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或る騎士たちの恋愛事情(完結)
10話(R18表現あり)
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「本っ当に申し訳ない……」
「いやいや、そんなに気にすんなよ。酒飲んでやらかすなんて、誰でもあることだろ」
朝一番に深々と頭を下げるノクスにリカルドは気にした様子もなくカラカラと笑う。
次の日の朝、自分のベッドで目覚めたノクスは昨夜の記憶が思い出せず、顔が真っ青になった。
料理を食べ終わったところまでは覚えているが、その後の記憶がない。自分で歩いて帰った記憶もなく、リカルドが運んでくれたのだと察してノクスは自分の失態に愕然とした。
初めて酒を飲んだ時、その場で寝てしまった粗相をしてから、酒の量には気を付けていたはずなのに、昨日は楽しくてつい飲み過ぎてしまった。
「まさか、この私が酒で失態など……」
「まあ、普段見れない姿を見れたし?俺的には楽しかったから気にすんなって」
「わ、私は一体何を……」
記憶が抜けているときの言動が気になったが、ノクスは怖くてそれ以上聞くことができなかった。
もう二度と酒は飲み過ぎないようにしようとノクスは心に固く誓った。
その日の深夜。
物音にノクスは目を覚ました。
衝立の向こう側、リカルドのベッドの方から、ギッギッというベットの軋む音が聞こえてくる。
その音に交じってリカルドの荒い息が聞こえて来て、熱でも出して苦しくて寝返りを打っているのかとノクスは心配して衝立の向こうをそっと覗く。
「はあ…………はっ……はあ……」
リカルドはこちらに背中を向けていて荒い息づかいに合わせてモゾモゾと布団が動いていた。それを見てノクスはハッとする。
(もしかして自慰……しているのか……?)
リズミカルな動きと息遣いがリンクしており、予感はだんだんと確信に変わっていく。
ノクスの顔がボッと赤くなり、気づかれないようにそっと自分のベットに戻ると音を聞かないように頭から布団を被る。
(まあ、男だし、しょうがないよな……。最初に見ない、聞かない振りをするって約束したし……)
ノクスは布団の中でぎゅっと目をつぶった。さっさと寝てしまおうと思うのに、リカルドの様子が気になって睡魔は一向にやってこない。
何を想像しながら自慰をしているのだろうか、どんな風に自身に触っているのだろうかと想像して、ノクスの顔が更に熱くなり、心臓がドキドキと早鐘を打つ。
布団越しに聞こえてくる微かなベッドの軋む音を聞いていると、ノクスの下半身がムズムズとしてきた。
(何を考えてるんだ、私は……)
そう思っても下半身は収まる様子がない。我慢しているのが段々つらくなり無意識のうちにもじもじと腰をくねらせる。
きっとリカルドは自慰集中していて気づかないだろう。そう自分に言い聞かせてそっとズボンの裾から手を滑り込ませる。
(やめろ、やめろ……)
頭ではダメだと思っているのに手が勝手に性器を握り込み、ゆるゆると上下に扱き始める。
そう言えば、リカルドと同室になって以来、緊張して自慰をしていなかった。
始めてしまうと気持ちよくて手が止まらない。タラタラと先端から透明な液体があふれ出て来て、手をヌルヌルと濡らしていく。快感につい声が漏れ出てる。
「はあっ……んんっ……」
思った以上に大きな声が出てしまいドキッとしてノクスは動きを止める。
リカルドに聞こえたかと思って、ドキドキと様子を伺うが、相変わらず向こうからはリズミカルなベッドの音が続いていたので気づかれた様子はなさそうだった。
ノクスはホッとしてゆるゆると手の動きを再開させる。
今度は声が漏れ出ないように左腕で口許を抑える。
くちゅくちゅと先端の割れ目を弄り、体液で濡れた手で竿を上下に扱くとあまりの気持ち良さに声が出そうになるが左腕を押し付けて、行き場のない快感が身を悶えさせる。
布団越しに聞こえるベッドの音のひときわ大きくなり、リズムが早くなる。絶頂が近いのかもしれない。リカルドの声も大きくなって布団越しでも聞こえてきた。
「はあ、はあ……はっ、はっ……ふっ……んんっ」
普段聞いたことのないリカルドの発情した熱い吐息を聴いているとノクスの下半身もどんどん熱くなってくる。
ベットの音とタイミングを合わせて性器を扱くとリカルドに抱かれているような気分になってきて、罪悪感と共にノクスの体は喜びで打ち震える。
「ふっ……ぐっ……ぐうっ……!」
