カエルとカタツムリと子猫のしっぽ(改稿版)

水玉猫

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いちばんすきな箱

ルーシーはポイッってされて、捨て猫になった。

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 大きらいな箱といっしょに、あたしは、お外に持って行かれた。
 遠い遠いところにあるお外。
 
 遠いところに行くあいだ、箱がゴトゴトガタガタゆれて、食べなかったごはんがあたしの体に、たくさん当たった。すごく、いやだった。
 虫さんといっしょに、頭の上にふってくることもあった。ものすごく、いやだった。
 体中に、虫さんやごはんの匂いが付いて、気持ち悪くなった。あたしが、ごはんになったみたいだった。


 遠い遠いところまで行くと、箱とあたしは、道の端に置いて行かれた。
 お外は、こわかった。ものすごく、こわかった。
 箱の中にいても、お外だってわかった。
 あたし、ママをよんで、ありったけの声を出して鳴いた。

 そしたら、箱の上のほうがグシャグシャってなって、穴があいた。
 そこから大きな真っ黒の鳥さんの目が、あたしを見ていた。

 あたし、こわくなって、ママをよぶのをやめた。
 いくら鳴いても、ママは助けに来てくれないって、「ルーシー」でいたときに、もうわかっていたんだ。
 捨て猫になって、もひとつ、わかった。あんまり鳴くと、ママの代わりに、この鳥さんみたいに、こわいものがやってくるって。

 鳥さんは、おっきな真っ黒のクチバシで、穴をどんどん大きくしていった。
 あたし、箱のすみっこで、ブルブルふるえていた。
 あたし、心がキュッとなった。
 あたし、これから鳥さんのごはんになっちゃうんだって、なんとなくわかった。だって、あたしの体は、ごはんの匂いがするんだもの。

 でも、急に鳥さんがバタバタって飛んでいった。
 あたしはホッとしたけど、見上げると木の上に鳥さんがいて、あたしのこと、じっと見ている。あたしはゾッとして、もっともっと小さくなって、箱のすみっこにへばりついた。

 そしたら、あたしがへばりついているちょうど外側に、ごつんと、かたいものがぶつかってきた。
  あんまりびっくりして、木の上に鳥さんがいるのもわすれて、あたし「ムニャ!」ってさけんで飛び上がると、箱の外に飛び出ちゃった。


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