お前はオレの好みじゃない!

河合青

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番外編 電話しながら……

③(終)

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「……ん、ん~……朝……?」
 昨日は職場の飲み会でタクシーで帰ってきて、それから……。
「あ……?」
 肌寒さを感じて眠たい目を擦れば、明らかに事後でしかないあられもない格好の自分がいて一気に目が覚めてしまった。
 後ろの穴からは生温かい物が溢れ出てる。一人でシたんなら潤滑油だろう。いつもと違う場所に置いてあるから、多分使ったんだと思う。
「昨日帰ってきて……一人だったのは確かだから……」
 脱ぎかけの下着を履き直し、頭を抱えながら昨日のことを思い出す。
「……高瀬から電話があったよな」
 嫌な予感がしてきた。
 スマホを手に取り履歴を確認すれば、確かに高瀬からの着信があって、それなりの時間話もしていたようだった。
 が、全く内容が思い出せない。
 急いでメッセージアプリを立ち上げて、高瀬へと昨日の夜についてのメッセージを作る。
 高瀬から昨日の夜に送られていたメッセージも今気が付いた。
 飲み会終わりましたか?
 ちゃんと帰れましたか?
 そんなメッセージがぽつぽつと送られてきていて、意外だなと驚いてしまう。
「……こういう束縛っぽいことしないヤツだと思ってた」
 オレの方が社会人ということもあって、不安になってしまうのかもしれない。
 オレだって、高瀬相手に不安を覚えることはある。それは高瀬が悪いわけじゃなくて、元々ノンケだった高瀬にどうしても感じてしまうものだ。
 それはオレの問題だし、高瀬にどうにかしてほしいわけでもない。少しずつ、オレが高瀬との関係に自信を持っていくしかないんだろう。
 同じように高瀬も不安を感じているんだろう。もう少し高瀬を安心させる言動を意識してやったほうがいいのかもしれない。
 恋愛経験は劣るだろうけどオレの方が歳上なわけだし、その辺りは高瀬に負担をかけたくはない。
 それはそれとして、だ。
 昨日の夜の電話、何にも覚えてないんだけどどんな話しした?
 悩んで、悩んで、出来た文章がこれだ。これ以外に聞きようがない。
 返事を待つ間にシャワーを浴びてしまおうと思ったけど、すぐに高瀬から電話が掛かってきてしまった。
『おはようございます。さっきのメッセージですけど、あれって本当にですか? 照れ隠しじゃなくて?』
「そう聞いてくるってことはオレが恥ずかしくなるようなこと話したってことか……」
 高瀬と電話で話して、それでムラムラして一人でヌいたってことなんだろう。
 こんなこと初めてだから、自分自身に困惑してしまう。
『俺は嬉しかったですよ? あれって普段恭ちゃんが言えずにいたことだと思うから』
「……オレ、何言ったんだ?」
『高瀬のことが好き~って感じでした』
 嘘でも、隠してることでもないけど、あんまり口にしていない自覚はあるから気恥ずかしさはある。
「何にも覚えてない」
『あはは、俺は別に忘れられてて困ることはないですし大丈夫ですよ』
 高瀬がそう言うのならいいけれど。
 会話が途切れ、一瞬沈黙が落ちてくる。まだ電話を切りたくなくて、余計なことだと思いつつも口を開いた。
「……お前のことが好きっていうのは本当なんだよ。オレさ、今までこういうこともなかったし」
『こういうことって、酔って一人でシちゃうってこと?』
「そう……ていうか、そもそも性欲強いわけでもないというか……。高瀬と付き合ってから一人ですることも増えたような……」
 何言ってんだろうな、オレ。
 口が滑ったことに気付いて、言葉を飲み込む。酔ってた昨日より恥ずかしいことを口走ってるんじゃないだろうか。
『恭ちゃん、もし今日時間あったら会えませんか?』
 その誘いに、下半身が疼いてしまった。覚えてないけど、昨日一人でシたんじゃ全然足りなかったんだろう。
「……大丈夫。昨日行けなかったし飲み行くか?」
『飲みは軽くにしましょう。今夜は覚えておいてほしいですし』
「……すけべだな」
 高瀬は気にする様子もなく笑い飛ばして、また後でと電話を切った。
 体中が熱いのは、二日酔いなんかじゃない。高瀬との通話が終わってもしばらくは、その熱は抜けてはくれなかった
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