リカルドが低いうめき声をあげると、ベッドの音が止まる。
はあはあと息を整える音が聞こえた後、ギシリとベッドから体を起こす音がして、こちらに向かって足音が聞こえてきた。
もしかしてバレたか、と布団の中でノクスの体は固まり、心臓はバクバクと大きな音を立てて爆発しそうだった。
足音が止まり、沈黙が流れる。
実際には数秒だったのだろうが、ノクスにはその静寂が数十分にも長く感じた。
しばらくするとクローゼットを開く音がして、衣擦れの音がする。着替えたのだろう。その後ギシリとベッドに乗った音がした。
そしてしばらくすると寝息が聞こえて来て、リカルドが寝たことを確認すると、ノクスはやっと安堵の息を吐いた。
放置していた性器を手早く扱いて射精すると、体は少しすっきりしたが、ノクスの心の中にはリカルドへの罪悪感がずっしりと重く残った。
次の日、ノクスはリカルドで自慰をしてしまった罪悪感からリカルドをまともに見ることができなかった。今まで通りに振舞おうとしても挙動不審になってしまい、これ以上ボロが出ないよう、気持ちが落ち着くまでノクスはリカルドから少し距離を置くことにした。
リカルドもそんなノクスの様子に何か言いたそうにしていたが、ノクスから話すのを待っているのか、特に追及することはなく数日が過ぎた。
一緒に出掛けると約束した日曜日も、ノクスは体調が悪いからと言って外出を断った。リカルドはノクスを心配しつつも落ち込んだ様子で一人、寮を出て行った。
その様子がまるで主人に怒られた犬みたいで、ノクスの心はズキズキと痛んだが、今リカルドと長時間顔を突き合わせる余裕はなくて、申し訳ない気持ちでその背中を見送った。
体調が悪いと言った手前、ノクスはごろりとベットに仰向けになった。
このままの状態でいるのは良くないし、何とかしたいとは思っているが、どうしたらいいのか自分でもわからなかった。
リカルドに正直に話しても困らせるだけだし、もし「同室の男に欲情されて気持ち悪い、部屋を変えてくれ」などと言われたら正直立ち直れないかもしれない。
何とか今まで通りに振舞えるようになれば、これからもルームメイトとして、同僚としてならば隣にいることは許されるだろうか?
ただ、その生活もいつまで続くわけではない。
二人部屋から卒業する方法としては、中尉に出世するか、結婚して外に邸宅を持つかだ。
出世するためには功績を上げるしかないが、王都勤務ではその機会は少ない。
もしリカルドが結婚することになれば、寮を出ることになるし、いい加減自分もこの長い片思いを終わらせられるだろう。
リカルドの結婚を想像するだけで胸がぎゅうぎゅうと締め付けられたが、いつまでもこの状態が続くとは思っていなかった。
いつかこの共同生活は終わる。遅いか早いかの問題だけだ。引導を渡してくれるなら早い方がいい。
リカルドに結婚して欲しいような、欲しくないような……もやもやとした複雑な気分でノクスは天井を見つめ続けた。
「いやいや、そんなに気にすんなよ。酒飲んでやらかすなんて、誰でもあることだろ」
朝一番に深々と頭を下げるノクスにリカルドは気にした様子もなくカラカラと笑う。
次の日の朝、自分のベッドで目覚めたノクスは昨夜の記憶が思い出せず、顔が真っ青になった。
料理を食べ終わったところまでは覚えているが、その後の記憶がない。自分で歩いて帰った記憶もなく、リカルドが運んでくれたのだと察してノクスは自分の失態に愕然とした。
初めて酒を飲んだ時、その場で寝てしまった粗相をしてから、酒の量には気を付けていたはずなのに、昨日は楽しくてつい飲み過ぎてしまった。
「まさか、この私が酒で失態など……」
「まあ、普段見れない姿を見れたし?俺的には楽しかったから気にすんなって」
「わ、私は一体何を……」
記憶が抜けているときの言動が気になったが、ノクスは怖くてそれ以上聞くことができなかった。
もう二度と酒は飲み過ぎないようにしようとノクスは心に固く誓った。
その日の深夜。
物音にノクスは目を覚ました。
衝立の向こう側、リカルドのベッドの方から、ギッギッというベットの軋む音が聞こえてくる。
その音に交じってリカルドの荒い息が聞こえて来て、熱でも出して苦しくて寝返りを打っているのかとノクスは心配して衝立の向こうをそっと覗く。
「はあ…………はっ……はあ……」
リカルドはこちらに背中を向けていて荒い息づかいに合わせてモゾモゾと布団が動いていた。それを見てノクスはハッとする。
(もしかして自慰……しているのか……?)
