僕は何度も

宮川 涙雨

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9、2度目の告白

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9日目、この日は車の前へ飛び出してみた。
そこそこスピードのあるように見えたけれども、15時11分。やはり死ぬことはかなわず病院へと運ばれた。
そして17時22分真っ白な病室のなか、男の言葉が1日の終わりを告げた。

次の日も次の日も毎日毎日試したけれど、死ぬことなどできやしなかった。
あるのは何度も繰り返したこの痛みとセリフだけ。


「もう…何度目になるのだろうか…」
ベッドに横たわる僕には既にもう何度10月18日を過ごしたのか分からなくなっていた。
11時54分。病院独特のこの嫌な消毒液臭にもなれてしまった。
二人きりで話す美夜との時間も…明日が来ると知っていれば幸せな時間の筈なのに、今は少し辛かったりする。
「美夜」
「んー?」
「好きだよ」
数秒の間動かない美夜。
「またまたぁー」
無邪気な君。
「残念だが、本当だったりするんだよな」
「は……?」
  ……。
少しの間…。赤面。
やはり可愛い。のろけ?あぁ、そうだ。のろけているんだ。
「美夜は?」
「っ……。」
無言。
「好き……。」
うん、知ってる。知っているんだよ。
「え?何?聞こえなかったんだが…もう一度言ってくれないか?」
「嘘だっ!」
「嫌い…なのか?迷惑だったのか…そうか、すまな…かったな…」
わざと席をたった。
「あっ!ちょっ」
分かりやすく慌てる彼女、涙が滲みそうなる。こらえると鼻の奥がツンッとした。
「好きだよっ!」
「ハハッ…嬉しいよ」
彼女のイチゴのように真っ赤な顔。
「実は前に一度告白したんだぞ?」
驚いている彼女の顔は間抜け面だ。
「いつっ!?」
「さぁね」 
 僕ははぐらかす。きっとこいつは怒るだろう。
「なんだそれーっ!」
ほら、やっぱりな。
それを見て僕は笑う。
「今度は忘れてくれるなよ?」
「あ、当たり前でしょー!そこまでバカじゃないんですぅー」 
 拗ねたような約束をして僕は病室を出た。
14時56分。今日が終わるまで後2時間と少し……。





(宮川より)
更新遅くなってしまい申し訳ありません!
高校入学のため色々と忙しく、更新できませんでした(泣)
言い訳となってしまいましたが、読んでくださった方やお気に入りにしてくださった方。
本当にすいません!これからもどうぞ宮川をよろしくしてやってください!
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