溺愛のフリから2年後は。

橘しづき

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同僚の反応

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「え!? 岡部さん、結婚したんですか!?」

 同僚たちが一斉に声を合わせて驚いた。愛理は少し微笑んで頷く。

「うん。苗字変わったけど、わかりにくいから岡部のまま呼んでほしいな」

「えー! おめでとうございますー!!」

 女性社員たちがわっと声を上げて祝った。みんな愛理と共に働く仲間たちで、中央に立つのは三個年下の小野寺優実だ。普段から愛理を慕ってよく声を掛けてきてくれる可愛い後輩なのだが、キラキラと輝いた目で愛理を見ており、偽装結婚の愛理は胸が痛んだ。みんな祝ってくれてるのに、本当の結婚じゃないなんて……。

「岡部さん、結婚祝い何がいいですか!? いつもお世話になってるのでそのお礼もかねて」

「い、いやいいから」

「私たち本当に岡部さんによくしてもらってますから……仕事出来てクールでかっこいいし、そんな岡部さんが結婚なんてほんと嬉しいですっ」

 愛理の周りにいる女性社員は常々、小野寺を中心に『岡部さんに告白されたら断れる自信がない』と言うほど彼女に懐いていた。愛理も知らないうちにクール、なんてキャラが出来上がっており、今更中身は結構おおざっぱ人間だと言いづらい。少年漫画片手にビールを飲むのが楽しみだなんて、職場の人間は誰も知らない。
 
 愛理はすっと立ち上がり、涼しい顔で答える。

「気持ちだけで十分。会議の準備があるから行くね。みんなありがと」

「あ、岡部さん……」

 そそくさとその場から逃げ出し、廊下に出るとはあとため息をついた。引っ越しや名前の変更手続きをしているのを、誰かに見られてしまったらしく、結婚話は一気に広まってしまったのだ。気まずいなあ、と頬を掻きながら歩き始める。

 湊斗と結婚という形になり、親も友人も同僚も盛大に祝ってくれる。それはありがたいが、特殊な結婚をしてしまったので良心が痛む。幼馴染とルームシェアしてるだけなんてなあ。

 一人唸りながら廊下を進んでいると、背後から声がした。

「岡部!」

 振り返ると、同期の山本俊哉だった。入社してから同期として愛理と仲良く、仕事に関しての相談などよく話している。すらりと高身長で短髪の、スポーツマンだった。学生時代はサッカー部で全国大会にも出場したらしい。

「山本くん。どうしたの」

「今小耳に挟んで……結婚した、って」

 山本は戸惑った顔で愛理にそう尋ねた。噂の広まる速さに呆れつつ、愛理は答える。

「うん、そう。先週に」

「そ、そうなのか……付き合ってるやつがいる、っていうのは聞いたことあったけど、そいつと?」

「うん、そう」

 山本はわかりやすく表情を暗くさせたが、愛理は全く気が付いていなかった。山本はすぐにパッと笑顔になり、笑って愛理に言う。

「そっかそっか、おめでとう。入社してから誰に言い寄られても断り続けてきた岡部が、交際相手が出来たって言った時は驚いたけど、結婚までするとはな。結婚式とか計画してんの?」

「ううん、特に挙げるつもりない」

「そうなんだ? まあ最近はそういうカップル多いっていうよなあ。金かかるし。その分婚約指輪に金掛けたり?」

「いや、そんなのはない」

「……あ、ああ、結婚指輪はこだわったり?」

「別に付ける予定ない」

 山本の表情がわかりやすく固まったところで、愛理はハッと気が付いた。馬鹿正直に答えていたことがよくないと、ようやく自覚した。

(しまった、これじゃ全然仲良くないみたいだ! 新婚なんだった……)

 これだから自分は! 演技力が低すぎる。『ダーリンにおっきい石の指輪おねだりしちゃったの』ぐらい言った方がいいに決まってる。もしくは『ダーリンとお揃いの時計にするつもりなの』これもいいじゃないか。

「いや、えーとダー……」

「だ?」

「ダー……台所にこだわってて。新居にお金掛けたかも」

 やっぱり呼べるか、ダーリンなんて。

 山本はようやくああ、と納得した表情になる。

「なるほど。岡部って料理とかもそつなくしそうだもんな。旦那が羨ましいよ……」

(料理は向こうの役なんだけどなー……でもここで本当のことを言ったら、せっかく納得してくれたのにまた変な感じになるかもしれない。黙っておこう。湊斗ごめん)

