17 / 20
トマト甘いか酸っぱいか
しおりを挟む
なんか悲劇のヒーローごっこみたいだが、ほんにんたちは至って真剣だ。
特に、悲嘆にくれるとうもみは。
ベビーわたぐまが歩行器ぐもにレタスを積んで、B・Vとウェイ・ライのところまでトコトコ降りてきた。
「バブバブ」
とうもみの耳にも、無邪気なベビーの声が届く。
きっと待ちくたびれて、ベビーシッターのじゅりを探しにきたんだろう。
彼女は、たった今地面に激突したということも知らずに……かわいそうなベビー!
とうもみの悲嘆は絶望に変わり、彼は地面に倒れたまま言った。
「すまない、ベビー。じゅりを助けると言ったのに。ぼくは……あれっ!?」
顔にベッタリついた赤いもの。
地上に激突したじゅりの返り血……のはず……だよね?
でも、待てよ。
この赤いのって、覚えのある匂いだ。
たぶん、とうもみが食べ慣れているもの。
昨日、バイト先のライブハウス・マロニエの賄いで食べたパスタにも入っていたような……。
言っておくけど、とうもみは吸血鬼の血は引いていない。
ライブハウス・マロニエも吸血鬼クラブではない。
おっかなびっくり、とうもみは、口の周りを舐めてみた。
「トマト?……トマトだ!」
なあーんだ。
目の前が真っ赤に染まったのは、トマトが顔に当たったからだったんだ。
とうもみときたら、落下するじゅりしか見ていなかったからね。
じゅりの陰に隠れて落ちてきたトマトには、てんで気付かなかったんだ。
やれやれ。じゅりの返り血じゃなくて、トマトでほんとに良かったよ。
それじゃあ、じゅりは、どうなった?
特に、悲嘆にくれるとうもみは。
ベビーわたぐまが歩行器ぐもにレタスを積んで、B・Vとウェイ・ライのところまでトコトコ降りてきた。
「バブバブ」
とうもみの耳にも、無邪気なベビーの声が届く。
きっと待ちくたびれて、ベビーシッターのじゅりを探しにきたんだろう。
彼女は、たった今地面に激突したということも知らずに……かわいそうなベビー!
とうもみの悲嘆は絶望に変わり、彼は地面に倒れたまま言った。
「すまない、ベビー。じゅりを助けると言ったのに。ぼくは……あれっ!?」
顔にベッタリついた赤いもの。
地上に激突したじゅりの返り血……のはず……だよね?
でも、待てよ。
この赤いのって、覚えのある匂いだ。
たぶん、とうもみが食べ慣れているもの。
昨日、バイト先のライブハウス・マロニエの賄いで食べたパスタにも入っていたような……。
言っておくけど、とうもみは吸血鬼の血は引いていない。
ライブハウス・マロニエも吸血鬼クラブではない。
おっかなびっくり、とうもみは、口の周りを舐めてみた。
「トマト?……トマトだ!」
なあーんだ。
目の前が真っ赤に染まったのは、トマトが顔に当たったからだったんだ。
とうもみときたら、落下するじゅりしか見ていなかったからね。
じゅりの陰に隠れて落ちてきたトマトには、てんで気付かなかったんだ。
やれやれ。じゅりの返り血じゃなくて、トマトでほんとに良かったよ。
それじゃあ、じゅりは、どうなった?
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる