絵日記ミケちゃん

水玉猫

文字の大きさ
33 / 41
3月

おいかけっこ日和

しおりを挟む
 ?
 ??
 ???

 今日、あたしは、朝からずっと???ばっかり。
 うん。確か、去年の今日もそうだった。
 去年の絵日記で、確認したもの。
 こういう時、便利よね、日記って。
 このあいだのひな祭りもそうだったし、3月って思い出をなぞったりする月なのかな。

 でもね、去年の今頃とは違うこともあるんだ。
 実は、あたし、日曜日に具合が悪くなっちゃったの。
 いつも、元気なあたしだから、みんな心配してくれた。 
 すぐに病院に行って、痛いお注射を我慢して、お薬だってちゃんと飲んだから、もう、すっかり元気!

 それで、何が???かというとね。
 あたし、具合が悪かった時、ずっと同じ夢を見ていたの。
 でもね、目がさめると、もう思い出せないの。
 思い出せないけれど、ずっと同じ夢を見ていたことだけは覚えてるの。
 夢を見て目がさめると、その度にちょっとづつ具合が良くなっていったから、楽しい夢だったとは思うんだ。

 どんな夢だったんだろう?
 今日はクマパンちゃんたちと公園に遊びに来てるんだけれど、夢のことが気になって仕方がないんだ。

「ミケちゃん、ミケちゃん」
 あたしは、ハッと我にかえった。きつねこちゃんとチャコマロンちゃんが、心配そうに見ている。

「ミケちゃん、また、具合、悪くなった?」
「もう、おうちに帰る?」

「ううん。ちがうよ、きつねこちゃん、チャコちゃん。ちょっと、考えごとをしてただけ」

 そしたら、クマパンちゃんが笑ったの。
「ミケちゃんが考えごとだって」

「ちょっと、クマパンちゃん、どういう意味よ!」

「わぁー、逃げろー!」

「待ちなさい! クマパンちゃん!」
 あたしは、公園の中を逃げまわるクマパンちゃんを追いかけた。

「ミケちゃんたら、すっかり元気」
 チャコマロンちゃんが、半分呆れて笑っている。

 きつねこちゃんも笑って言った。
「なんか、ふたりとも楽しそうだよ。チャコちゃん、あたしたちも追いかけっこして遊ぼうか」

「うん!」

「ミケちゃーん、クマパンちゃーん、追いかけっこ、まぜてー」

 それから、みんなで追いかけっこをして遊んだの。



 あたし、追いかけっこをしながら思い出した。
 そうよ、あの夢の中でも、みんなで追いかけっこしていたんだ。
 クマパンちゃんと、きつねこちゃんと、チャコマロンちゃんと。
 それから、遠くに行ってしまった黒ちゃんと白ちゃんも、なぜだか、いっしょだったんだ。
 あたしは、もう会えないと思っていた黒ちゃんと白ちゃんを見つけて、嬉しくなって追いかけた。
 でも、黒ちゃんも白ちゃんも、もう少しでつかまえることができそうなのに、夢の中ではつかまえることができなかった。



 今もあたしの前を、黒ちゃんや白ちゃんが笑いながら走っていく。 
「黒ちゃん!白ちゃん!」
 あたしは、いっしょうけんめい走って、やっとふたりをつかまえた。

 そしたら、黒ちゃんと白ちゃんは、クマパンちゃんになった。

「あー、つかまっちゃった!」
 クマパンちゃんは、うれしそうに笑った。
「つかまっちゃったから、はい!みんなにバレンタインのお返し!」
 クマパンちゃんは赤いブランコに駆けて行くと、そこに置いてあったカリカリの包みを持ってきて、みんなに配った。
「ミケちゃん、どうぞ。きつねこちゃん、どうぞ。チャコちゃん、どうぞ」

「クマパンちゃん、どうして、あたしにだけ、みっつあるの」

「それは、ミケちゃんが食いしん坊だから!」
 クマパンちゃんは笑って、また逃げていった。

「ミケちゃん、それはね」
 きつねこちゃんが言いかけて、やめた。あたしがどうしてなのかわかっているって、気が付いたから。

 あたしはいつでも会えると思っていたから、黒ちゃんにも白ちゃんにも「ありがとう」も「大好き」も、言っていなかった。
 だけど、黒ちゃんも白ちゃんも遠くに行ってしまって、もう会えなくなった。
 あたしは、ずっと、それがくやしくて悲しかった。
 でもね、先月トナカイのヴィクセンちゃんが黒ちゃんと白ちゃんにバレンタインの贈り物を届けてくれたの。
 ヴィクセンちゃんはサンタクロースさんのトナカイだから、時間も空間も超えて、どこにでもいける。
 それに、実はクマパンちゃんもああ見えてサンタクロースさんのおもちゃ工房出身だから、もしかしたら、さっき、まばたきしたあいだだけ黒ちゃんと白ちゃんに会わせてくれたのかもしれない。
 
 黒ちゃん。白ちゃん。
 元気そうで良かった!
 あたしは、元気に毎日楽しく暮らしてる。
 だから、安心してね。
 ありがとう!
 今でも、これからも、ずっとずっと大好きだからね!

「ねえ、ミケちゃん、きつねこちゃん。これから、うちに来ない? コンちゃんが、パーティーの準備してるから。今日はホワイトデーとひなまつり合同パーティーよ!」
 チャコマロンちゃんが言った。

 あたしたち、4月の旧暦のおひなさままで、おひなさまごっこしているの。

「でも、クマパンちゃん、どっか行っちゃったよ」

「大丈夫よ、きつねこちゃん。クマパンちゃんたら、チャコちゃんの方に走っていったから」

「さすが、ミケちゃん、よく見てる!」

 それから、あたしたちは、チャコマロンちゃんのおうちに行きました。
 そしたら、やっぱり、クマパンちゃんいたよ。
 コンちゃんと、飲めや歌えやの大騒ぎをしていた。

 ありがとう、クマパンちゃん!
 クマパンちゃん、大好き!

 三毛猫ミケ



***



 猫も人間も、春先は体調を崩しやすい季節。

 無病息災からできた言葉に、一病息災があります。 
 無病息災は「病気をせずに健康」ということですが、一病息災は「一つくらい持病がある方が、かえって体をいたわって長生きできる」という意味。
 以前、とある授業で、教授が緊急入院した後に言っていました。「病気というのは、自分を見直す時間」だと。
 病気の時間は、日常から離れた時間。その時間の中で、改めて、自分の体のこと、仕事のこと、家族のことを考えることができたそうです。
 幸い大事には至らずにすんだせいもあって、「たまには病気になるのもいいものだ」なんて軽口をたたいて、学生を笑わせていました。

 そうはいっても、やはり、病気はつらいもの。
 皆さんも無理せず、ご自愛くださいね。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

ちびりゅうのかいかた(プロトタイプ)

関谷俊博
児童書・童話
ちびりゅうは夜店の屋台で良く見かけます。値段は300円とお手頃価格です。

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

処理中です...