カエルとカタツムリと子猫のしっぽ(改稿版)

水玉猫

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いちばんすきな箱

大好きな箱ふたつと、大、大、大きらいな箱ふたつ。

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 でもね、実はね…… あたし、はじめは「なにか」じゃなかった。
 じゃあ、なんだったのって?
 うんと…… わすれちゃった。
 どうしてかっていうと、わすれたいから。
 でもね、わすれたいのに、ときどき、思い出しちゃうんだ。なぜなんだろうね。

 
 あたし、いろんな四角い中にいたの。えっと、箱っていうのかな。箱はね、よっつ、変わった。箱が変わるたんびに、いろんなことが起きた。

 今の「なにか」の箱は、よっつめの箱。
 大好きな箱。いちばん、いい箱。
 それと、はじめの箱も好きな箱。
 このふたつの箱は、わすれたくない箱。

 でも、真ん中のふたつは、大、大、大、大っきらい!!
 ポイッて捨てて、わすれたい箱。


 いちばんはじめの箱はね、ママといっしょにいた箱。
 ママはね、パパ・ジェイやパパ・エムとはちがって、あたしと同じ形をしていた。猫のかたち。大きくて、あったかくって、柔らかくって、優しい匂いがした。その箱には、あたしのきょうだいも、いっしょにいた。この箱にいたときは、とっても、楽しかったんだ。

 でもね。ある日、箱の中を人間が、のぞきこんできた。もち、パパ・ジェイやパパ・エムじゃないよ。
 もし、パパ・ジェイやパパ・エムだったら、あたしには、大きらいな箱なんて、なかった。はじめっから、あたしは「なにか」だった。
 
 あたし、こわかったから、ママにピタッて引っ付いたの。
 でもね、人間の前足がにゅっと伸びてきて、あたしをつまみ上げた。あたしこわくて、ママを呼んで大きな声で鳴いた。
 でも、すぐに、とってもせまくて、くらい箱にとじこめられちゃったんだ。
 だから、ふたつめのこの箱、大きらい!

 そのまま、あたし、ひとりぼっちで、知らないおうちに連れて行かれた。
 そこで、あたしは「ルーシー」になった。

 ここはね、ぜんぜん楽しくなかった。とっても、いやだった。
 ここのおうちの人間は、いろんな大きさがいた。ちっこいのや、ちゅうぐらいのや、おっきいの。
 ちっこいのやちゅうぐらいのが、あたしの耳やしっぽを引っぱたり、頭をたたいたりして、とっても、いやだった。「やめて」って鳴いても、やめてくれないんだよ。
 お爪も切られた。とっても、痛かった。
「なにか」になってから、パパ・ジェイが切ってくれるみたいに先っぽだけチョンじゃなくて、お爪のねもと近くまでバチンッて、切られた。
 だから、逃げてばっかりいた。かくれてばっかりいた。
 ごはんも、あんまり、食べなかった。おなかは、すいたんだけど。
 おトイレもガマンしてた。だって、おトイレまで行くと、つかまっちゃうから。それで、おもらししちゃったの。
 そしたら、頭をバチバチたたかれて、みっつめの箱に入れられた。
 箱の中には、あたしの食べなかったお皿のごはんがいっぱい散らばっていた。ごはんはずっとお皿に出しっぱなしだったから、虫さんたちがわいていた。
 あたしが出れないように、箱が閉められた。ふたつめの箱とおんなじだ。

 ふたつめの箱で「ルーシー」になったように、みっつめのこの箱で、あたしは「捨て猫」になっちゃったんだ。

 このふたつの箱、きらい! 暗くて寒くて、大、大、大、大っきらい!!


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