校に行かずにゲームセンターに行った。初めてサボってゲームセンターに来たけれど、普段行くことの無いその場所は僕には騒がしすぎてすぐにその場を離れた。
僕の好きな抹茶キャラメルを買って食べた。

何も…変わらなかった。
今日も僕に夜はやってこないらしい、17時22分でリセット。残り1分…。ほらやって来た、見覚えのある男。
ザクリと嫌な感覚、「大丈夫?」「痛い?」狂った男のセリフ。鳥肌がたつほどにそれは気持ち悪い言葉。狂…。
「大丈夫なわけ無いだろう?痛いですよ、ものすごくね。」
何度も何度もうけるこの痛み。逃げたくても逃げられない。
僕までもが狂ってしまいそうだった。
けれどそれさえも許しはしないとでも言うように、刺されるほど僕は冷静になっていく。
いっそのこと狂ってしまえればいいのに…。
17時22分…暗転。


どうしてこんなことになったんだろう。
こんな現実じみていないことがおこるのだろうか?
僕は何か良くないことでもしてしまったのか?
良いことをすればいいと?
6日目のこの日、僕は良いことをしてみることにした。
同じ話、同じ声、同じ表情。全て同じだということを知りながらもやはり病院へは向かった。
そして、17時22分。何も変わることなく今日が終わった。
意味など、これっぽっちも無かったのだ。



7日目。今日は思いきって悪いことをしてみようと思う。
けれど悪いことといっても何も思い付かない。
だから、沢山のことをしてみた。
小さな子供を突飛ばした、コンビニでガムを1つ万引きした。本当、自分でもよく分からないほど馬鹿なことを淡々とやってみた。
人殺しなんてそんな物騒なことに手をつける勇気はなくて、流石にそれだけはできなかった。
17時22分……、男が今日も笑った。
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