 得意料理はソースをかけるだけのパスタです、ごめんなさい。

 山本は目を細めて愛理を見つめる。

「相手、どんなやつなの?」

 山本の質問に、愛理は即座に答えた。

「文句の付け所がない人間だよ」

「うぇ、絶賛じゃん……」

「いや、これがほんとにそうでね」

 これは『仲のいい新婚を演じなくては』という義務感からではなく、率直に出た愛理の湊斗への印象だった。愛理から見た湊斗は、いつでも完璧な人だった。

(だって顔もいいし、性格もいいし、家事も出来ちゃうしなあ。学生時代は成績も結構よくて、今でも頭の回転がいいのが分かるし)

 愛理は昔から、ずぼらな自分とは違っていつもきちっとした湊斗は見習うべき人間だと思ってきた。

 それに、どちらかと言えば気が強くて思ったことをすぐに言ってしまう愛理は、周りとの人間関係に悩むことがよくあった。社会人になるとこの性格は逆に頼りになる、と思われてトラブルは無くなったが、学生時代はそうもいかなかった。

 一番辛かったのは中学一年生。クラス中の女子に無視されて辛い時間を過ごしたことがある。あまりあの時のことは思い出したくない。その頃も、湊斗に愚痴を聞いてもらって楽になった思い出がある。

 湊斗は逆に、どんな時でも空気を読んで人と上手く関わっていける。愛理からすると、湊斗は頼りがいがあって信頼できる親友だった。幼い頃はよく泣いて愛理の後ろに隠れていた可愛らしい男子だったのに、いつの間にこんな完璧人間に育ったのだろう。

 泣いていたあの頃がたまに恋しくもなる。

(まあ、結婚に関しては強引な手を使ってきてびっくりしたけど……基本的に、湊斗は本当に完璧な人間なんだよなあ)

「断言しちゃうんだ? 付き合い長いの?」

「うん、幼馴染。家族ぐるみでずっと仲良くて」

「幼馴染なのか! んで家族ぐるみで。そりゃ凄い……かなうわけないか」

「え?」

「いや、引き留めて悪かった。結婚おめでとう」

 山本はそう言って愛理に笑いかけると、そのまま去って行ってしまった。なんとなく山本に元気がないことに今更気付いた愛理は首を傾げるが、特に深くは考えない。

「いけない、会議の準備があるんだった」

 一人でそう呟くと、仕事モードに突入した。




 
 愛理が仕事を終えて家に帰宅すると、すぐにふわりと美味しそうな香りが漂ってきてテンションが上がった。湊斗は先に帰って夕飯を作ってくれたらしい。一人暮らしの時は大概、買って帰るか家にあるインスタント食品、もしくは簡単なチャーハンやうどんぐらいしか作らない生活だったのだが、これからは違うようだ。

 いそいそと廊下を抜けてリビングの扉を開けると、キッチンに立った湊斗が顔を上げた。

「おかえり!」

「ただいまー! ねーすっごくいい匂いがする。わあ、キーマカレーだ!」

「愛理好きだよね」

「手を洗ってくる!」

 目を輝かせた愛理を微笑ましく眺めながら、湊斗は盛り付けに掛かる。うっとりと酔いしれてしまい、うっかりサラダに乗せるプチトマトを転がしてしまった。

(愛理がただいま、って帰ってくる……俺が作った物を喜んで食べる……最高すぎるな)

