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2月 Happy Valentine’s day !
Happy Valentine’s day ! 其の三
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お菓子屋さんのブラウニーは、キットの材料を混ぜて焼くだけなのに、ほんとに美味しくできてびっくりしちゃった。
それにね、このみちゃんが説明してくれたとおり、あたしが作った分ときつねこちゃんが作った分と、ふたりでいっしょに作った分、それぞれ違うブラウニーになったのよ。なんか、すごい!
お味見していたきつねこちゃんが「どの妖精さんも、Good Job!」って、つぶやいた。
「妖精さん?」
「そうよ、ミケちゃん。ブラウニーは、お手伝い妖精のブラウニーさんから、名付けられたチョコレートケーキなんだよ。妖精ブラウニーさんはね、茶色の髪に茶色の服。茶色ずくめの妖精さんだから、ブラウニーって呼ばれているの。チョコレートケーキも茶色くて同じ色でしょ」
「ふーん、そうだったんだ。だからって、なぜ、妖精さんがグッジョブなの?」
「やだぁっ、ミケちゃんたら、このみちゃんの説明聞いていなかったの?このみちゃん、言ってたじゃない。『おこのみこのみのブラウニー手作りキットは、妖精さんがお手伝いしてくれるから、誰が作っても、とびっきり美味しいブラウニーができます』って」
あたし、ぼんやりしていて聞いていなかった。
きつねこちゃんは、ポンとあたしの肩を叩いた。
「さっさ、ラッピングしよう、ミケちゃん!」
きつねこちゃんたら、ラッピング用の可愛い箱やきれいなカードをたくさん出してきた。いつのまに、こんなに用意していたんだろ。
あたしは、クマパンちゃんたちぬいぐるみのお友だちや、ペロさんパロさん犬のお友だち、きつねこちゃんやチャコマロンちゃんたち猫のお友だちの分をラッピングして、カードも書いた。
全部ラッピングし終わったら、きつねこちゃんがプレゼントの数を数えだした。
「あれっ? ミケちゃんの分が、二つ足りないよ!」
「えっ?」
「ほらほら。ミケちゃんが作ったブラウニー、ふたつ残ってるし。早く、カード書いて」
「だって……」
「肝心の黒ちゃんと白ちゃんの分が、ないでしょ? ミケちゃん、黒ちゃんと白ちゃんに大好きって伝えたいんでしょ?」
あたしは、心臓が止まるほど驚いて、きつねこちゃんを見た。きつねこちゃん、どうして、知っているの?
きつねこちゃんは、急に、とても真剣な顔になった。
「宅配頼んであるから、大丈夫! ちゃんと、黒ちゃんと白ちゃんに届けてくれるって」
「宅配って、きつねこちゃん……」
長い間こらえてきた涙が、胸の奥からあふれてきて、きつねこちゃんの顔が霞んでくる。
あたしは、まだ小さい子猫だった時、黒猫の黒ちゃんといっしょに赤いブランコのある公園にいた。
クマパンちゃんやきつねこちゃんとお友だちになるずっとずっと前。
その頃は、今みたいにお友だちもいなくて、黒ちゃんとふたりきり。
カラスさんや犬さんたちにいじめられそうになると、いつも黒ちゃんはあたしをかばってくれた。
それから、少し大きくなると白猫の白ちゃんが黒ちゃんの代わりに、あたしをかばってくれるようになった。
でも、黒ちゃんは、ある日突然いなくなっちゃったの。
白ちゃんに聞いても、何も教えてくれなかった。
今は、どうしてなのか、なんとなくわかる。
それから、あたしに、クマパンちゃんやきつねこちゃんというお友だちができると、今度は白ちゃんがいなくなった。
白ちゃんは、とても遠くにお引っ越ししてしまったから。きっと、黒ちゃんと同じところに。
あたしが、今、こんなに元気なのは、黒ちゃんと白ちゃんのおかげ。
黒ちゃんも白ちゃんも、おかあさん猫やきょうだい猫のいない、ひとりぼっちのあたしの面倒をみてくれた。
あたし、お礼を言いたかったのに、ちゃんと言ったことがなかった。
いつも、そばにいてくれるのが当たり前だったから。
大好きも、言っていなかった。
いつでも言えると思っていたから。
だけど、気がついたら、黒ちゃんにも白ちゃんにも、二度と会えなくなっていた。
ありがとうも、大好きも、いっぱい、いっぱい、言っておけばよかった。
だけど、もう言えなくなってしまったんだ。
三毛猫 ミケ
(続く)
それにね、このみちゃんが説明してくれたとおり、あたしが作った分ときつねこちゃんが作った分と、ふたりでいっしょに作った分、それぞれ違うブラウニーになったのよ。なんか、すごい!
