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第14話 女騎士団長クレアの強襲(美人)
グラウエル——温泉教会の前。
俺は分身たちと一緒に、城下町の建設を進めていた。
テラ沢さんと眷属たちが土を耕し、ダリオたちが木材を運び、使徒たちが黙々と組み上げていく。
なかなか順調だ。
「ユーヤ様~、お茶どうぞ~」
リーシャが湯気の立つカップを差し出してきた。
「おお、ありがとう」
一息つこうとした、その時——
「——そこの者たちッ!」
凛とした声が響いた。
振り向くと——銀髪の女が立っていた。
ショートカット。鎧を纏った騎士の装い。背筋がピンと伸びている。
その後ろには、武装した兵士が10人ほど。
「私はバロン=ゲルツ配下、騎士団長クレア=ヴァンガードだ!」
女騎士が剣の柄に手をかけた。
「この土地は、ゲルツ男爵領の管轄である!不法占拠者は速やかに退去せよ!」
……なんだ、朝っぱらから。
「いや、ここグラウエルだけど」
「黙れ!グラウエルは廃棄地だ。管理者不在の土地はゲルツ男爵の管轄に——」
「いやいや、廃棄されてるなら誰のものでもないだろ」
「屁理屈を……!」
クレアの眉がピクリと動いた。
すんごい美人だな、この人。怒ってても絵になる。
「お頭ァ!どうしやす!?」
ダリオたちが武器を構える。
「落ち着け落ち着け」
俺は手を振った。
「ユーヤ様~、あの人たち、追い払いましょうか~?」
リーシャがにこにこしながら言う。使徒たちも臨戦態勢だ。
「いや、まずは話を——」
「問答無用!抵抗するならば、力尽くで排除する!」
クレアが剣を抜いた。
兵士たちも武器を構える。
……話を聞く気ゼロかよ。
「しょうがないな……ヴォル吉くん」
「グルル?」
俺の肩に乗っていたヴォル吉くんが、首を傾げた。
「ちょっとでっかくなってくれる?」
「グルッ」
ヴォル吉くんの体が光り——
ドゴォォォン!!
子犬サイズだったドラゴンが、一瞬で元の巨体に戻った。
翼を広げると、温泉教会全体を覆うほどの大きさだ。
「ド、ドラゴン……!?」
クレアの顔が青ざめた。
「本当に、いたのか……!」
兵士たちがガタガタ震え始める。
そりゃそうだ。目の前にSランク災害級の魔物がいるんだから。
——今だ!
「分身!」
ボボボボボボボンッ!!
一瞬で20人くらいの分身を展開。
兵士たちの足元に群がり、縄を巻きつけていく。
「な、なんだこれは!!」
「くそっ……動かない!!」
混乱する兵士たち。
ドラゴンに気を取られてる隙に、あっという間に拘束完了だ。
「ク、クレア様ァ!!」
「落ち着け!……っ!」
クレアも動こうとするが、分身たちに拘束されて身動きが取れない。
「くっ……卑怯な……!」
「卑怯?」
俺は肩をすくめた。
「そっちが問答無用で斬りかかってきたんだろ…?」
「……っ」
クレアが唇を噛む。
「まあ、落ち着けって。こっちに争う気はない」
俺は兵士たちを見回した。
「引くなら、解放するが?」
「……」
クレアが黙り込む。
葛藤しているのが分かる。騎士としての矜持と、現実との折り合い。
長い沈黙の後——クレアが深く息を吐いた。
「……分かった。今日のところは、引いてやる」
「賢明な判断だ」
俺は分身たちを解除した。
解放された兵士たちが慌てて後ずさる。
「だ、団長……!」
「……撤退だ」
クレアが踵を返した。
「だが、覚えておけ!ゲルツ男爵は、この無礼を許さない!」
「はいはい」
兵士たちが駆け出す。クレアも歩き出した——が、一瞬だけ、こちらを振り返った。
その目には、怒りだけでなく、何か別の感情が混ざっているように見えた。
「ユーヤ様~、追いかけなくていいんですか~?」
「いいよ、別に。殺し合いしたいわけじゃないし」
「えへへ~、優しいですね~」
ヴォル吉くんが元のサイズに戻る。
「グルル」
「疲れた」という顔をしている。
「お疲れ様。後でおやつあげるからな」
「グルッ!」
急に元気になった。現金なやつだ。
————————————————————
数日後。
俺たちは相変わらず、城下町の建設を進めていた。
「お頭ァ!また人が来てるっす!」
ダリオが駆け込んできた。
「また騎士団か?」
「いや、一人だけっす。フードを被った女で——なんか怪しいっす」
一人?