 これこそ夢に描いていた新婚生活。ボディタッチは許されないが。

 すぐに戻って来た愛理は冷蔵庫から水を取り出して二人分準備する。

「湊斗ってほんとなんでもできるねーめっちゃ美味しそうなんだけど」

「案外簡単だよ、キーマカレーなんて。ほら食べよう」

「はーい!」

 お互い向かい合って座り、頂きますの挨拶をすると早速頬張った。愛理はその味に唸る。

「美味しい! 湊斗、凄く美味しいよ」

「それはよかった」

 これだけ長い間一緒にいるのだから、愛理の味の好みもそれなりに分かっている。好物を与えて湊斗の好感度を上げよう作戦だ。

 そして、その作戦は愛理に効果をもたらしていた。家に帰って美味しいご飯が待ってる……最初は困ってたけど、やっぱりルームシェアは最高なのかもしれない、と。

「後片付けは私がやるからね。あ、お風呂掃除もしないと」

「ゆっくりしてからでいいよ」

「そういえば会社に結婚のことを伝えたらさ、なんかやけにお祝いムードになって気まずかった。同期もおめでとうって声かけてくれたんだけどさ」

「……同期って、男?」

「うん、山本くんって子。話しやすいから比較的よくしゃべってるんだけど、私の結婚には驚いてたよ。彼氏いるっていうのは言ってたんだけど」

「……へーえ」

 湊斗は表情を崩さないまま答える。

「あ、それと私、湊斗に一つ謝らないと……」

 突然愛理が暗い表情をして言ったので、湊斗は慌ててスプーンを置く。

「な、なに? どうしたの!?」

「新居のキッチンに力を入れた、っていう話から、私が料理するみたいになっちゃった。本当は湊斗が全部作ってるのに……ごめん」

 愛理がしょぼんとして謝ったので、湊斗は安堵のため息をつく。一体何を言われるかと思えば、そんなことか。

「それくらい全然いいよ。何事かと思った。きっと周りがそう思い込んでただけでしょ。愛理は一見なんでも器用にこなすスーパーウーマンに見えるから」

「それだよ。そんなキャラ作ったつもりは一切ないのにさあーどういうこと、これ?」

「顔」

「顔……」

「とにかく顔。キリっと系。Sっぽい。女王っぽい」

「鞭似合う?」

「次の誕プレに贈る」

「やめてよ!!」

 湊斗は大きな声を上げて笑う。愛理が膨れながらカレーを頬張る姿を見ながら、目に浮かんだ涙をふき取った。

「冗談だよ。愛理はオンとオフがしっかりしてるからでしょう。会社ではオンのままだろうしね。周りをよく見て動けるし、物事を効率よく進めるのが得意だから仕事も出来るはず。そりゃそういうイメージになるよ。悪いことじゃない」

 まっすぐに褒められたことが何だかくすぐったくなり、愛理は湊斗から視線を外して水を飲んだ。ずっと一緒に過ごしてきた湊斗だからこそ言えるセリフだと思った。

「そういうもんか……」

「そうだよ。別に料理のことなんかどうでもいいからね。あ、そうだ! 思ってたんだけど、結婚指輪買わない?」

 にっこりと湊斗が言ったので、ぎょっとして愛理は顔を上げた。今日、山本に指輪なんてつけるつもりがないと宣言したばかりだ。

「え、結婚指輪? 必要かなあ……だって、本当の夫婦じゃないんだし」

「んーそうだけけど、あれを着けておくと既婚者ですってアピールできるから色々助かるんだよね。それに愛理も無理に新婚楽しいーって演技しなくても、指輪があればそれなりに説得力あるだろうし」

「ま、まあそうだけど……」

(特に湊斗はモテるだろうし、指輪で女除けしたいのはわかる。ただ、さすがに指輪って……)

 それは本当の夫婦がするもんじゃないのか。愛理は心の中で葛藤するが、確かに指輪を着けずにいて不仲説などが流れた時、上手く誤魔化せる自信はない。つけておいた方がいろいろと助かるのは事実だと思った。

 湊斗はそんな愛理の顔を見て彼女の心の中を見透かし、あと一歩だとばかりにずいっと顔を寄せる。

「ファッションリングだと思って。俺が買うから」

「……じゃ、じゃあ……買う?」

 湊斗は心の中で盛大な万歳三唱を行った。もちろん、指輪があれば愛理に変な虫がつかなくて済むというのが一番大きい理由だ。

(さっき話に出てきた男も、絶対愛理を狙ってたんだろうしなあ……まあ結婚したって聞いたら普通諦めるだろうけど、ここは隙を失くさないと)

 湊斗は涼しい顔をして愛理に言う。

「じゃあ今度、指輪も買いに行こう。ソファも欲しいし、休日は忙しくなるね。まあ夜はゆっくりゲームとか漫画読んだりしよう」

「賛成!」

 そう笑った愛理は、手元の皿が空になったことに気が付いてなんだかがっかりしたような顔になった。気づいた湊斗は笑いつつ、愛理におかわりはたくさんあることを告げた。


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