カエルとカタツムリと子猫のしっぽ(改稿版)

水玉猫

文字の大きさ
13 / 38
いちばんすきな箱

パパたちのどっちかが居なくなったら、あたし、見付けるまで探すからね!

しおりを挟む
 そしたら、箱の外に、パパ・ジェイがいたの。

 あっ、でも、そのときは、パパ・ジェイがパパ・ジェイだとは、あたし、知らなかったんだけど。

 パパ・ジェイは、あたしをじっと見た。
 あたしも、パパ・ジェイをじっと見た。

 パパ・ジェイのこと、あたし、すぐにすきになった。
 どうしてだか、わかんないけど。すごく、すきになったんだ。
 あたしをルーシーにして、捨て猫にした人間とは、ちがう気がしたの。
 頭の中で、猫の神さまがね、「この人間に付いて行きなさい」って、教えてくれたみたいだった。

 それで、あたし、自分でも知らないあいだに、歩いてパパ・ジェイのそばまで行っていたの。
 
 でも、パパ・ジェイったら、あたしに向かって短く鳴くと、大、大、大、大っきらいな箱にあたしをもどして、急いでどっかに行っちゃった。

 あたし、「猫の神さまの嘘つき!」って思った。二回も「捨て猫」になったような気持ちになって、ものすごく悲しくなった。

 パパ・ジェイがなんて鳴いたのか、今みたくわかっていたら、そんな気持ちにならなくてもすんだんだけどね。でも、そのときは、わからなかったんだ。

 パパ・ジェイがいなくなったら、大きな真っ黒な鳥さんがお空から、おりてきた。
 あたしは心の中で「ママ、ママ」って、叫んでいた。ママが来てくれないことは知っていたけど、こわくて心の中だけでも叫ばずにはいられなかった。
 そしたら、急に、鳥さんはあたしの箱から、飛んでいっちゃったの。あたしは、ママが来てくれたのかと思った。でも、来てくれたのは、パパ・ジェイだった。

 パパ・ジェイは、あたしを捨て猫の箱から、別の箱に移してくれた。
 その箱の中は、きれいだった。食べ残しのごはんも、虫さんもいない、きれいな箱だった。

 あたしは猫の神さまに「さっきは嘘つきって言って、ごめんなさい」って、あやまった。


 この箱に入って、あたしは晴れて「なにか」になった。
 それから、あたしは、パパ・ジェイといっしょ。
 パパ・ジェイといっしょにいるパパ・エムとも、いっしょ。
 あたしは、この箱が、いちばんすき!

「ルーシー」から「捨て猫」になって、それから「なにか」になったら、「パパ」ってよぶと、ちゃんと、パパたちが来てくてるようになった。「なにか、どうした」って。
 だから、あたしは「なにか」でいるのが、すき!
「パパ・ジェイ! パパ・エム! 大すき!」って、鳴くのがすき!

 もし、パパ・ジェイとパパ・エムのどっちかが、どっか行っちゃったら、あたし、大きな声で鳴きながら、さがすからね。いっぱい、さがすからね!
 あたし、みつけるまで、いっぱい、いっぱい、さがすからね!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

補佐官と報道官

紅林
BL
ファーシス王国保健省の高官を務める若き男爵、クリフは初恋の相手に婚約者がいることが分かり大変落ち込んでいた そんな時、仕事の関係上よく会う報道官のイーデンから飲みに誘われ一夜を共にしてしまう……

処理中です...