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【2】
12.あなたのことばかり考えている
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透の言葉を、ふと思い出す。
女の子だったら、抱いてくれた?
恭ちゃんも、そんな風に思うことがあったりするんだろうか。
男じゃなかったら。女だったら。
俺はそんなこと思ったこともなくて、やっぱりわからないことってたくさんあるんだなと思い知らされる。
「はーる、隣いい?」
珍しく時間より大分早めに講義室にやってきた悠一。今日は出るんだと笑いかければ、単位ヤバいしと笑えない答えが返ってきた。
「あのさー、透のことなんだけど」
鞄の中から教科書を出しながら、特別なことではないような調子で悠一は話し出す。
透のことと言われたら思い当たることは一つしかない。俺は悠一の横顔に目をやり、言葉の続きを待った。
「アイツがゲイだってこと、陽にバレたんだろ?」
「あー、うん」
「お前そういうの全然気にしなさそうだよな」
あはは、と笑っている悠一にどう答えたものか悩んでしまう。
結局、曖昧に頷くだけしか出来なかった。
「多分あいつ酔って変なこと言ったと思うけど、距離取ったりしないでやってほしい」
「それは、大丈夫。俺は気にしてないから」
悠一がどこまで知っていてそんな話をしているかはわからない。
でも、普段はへらへらとしていることの多い悠一が真剣なトーンで口にするから俺は茶化すことなく頷いた。
「あいつ、前にも一回ゲイだってバレたことあってさ、その時仲良かった友達が離れちゃったんだよ。そいつ、気にしてないような顔してさ、透に『ゲイだっていうなら一回ヤッてみる?』なんて言いやがって」
眉間に皺を寄せ、悠一は重たい溜め息を吐いた。今でもその時の怒りが鮮明に蘇るようで、俺はその横顔に少し驚いてしまう。
「透は真に受けたっていうか……向こうはからかってたのにそっちがいいなら、みたいな反応しちゃったから相手がドン引きでさ……オレからしたらアイツの冗談の方がドン引きだっての」
「それは相手が酷いよね……」
「だろ?」
俺へと顔を向け、長い溜め息を吐く悠一。もう一度俺の目を見ると、ほっとした様子で頬を緩めた。
「陽がそういうヤツじゃなさそうで安心した」
悠一の笑顔に胸が痛む。
俺はあの時、もちろん冗談なんかじゃなかったけど恭ちゃんに近いようなことは言って迫ったわけだから、よく嫌われずに済んだなと今更ながら思ってしまう。
曖昧な相槌を打つ俺に、悠一は不思議そうな目を向けていたが何でも無いと首を横に振った。
クリスマスまであと二週間ほど。ちょっと背伸びしたデートを提案したけど、恭ちゃんはそれよりもどっちかの部屋でゆっくり過ごしたいと返信が来た。
ケーキや食べ物の予約を済ませ、一通りの準備は済ませている。
「プレゼントどうしようかな……」
スマホでクリスマスプレゼントのオススメを調べているけど、いい案が出てこない。
この前はショーコママにも相談したけど、ハルちゃんの選ぶものなら何でも喜ぶでしょなんて言われてしまい悩む一方だ。
「財布や時計は……大学生から贈られるのは違うだろうし、高いお酒……でも形に残るものあげたいしな……」
ベッドの上でスマホと睨み合うが、中々答えは見つからない。
今までの彼女には、プレゼントの際には欲しい物を聞いてから用意をしていた。それで相手も喜んでくれていたから、十分だと思っていた。
「ん~、聞いちゃうか……でもなぁ……」
自分で考えて、恭ちゃんの喜ぶものを選びたい。そんなことを考えてしまう。
「……指輪、とか。いや、流石に重いか……?」
渡したい気持ちはあるけど、もう少し恭ちゃんの気持ちを聞いてからにしたい。例えば職場に付けていきたいとかプライベートしか使わないかとか、その辺りでも選ぶデザインだって変わってくる。
「最近お昼も食べに来れてないし……大丈夫かな」
昨日送ったメッセージには今朝返信があったけど、中々仕事は落ち着かないらしい。
もしかしたら週末は飲みに行けるかもと言っていたけど、どうなるかはわからないとか。
毎年年末はそんなもんだと笑っていたけど、俺は全然笑えない。
恭ちゃんが倒れちゃうんじゃないかって心配になるにけど、社会人にとってはこれくらい当たり前なんだろうか。
「旅行のことも聞かないとだった」
これは直接会って話したいと思っていたから昼に会えた時に話そうと思っていたけど、中々そのタイミングが摑めなかった。
一度悠一には、いつまでも保留は悪いから今回は欠席でと伝えたけど、ギリギリまで待つから気にすんなと言ってもらえて、その言葉に甘えている。
週末に会えそうならその時でも間に合うだろうし、そこで確認してみよう。
「……ん?」
スマホに表示されたのは透からのメッセージ通知だった。
気まずさがあるのか、あれからしばらく透と二人で話は出来ていなかったから、こうして連絡が来たことにほっとしてしまう。
明日午後の授業がないから空いてたら一緒にご飯でもどうかという、よくあるお昼のお誘いだ。
断る理由なんてない。すぐにオーケーの返事をすれば喜ぶ犬のスタンプが返ってきた。
せっかくだし、透に恭ちゃんへのプレゼントについて相談してみようかな。透だったら普段の持ち物のセンスも良いから、いいアドバイスが貰えそうだ。
女の子だったら、抱いてくれた?