俺は立ち上がって、入り口の方へ向かった。
——そこにいたのは、フード付きのマントを被った女だった。
顔は見えないが、体つきからして若い女性だろう。
「……誰だ?」
女が、ゆっくりとフードを下ろした。
俺は分身たちと一緒に、城下町の建設を進めていた。
テラ沢さんと眷属たちが土を耕し、ダリオたちが木材を運び、使徒たちが黙々と組み上げていく。
なかなか順調だ。
「ユーヤ様~、お茶どうぞ~」
リーシャが湯気の立つカップを差し出してきた。
「おお、ありがとう」
一息つこうとした、その時——
「——そこの者たちッ!」
凛とした声が響いた。
振り向くと——銀髪の女が立っていた。
ショートカット。鎧を纏った騎士の装い。背筋がピンと伸びている。
その後ろには、武装した兵士が10人ほど。
「私はバロン=ゲルツ配下、騎士団長クレア=ヴァンガードだ!」
女騎士が剣の柄に手をかけた。
「この土地は、ゲルツ男爵領の管轄である!不法占拠者は速やかに退去せよ!」
……なんだ、朝っぱらから。
「いや、ここグラウエルだけど」
「黙れ!グラウエルは廃棄地だ。管理者不在の土地はゲルツ男爵の管轄に——」
「いやいや、廃棄されてるなら誰のものでもないだろ」
「屁理屈を……!」
クレアの眉がピクリと動いた。
すんごい美人だな、この人。怒ってても絵になる。
「お頭ァ!どうしやす!?」
ダリオたちが武器を構える。
「落ち着け落ち着け」
俺は手を振った。
「ユーヤ様~、あの人たち、追い払いましょうか~?」
リーシャがにこにこしながら言う。使徒たちも臨戦態勢だ。
「いや、まずは話を——」
「問答無用!抵抗するならば、力尽くで排除する!」
クレアが剣を抜いた。
兵士たちも武器を構える。
……話を聞く気ゼロかよ。
「しょうがないな……ヴォル吉くん」
「グルル?」
俺の肩に乗っていたヴォル吉くんが、首を傾げた。
「ちょっとでっかくなってくれる?」
「グルッ」
ヴォル吉くんの体が光り——
ドゴォォォン!!
子犬サイズだったドラゴンが、一瞬で元の巨体に戻った。
翼を広げると、温泉教会全体を覆うほどの大きさだ。
「ド、ドラゴン……!?」
クレアの顔が青ざめた。
「本当に、いたのか……!」
兵士たちがガタガタ震え始める。
そりゃそうだ。目の前にSランク災害級の魔物がいるんだから。
——今だ!
「分身!」
ボボボボボボボンッ!!
一瞬で20人くらいの分身を展開。
兵士たちの足元に群がり、縄を巻きつけていく。
「な、なんだこれは!!」
「くそっ……動かない!!」
混乱する兵士たち。
ドラゴンに気を取られてる隙に、あっという間に拘束完了だ。
「ク、クレア様ァ!!」
「落ち着け!……っ!」
クレアも動こうとするが、分身たちに拘束されて身動きが取れない。
「くっ……卑怯な……!」
「卑怯?」
俺は肩をすくめた。
「そっちが問答無用で斬りかかってきたんだろ…?」
「……っ」
クレアが唇を噛む。
「まあ、落ち着けって。こっちに争う気はない」
俺は兵士たちを見回した。
「引くなら、解放するが?」
「……」
クレアが黙り込む。
葛藤しているのが分かる。騎士としての矜持と、現実との折り合い。
長い沈黙の後——クレアが深く息を吐いた。
「……分かった。今日のところは、引いてやる」
「賢明な判断だ」
俺は分身たちを解除した。
解放された兵士たちが慌てて後ずさる。
「だ、団長……!」
「……撤退だ」
クレアが踵を返した。
「だが、覚えておけ!ゲルツ男爵は、この無礼を許さない!」
「はいはい」
兵士たちが駆け出す。クレアも歩き出した——が、一瞬だけ、こちらを振り返った。
その目には、怒りだけでなく、何か別の感情が混ざっているように見えた。
「ユーヤ様~、追いかけなくていいんですか~?」
「いいよ、別に。殺し合いしたいわけじゃないし」
「えへへ~、優しいですね~」
ヴォル吉くんが元のサイズに戻る。
「グルル」
「疲れた」という顔をしている。
「お疲れ様。後でおやつあげるからな」
「グルッ!」
急に元気になった。現金なやつだ。
————————————————————
数日後。
俺たちは相変わらず、城下町の建設を進めていた。
「お頭ァ!また人が来てるっす!」
ダリオが駆け込んできた。
「また騎士団か?」
「いや、一人だけっす。フードを被った女で——なんか怪しいっす」
一人?
俺は立ち上がって、入り口の方へ向かった。
——そこにいたのは、フード付きのマントを被った女だった。
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「……誰だ?」
女が、ゆっくりとフードを下ろした。
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