お味見していたきつねこちゃんが「どの妖精さんも、Good Job!」って、つぶやいた。
「妖精さん?」
「そうよ、ミケちゃん。ブラウニーは、お手伝い妖精のブラウニーさんから、名付けられたチョコレートケーキなんだよ。妖精ブラウニーさんはね、茶色の髪に茶色の服。茶色ずくめの妖精さんだから、ブラウニーって呼ばれているの。チョコレートケーキも茶色くて同じ色でしょ」
「ふーん、そうだったんだ。だからって、なぜ、妖精さんがグッジョブなの?」
「やだぁっ、ミケちゃんたら、このみちゃんの説明聞いていなかったの?このみちゃん、言ってたじゃない。『おこのみこのみのブラウニー手作りキットは、妖精さんがお手伝いしてくれるから、誰が作っても、とびっきり美味しいブラウニーができます』って」
あたし、ぼんやりしていて聞いていなかった。
きつねこちゃんは、ポンとあたしの肩を叩いた。
「さっさ、ラッピングしよう、ミケちゃん!」
きつねこちゃんたら、ラッピング用の可愛い箱やきれいなカードをたくさん出してきた。いつのまに、こんなに用意していたんだろ。
あたしは、クマパンちゃんたちぬいぐるみのお友だちや、ペロさんパロさん犬のお友だち、きつねこちゃんやチャコマロンちゃんたち猫のお友だちの分をラッピングして、カードも書いた。
全部ラッピングし終わったら、きつねこちゃんがプレゼントの数を数えだした。
「あれっ? ミケちゃんの分が、二つ足りないよ!」
「えっ?」
「ほらほら。ミケちゃんが作ったブラウニー、ふたつ残ってるし。早く、カード書いて」
「だって……」
「肝心の黒ちゃんと白ちゃんの分が、ないでしょ? ミケちゃん、黒ちゃんと白ちゃんに大好きって伝えたいんでしょ?」
あたしは、心臓が止まるほど驚いて、きつねこちゃんを見た。きつねこちゃん、どうして、知っているの?
きつねこちゃんは、急に、とても真剣な顔になった。
「宅配頼んであるから、大丈夫! ちゃんと、黒ちゃんと白ちゃんに届けてくれるって」
「宅配って、きつねこちゃん……」
長い間こらえてきた涙が、胸の奥からあふれてきて、きつねこちゃんの顔が霞んでくる。
あたしは、まだ小さい子猫だった時、黒猫の黒ちゃんといっしょに赤いブランコのある公園にいた。
クマパンちゃんやきつねこちゃんとお友だちになるずっとずっと前。
その頃は、今みたいにお友だちもいなくて、黒ちゃんとふたりきり。
カラスさんや犬さんたちにいじめられそうになると、いつも黒ちゃんはあたしをかばってくれた。
それから、少し大きくなると白猫の白ちゃんが黒ちゃんの代わりに、あたしをかばってくれるようになった。
でも、黒ちゃんは、ある日突然いなくなっちゃったの。
白ちゃんに聞いても、何も教えてくれなかった。
今は、どうしてなのか、なんとなくわかる。
それから、あたしに、クマパンちゃんやきつねこちゃんというお友だちができると、今度は白ちゃんがいなくなった。
白ちゃんは、とても遠くにお引っ越ししてしまったから。きっと、黒ちゃんと同じところに。
あたしが、今、こんなに元気なのは、黒ちゃんと白ちゃんのおかげ。
黒ちゃんも白ちゃんも、おかあさん猫やきょうだい猫のいない、ひとりぼっちのあたしの面倒をみてくれた。
あたし、お礼を言いたかったのに、ちゃんと言ったことがなかった。
いつも、そばにいてくれるのが当たり前だったから。
大好きも、言っていなかった。
いつでも言えると思っていたから。
だけど、気がついたら、黒ちゃんにも白ちゃんにも、二度と会えなくなっていた。
ありがとうも、大好きも、いっぱい、いっぱい、言っておけばよかった。
だけど、もう言えなくなってしまったんだ。
三毛猫 ミケ
(続く)
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