リズミカルな動きと息遣いがリンクしており、予感はだんだんと確信に変わっていく。
ノクスの顔がボッと赤くなり、気づかれないようにそっと自分のベットに戻ると音を聞かないように頭から布団を被る。
(まあ、男だし、しょうがないよな……。最初に見ない、聞かない振りをするって約束したし……)
ノクスは布団の中でぎゅっと目をつぶった。さっさと寝てしまおうと思うのに、リカルドの様子が気になって睡魔は一向にやってこない。
何を想像しながら自慰をしているのだろうか、どんな風に自身に触っているのだろうかと想像して、ノクスの顔が更に熱くなり、心臓がドキドキと早鐘を打つ。
布団越しに聞こえてくる微かなベッドの軋む音を聞いていると、ノクスの下半身がムズムズとしてきた。
(何を考えてるんだ、私は……)
そう思っても下半身は収まる様子がない。我慢しているのが段々つらくなり無意識のうちにもじもじと腰をくねらせる。
きっとリカルドは自慰集中していて気づかないだろう。そう自分に言い聞かせてそっとズボンの裾から手を滑り込ませる。
(やめろ、やめろ……)
頭ではダメだと思っているのに手が勝手に性器を握り込み、ゆるゆると上下に扱き始める。
そう言えば、リカルドと同室になって以来、緊張して自慰をしていなかった。
始めてしまうと気持ちよくて手が止まらない。タラタラと先端から透明な液体があふれ出て来て、手をヌルヌルと濡らしていく。快感につい声が漏れ出てる。
「はあっ……んんっ……」
思った以上に大きな声が出てしまいドキッとしてノクスは動きを止める。
リカルドに聞こえたかと思って、ドキドキと様子を伺うが、相変わらず向こうからはリズミカルなベッドの音が続いていたので気づかれた様子はなさそうだった。
ノクスはホッとしてゆるゆると手の動きを再開させる。
今度は声が漏れ出ないように左腕で口許を抑える。
くちゅくちゅと先端の割れ目を弄り、体液で濡れた手で竿を上下に扱くとあまりの気持ち良さに声が出そうになるが左腕を押し付けて、行き場のない快感が身を悶えさせる。
布団越しに聞こえるベッドの音のひときわ大きくなり、リズムが早くなる。絶頂が近いのかもしれない。リカルドの声も大きくなって布団越しでも聞こえてきた。
「はあ、はあ……はっ、はっ……ふっ……んんっ」
普段聞いたことのないリカルドの発情した熱い吐息を聴いているとノクスの下半身もどんどん熱くなってくる。
ベットの音とタイミングを合わせて性器を扱くとリカルドに抱かれているような気分になってきて、罪悪感と共にノクスの体は喜びで打ち震える。
「ふっ……ぐっ……ぐうっ……!」
リカルドが低いうめき声をあげると、ベッドの音が止まる。
はあはあと息を整える音が聞こえた後、ギシリとベッドから体を起こす音がして、こちらに向かって足音が聞こえてきた。
もしかしてバレたか、と布団の中でノクスの体は固まり、心臓はバクバクと大きな音を立てて爆発しそうだった。
足音が止まり、沈黙が流れる。
実際には数秒だったのだろうが、ノクスにはその静寂が数十分にも長く感じた。
しばらくするとクローゼットを開く音がして、衣擦れの音がする。着替えたのだろう。その後ギシリとベッドに乗った音がした。
そしてしばらくすると寝息が聞こえて来て、リカルドが寝たことを確認すると、ノクスはやっと安堵の息を吐いた。
放置していた性器を手早く扱いて射精すると、体は少しすっきりしたが、ノクスの心の中にはリカルドへの罪悪感がずっしりと重く残った。
次の日、ノクスはリカルドで自慰をしてしまった罪悪感からリカルドをまともに見ることができなかった。今まで通りに振舞おうとしても挙動不審になってしまい、これ以上ボロが出ないよう、気持ちが落ち着くまでノクスはリカルドから少し距離を置くことにした。
リカルドもそんなノクスの様子に何か言いたそうにしていたが、ノクスから話すのを待っているのか、特に追及することはなく数日が過ぎた。
一緒に出掛けると約束した日曜日も、ノクスは体調が悪いからと言って外出を断った。リカルドはノクスを心配しつつも落ち込んだ様子で一人、寮を出て行った。
その様子がまるで主人に怒られた犬みたいで、ノクスの心はズキズキと痛んだが、今リカルドと長時間顔を突き合わせる余裕はなくて、申し訳ない気持ちでその背中を見送った。
体調が悪いと言った手前、ノクスはごろりとベットに仰向けになった。
このままの状態でいるのは良くないし、何とかしたいとは思っているが、どうしたらいいのか自分でもわからなかった。
リカルドに正直に話しても困らせるだけだし、もし「同室の男に欲情されて気持ち悪い、部屋を変えてくれ」などと言われたら正直立ち直れないかもしれない。
何とか今まで通りに振舞えるようになれば、これからもルームメイトとして、同僚としてならば隣にいることは許されるだろうか?
ただ、その生活もいつまで続くわけではない。
二人部屋から卒業する方法としては、中尉に出世するか、結婚して外に邸宅を持つかだ。
出世するためには功績を上げるしかないが、王都勤務ではその機会は少ない。
もしリカルドが結婚することになれば、寮を出ることになるし、いい加減自分もこの長い片思いを終わらせられるだろう。
リカルドの結婚を想像するだけで胸がぎゅうぎゅうと締め付けられたが、いつまでもこの状態が続くとは思っていなかった。
いつかこの共同生活は終わる。遅いか早いかの問題だけだ。引導を渡してくれるなら早い方がいい。
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