猫のお菓子屋さん

水玉猫

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特別じゃないけれど、普段の幸せショクラードカーカ

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 公園カフェのCafé de chat noirカフェドシャノワール

 黒猫さんや黒白猫さんたちが経営する人気のカフェテラスです。
 そのCafé de chat noirのスペシャリテは、パティシエール特製のホイップクリーム添えガトーショコラ。
 予約は必須。3ヶ月先まで予約がいっぱいの幻のガトーショコラともいわれていました。

 いました?
 どうして、過去形?

 だって、その看板パティシエールが、退職しちゃったんですもの。
 予約の日が来るまでの3ヶ月間、指折り数えて何より楽しみにしていたお客さんたちの落胆は計り知れない。
 一番のご褒美スイーツが、本当の幻になってしまったんだから。
 

 パティシエールが、どうして公園カフェを辞めたのかというと、とあるおうちの専属パティシエールに、なったから。

 どこのおうちか教えてほしいって頼まれても、それは個猫こじん情報だから、お教えできません。
 今は、そのおうちの人のために毎日自慢の腕をふるって、美味しいスイーツを用意しています。
 だから、パティシエールもそのおうちの人も、とっても幸せ。

 長い間、忙しい公園カフェで働いてきたパティシエールは、疲れが溜まってきていたんですって。猫だって、人間だって、生きていれば、だれだって年は取るものだしね。
 そろそろ、のんびりしたいと考えていた時に、今回の専属パティシエールのお話。
 それで、パティシエールは渡りに船で、公園カフェからの引退を決めたの。

 そのパティシエールの名は、黒猫のクロさん。
 今は、クロちゃんと呼ばれている。肩の荷が下りた感じね。
 黒猫といってもクロちゃんは、胸当ピナフォアエプロンと白い靴の模様があるから、正確には黒白猫さん。
 
 だから、クロちゃんのために、みんな喜んであげてください。

 誰ですか?
 指をくわえて、悲しそうにしているのは?
 クロちゃんの幸せを心から喜んではいるものの、お口とおなかのむなしさを持て余している人たちがいるようですね。

 わかりました。 
 それでは、クロちゃんに、猫のお菓子屋さんのお当番になってもらいましょう。
 それなら、OK?

「やった! ばんざい!」

 お客さんたちは、夢にまで見たパティシエールのお菓子がまた食べられるって狂喜乱舞で大喜び。

 みなさん、大いに期待してください!
 公園カフェではおしゃれなガトーショコラでしたが、お菓子屋さんに並ぶケーキはショクラードカーカ。
 耳慣れない名前のケーキだけれど、北欧の昔ながらの素朴なチョコレートケーキです。
 ココア風味のケーキに、チョコレートのバタークリームアイシングをぬって、ココナッツがかけてあります。
 初めて食べても、なんだかとっても懐かしい味。

 緑の風吹くカフェテラスで、スペシャリテのガトーショコラも素敵だけれど、毎日のおやつには、こんな家庭的なケーキもいいものですよ。

「ショクラードカーカにも、ホイップクリームをのせてみました。公園カフェの思い出といっしょに」とは、クロちゃん談。

 特別スペシャルじゃないけれど、いつもの美味しさ。
 普段のおやつや毎日の幸せには、ぴったりです。
 クロちゃんの幸せのおすそ分けのチョコレートケーキ。
 お早めに、ご来店くださいね。


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