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【2】
10.セックスって、どんな感じ?
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店に入る前からガチガチに緊張していた透の背を叩きながら、ママのバーに向かったのが一時間前。
ようやく慣れてきたのか、透は酔いの回ったほんのりと赤い頬に笑顔を浮かべながら話せるようになってきた。
「陽、すごいね」
「え?」
「さっきから色んな人に声掛けられてる。おれには真似できないよ」
「からかわれてるだけだったけどね」
何度か来ているうちに顔馴染みも増えてきて、普段一緒の恭ちゃんではない相手を連れているからとみんなが俺に興味本位の声を掛けた。
浮気かとか、捨てられたかとか、冗談にしてももっとマシなことを言ってくれと思うけど、声を掛けられる度に緊張しきっていた透の表情も和らいでいったから良いとしよう。
「一人でこういうとこに来る勇気があれば良かったんだろうなぁ」
「何言ってんだよ。今からでも遅くないって」
「そうよ、新しいお客さんは大歓迎なんだから」
ショーコママが二人分の新しいグラスを用意しながら、俯きがちな透の肩を思い切り叩く。
裏表のないママの笑顔を前に、透もほっとしたように笑っていた。
他のお客さんに呼ばれて離れていくママの背中を眺めながら、透は新しいグラスに口を付けて楽しそうに頬を緩める。
「陽、誘ってくれてありがとう。……すごく楽しい」
「それなら良かった」
さっきからずっと周りの様子を窺いながら、俺に声を掛けてきた相手にニコニコと対応していた透だ。
もしかしたら余計なお世話だったのかもと思っていたから、楽しいと言ってもらえてほっとした。
「おれ、自分がゲイだってことユウにしか話してなくて……でもユウはそうじゃないからあんまり深くまで話せてはいなくて。こうやって自分を隠さずに誰かと話をしたことってなかったから、凄く気持ちが楽になるよ」
「ママもさっきああ言ってくれたし、いつでも遊びに来て良いんだからさ」
透は頷くと、グラスを置いてじっと俺の顔を覗き込んだ。
どうしたのかと首を傾げれば、透はおずおずと言葉を探すように口を開く。
「こんな話出来るのも陽しかいないから聞いてみたいんだけど……いい?」
「俺にわかる話なら」
「……じゃあ、その、セックスってどんな感じなの?」
透は耳まで真っ赤にしながら、指先でグラスを撫でている。飲み会での男同士の猥談じゃなくて、真剣に問いかけられていることはすぐにわかったから俺は言葉を探し考え込んだ。
「どんな……って聞かれても難しいんだけど、透は今までしたことない?」
言葉はなく頷く透。俺が初めての時ってどうだったかなぁと思い出そうとしたけど、女の子相手の話じゃ意味がない。
恭ちゃん相手の時のことなら、もうすっかり慣れてしまっていたから透の抱えているだろう不安はなくなってしまっていた。
「俺は抱く側だから男相手だから凄く何かが変わるって感じはしなかったけど……初めてのことだし上手く出来るか緊張したくらいかなぁ……」
「そうなんだ。面倒とかは思わなかった?」
「全然。だって好きなんだから」
セックスがしたいんじゃなくて、好きだから触れたいだけだ。
恭ちゃんの準備は大変そうだと思うけど、俺の方から何か面倒だと思うようなことはなにもない。
「そもそも、そういうの相手は気にしないんじゃない? 相手だって男が好きでセックスしようと思うんなら、そこを面倒だとは思わないと思うよ」
男相手でも女相手でも、挿れたいだけでその他を面倒だという奴は流石にどうかと思う。前にも女友達にこういう相談されて同じように返したことを思い出して、つい苦笑がこぼれた。
「……まぁ、世の中にはそういう人もいるけどさ。俺は透は大事な友達だから、やっぱり大事にしてくれる人と付き合って欲しいけどな」
