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11月6日(火)
第2話
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リーダーの役割は端的にいえば、プロジェクトを統括することである。が、具体的な作業となるとメンバーに仕事を割り振ることや、細々とした課題を解決に導くことだったり、仕上がった成果物をレビューするといった広域なフォローワーという立ち位置である。各メンバーから挙がってきたソースコードを自席でチェックしていると、斜め向かいから声がかかった。
「瀬川さん、少し相談したいことがあるんですが」
矢口に先を促すと、設計書の変更をしてもよいかとの相談だったので、腰をあげて彼の席のディスプレイを覗き込んだ。
「この方が処理効率よくありませんか?」
設計書の変更前と変更案を比較して見せてはくれたが、すぐには判断がつかず、ノートサイズのホワイトボードで処理の流れを図解してみる。矢口の提案してくれた変更案は、悪くなさそうに見えた。
「確かにプログラミングとしてはそっちの方がスマートかもしれないな。実際のテストケースの洗い出しをしてみてくれるか? それで理論上、全てのケースを網羅できそうなら採用しよう」
「わかりました」
矢口にホワイトボードをそのまま貸してやると、早速、空いたスペースにマトリクス表を書き始めた。
「お疲れさまです!」
唐突にフロアに大きな声が響いた。扉の方に目をやると、快活に笑う精悍な男が立っている。シワのないビシッとしたスーツに、磨かれた靴。清潔感のある短髪がよく似合う。ザ・営業マンという出で立ちで現れた吉田の姿に、顔をあげた。
「瀬川、今忙しいか?」
「見ての通りだよ」
「よし、ヒマそうだな。煙吸いにいかないか?」
どこからどう見ても、矢口と取り込み中だろうに。配属された部署は違えど、同期入社の気安さなのか、図々しい男に呆れてしまう。とはいえ、別フロアにいる俺をわざわざ喫煙所に誘いにくるということは、何かしらの意味があるのだろうと察しがついた。
「矢口くん、悪いけど、少し席を外しても構わないか」
「大丈夫ですけど……」
口ごもる矢口の肩を軽く叩いてフロアを後にする。横目で見た矢口は、どことなく不機嫌そうにパソコンに向かっていた。
「瀬川さん、少し相談したいことがあるんですが」
矢口に先を促すと、設計書の変更をしてもよいかとの相談だったので、腰をあげて彼の席のディスプレイを覗き込んだ。
「この方が処理効率よくありませんか?」
設計書の変更前と変更案を比較して見せてはくれたが、すぐには判断がつかず、ノートサイズのホワイトボードで処理の流れを図解してみる。矢口の提案してくれた変更案は、悪くなさそうに見えた。
「確かにプログラミングとしてはそっちの方がスマートかもしれないな。実際のテストケースの洗い出しをしてみてくれるか? それで理論上、全てのケースを網羅できそうなら採用しよう」
「わかりました」
矢口にホワイトボードをそのまま貸してやると、早速、空いたスペースにマトリクス表を書き始めた。
「お疲れさまです!」
唐突にフロアに大きな声が響いた。扉の方に目をやると、快活に笑う精悍な男が立っている。シワのないビシッとしたスーツに、磨かれた靴。清潔感のある短髪がよく似合う。ザ・営業マンという出で立ちで現れた吉田の姿に、顔をあげた。
「瀬川、今忙しいか?」
「見ての通りだよ」
「よし、ヒマそうだな。煙吸いにいかないか?」
どこからどう見ても、矢口と取り込み中だろうに。配属された部署は違えど、同期入社の気安さなのか、図々しい男に呆れてしまう。とはいえ、別フロアにいる俺をわざわざ喫煙所に誘いにくるということは、何かしらの意味があるのだろうと察しがついた。
「矢口くん、悪いけど、少し席を外しても構わないか」
「大丈夫ですけど……」
口ごもる矢口の肩を軽く叩いてフロアを後にする。横目で見た矢口は、どことなく不機嫌そうにパソコンに向かっていた。
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