Imperfect Robot

夜風

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プロローグ

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 暑い。とにかく暑い。電車から降りると、無駄に湿度の高いねっとりとした空気が体を包む。毎朝、いかに電車の中が恵まれた環境であったかを思い知る瞬間だ。蝉時雨がイヤホンをしていても聞こえてくる。本当に鬱陶しい。

「おーい、波瑠、おっはよー!」

 後ろから走ってくるうるさい奴が1人。奴の名は幸崎琉生(こうざき るい)。全く、こんな暑い中を走って、より暑くなりたがる奴の気ははかりしれない。

「…おはよ」

 俺に追いついて、横からキラキラとした目で挨拶を待ち受けられては答えるしかない。全く面倒くさい奴だ。

「そういや、波瑠、今日なんで部活休むの?先輩に理由聞いとけって言われた」

 真顔になった琉生が言った。

「あー、わりぃな。今日は彼女とデートなんだよ」

「なるほど。お前、彼女大好きだもんな。んー、じゃあ先輩にはなんか別の理由つけとくわ」

 琉生はなんだかんだで、物分りが良い。頼りになるし、基本は良い奴だと思っている。俺が彼女が大好きなのは事実だし、今更突っ込むまでもないから放置。

「おう、助かる」

「デート、楽しめよ」

「ありがとな、花火見てくるわ」

 俺、こと天野波瑠(あまの はる)はありふれた男子高校生の1人にすぎなかった。いや、すぎないと思っていた。この時はまだ。

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