話しているうちに兄貴の顔が浮かんできて、どうか透がああいう男に引っかからないようにと祈ってしまった。
ようやく慣れてきたのか、透は酔いの回ったほんのりと赤い頬に笑顔を浮かべながら話せるようになってきた。
「陽、すごいね」
「え?」
「さっきから色んな人に声掛けられてる。おれには真似できないよ」
「からかわれてるだけだったけどね」
何度か来ているうちに顔馴染みも増えてきて、普段一緒の恭ちゃんではない相手を連れているからとみんなが俺に興味本位の声を掛けた。
浮気かとか、捨てられたかとか、冗談にしてももっとマシなことを言ってくれと思うけど、声を掛けられる度に緊張しきっていた透の表情も和らいでいったから良いとしよう。
「一人でこういうとこに来る勇気があれば良かったんだろうなぁ」
「何言ってんだよ。今からでも遅くないって」
「そうよ、新しいお客さんは大歓迎なんだから」
ショーコママが二人分の新しいグラスを用意しながら、俯きがちな透の肩を思い切り叩く。
裏表のないママの笑顔を前に、透もほっとしたように笑っていた。
他のお客さんに呼ばれて離れていくママの背中を眺めながら、透は新しいグラスに口を付けて楽しそうに頬を緩める。
「陽、誘ってくれてありがとう。……すごく楽しい」
「それなら良かった」
さっきからずっと周りの様子を窺いながら、俺に声を掛けてきた相手にニコニコと対応していた透だ。
もしかしたら余計なお世話だったのかもと思っていたから、楽しいと言ってもらえてほっとした。
「おれ、自分がゲイだってことユウにしか話してなくて……でもユウはそうじゃないからあんまり深くまで話せてはいなくて。こうやって自分を隠さずに誰かと話をしたことってなかったから、凄く気持ちが楽になるよ」
「ママもさっきああ言ってくれたし、いつでも遊びに来て良いんだからさ」
透は頷くと、グラスを置いてじっと俺の顔を覗き込んだ。
どうしたのかと首を傾げれば、透はおずおずと言葉を探すように口を開く。
「こんな話出来るのも陽しかいないから聞いてみたいんだけど……いい?」
「俺にわかる話なら」
「……じゃあ、その、セックスってどんな感じなの?」
透は耳まで真っ赤にしながら、指先でグラスを撫でている。飲み会での男同士の猥談じゃなくて、真剣に問いかけられていることはすぐにわかったから俺は言葉を探し考え込んだ。
「どんな……って聞かれても難しいんだけど、透は今までしたことない?」
言葉はなく頷く透。俺が初めての時ってどうだったかなぁと思い出そうとしたけど、女の子相手の話じゃ意味がない。
恭ちゃん相手の時のことなら、もうすっかり慣れてしまっていたから透の抱えているだろう不安はなくなってしまっていた。
「俺は抱く側だから男相手だから凄く何かが変わるって感じはしなかったけど……初めてのことだし上手く出来るか緊張したくらいかなぁ……」
「そうなんだ。面倒とかは思わなかった?」
「全然。だって好きなんだから」
セックスがしたいんじゃなくて、好きだから触れたいだけだ。
恭ちゃんの準備は大変そうだと思うけど、俺の方から何か面倒だと思うようなことはなにもない。
「そもそも、そういうの相手は気にしないんじゃない? 相手だって男が好きでセックスしようと思うんなら、そこを面倒だとは思わないと思うよ」
男相手でも女相手でも、挿れたいだけでその他を面倒だという奴は流石にどうかと思う。前にも女友達にこういう相談されて同じように返したことを思い出して、つい苦笑がこぼれた。
「……まぁ、世の中にはそういう人もいるけどさ。俺は透は大事な友達だから、やっぱり大事にしてくれる人と付き合って欲しいけどな」
話しているうちに兄貴の顔が浮かんできて、どうか透がああいう男に引っかからないようにと祈ってしまった。
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