恭ちゃんも、そんな風に思うことがあったりするんだろうか。
男じゃなかったら。女だったら。
俺はそんなこと思ったこともなくて、やっぱりわからないことってたくさんあるんだなと思い知らされる。
「はーる、隣いい?」
珍しく時間より大分早めに講義室にやってきた悠一。今日は出るんだと笑いかければ、単位ヤバいしと笑えない答えが返ってきた。
「あのさー、透のことなんだけど」
鞄の中から教科書を出しながら、特別なことではないような調子で悠一は話し出す。
透のことと言われたら思い当たることは一つしかない。俺は悠一の横顔に目をやり、言葉の続きを待った。
「アイツがゲイだってこと、陽にバレたんだろ?」
「あー、うん」
「お前そういうの全然気にしなさそうだよな」
あはは、と笑っている悠一にどう答えたものか悩んでしまう。
結局、曖昧に頷くだけしか出来なかった。
「多分あいつ酔って変なこと言ったと思うけど、距離取ったりしないでやってほしい」
「それは、大丈夫。俺は気にしてないから」
悠一がどこまで知っていてそんな話をしているかはわからない。
でも、普段はへらへらとしていることの多い悠一が真剣なトーンで口にするから俺は茶化すことなく頷いた。
「あいつ、前にも一回ゲイだってバレたことあってさ、その時仲良かった友達が離れちゃったんだよ。そいつ、気にしてないような顔してさ、透に『ゲイだっていうなら一回ヤッてみる?』なんて言いやがって」
眉間に皺を寄せ、悠一は重たい溜め息を吐いた。今でもその時の怒りが鮮明に蘇るようで、俺はその横顔に少し驚いてしまう。
「透は真に受けたっていうか……向こうはからかってたのにそっちがいいなら、みたいな反応しちゃったから相手がドン引きでさ……オレからしたらアイツの冗談の方がドン引きだっての」
「それは相手が酷いよね……」
「だろ?」
俺へと顔を向け、長い溜め息を吐く悠一。もう一度俺の目を見ると、ほっとした様子で頬を緩めた。
「陽がそういうヤツじゃなさそうで安心した」
悠一の笑顔に胸が痛む。
俺はあの時、もちろん冗談なんかじゃなかったけど恭ちゃんに近いようなことは言って迫ったわけだから、よく嫌われずに済んだなと今更ながら思ってしまう。
曖昧な相槌を打つ俺に、悠一は不思議そうな目を向けていたが何でも無いと首を横に振った。
クリスマスまであと二週間ほど。ちょっと背伸びしたデートを提案したけど、恭ちゃんはそれよりもどっちかの部屋でゆっくり過ごしたいと返信が来た。
ケーキや食べ物の予約を済ませ、一通りの準備は済ませている。
「プレゼントどうしようかな……」
スマホでクリスマスプレゼントのオススメを調べているけど、いい案が出てこない。
この前はショーコママにも相談したけど、ハルちゃんの選ぶものなら何でも喜ぶでしょなんて言われてしまい悩む一方だ。
「財布や時計は……大学生から贈られるのは違うだろうし、高いお酒……でも形に残るものあげたいしな……」
ベッドの上でスマホと睨み合うが、中々答えは見つからない。
今までの彼女には、プレゼントの際には欲しい物を聞いてから用意をしていた。それで相手も喜んでくれていたから、十分だと思っていた。
「ん~、聞いちゃうか……でもなぁ……」
自分で考えて、恭ちゃんの喜ぶものを選びたい。そんなことを考えてしまう。
「……指輪、とか。いや、流石に重いか……?」
渡したい気持ちはあるけど、もう少し恭ちゃんの気持ちを聞いてからにしたい。例えば職場に付けていきたいとかプライベートしか使わないかとか、その辺りでも選ぶデザインだって変わってくる。
「最近お昼も食べに来れてないし……大丈夫かな」
昨日送ったメッセージには今朝返信があったけど、中々仕事は落ち着かないらしい。
もしかしたら週末は飲みに行けるかもと言っていたけど、どうなるかはわからないとか。
毎年年末はそんなもんだと笑っていたけど、俺は全然笑えない。
恭ちゃんが倒れちゃうんじゃないかって心配になるにけど、社会人にとってはこれくらい当たり前なんだろうか。
「旅行のことも聞かないとだった」
これは直接会って話したいと思っていたから昼に会えた時に話そうと思っていたけど、中々そのタイミングが摑めなかった。
一度悠一には、いつまでも保留は悪いから今回は欠席でと伝えたけど、ギリギリまで待つから気にすんなと言ってもらえて、その言葉に甘えている。
週末に会えそうならその時でも間に合うだろうし、そこで確認してみよう。
「……ん?」
スマホに表示されたのは透からのメッセージ通知だった。
気まずさがあるのか、あれからしばらく透と二人で話は出来ていなかったから、こうして連絡が来たことにほっとしてしまう。
明日午後の授業がないから空いてたら一緒にご飯でもどうかという、よくあるお昼のお誘いだ。
断る理由なんてない。すぐにオーケーの返事をすれば喜ぶ犬のスタンプが返ってきた。
せっかくだし、透に恭ちゃんへのプレゼントについて相談してみようかな。透だったら普段の持ち物のセンスも良いから、いいアドバイスが貰えそうだ。
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