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第4章 刺客
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少女は戦争孤児だった。
今から三年前、クライトの東にあるタイズトの町で少女は見つかったという。少女はその時、血まみれの両親の胸に抱かれ、大きな泣き声をあげていた。
町に少女の両親を知る者はいなかった。
そして少女の名前を知る者もいなかった。
タイズトの町を調査をしていた『シリウス』の魔法士が、身元の知れない少女を引き取り、ライザの元に連れてきた。
少女は未知のウイルスの感染していた。
便宜上、少女はライザの養女ということになっている。しかし、ライザはこの七年間、多忙でなかなか少女のために時間を割くことができなかった。
少女を育てたのはライザが雇った乳母で、自分は仕事の合間に様子を見てたまに遊んでいただけ。子育ての楽な部分を掻い摘んでいただけだという気持ちが常にあり、ライザは自分が母親の代わりだとは思っていなかった。
ようやく学院の運営が軌道に乗り、時間に余裕ができたライザだったが、少女とうまく接することができずにいた。
それは、ライザが少女の名付け親になることに躊躇したことや、少女が内向的であまり気持ちを表に出さないことも影響している。
少女には、今も名前が無い。
学院の生徒たちは、カフルと呼ばれているようだが、本人はあまり気に入っていないようだった。
少女は自分で考えると言っているが、なかなかいい名前が見つからないらしい。
それでもライザとしては、少女の意思を尊重したかった。
◇ ◆ ◇
聞き慣れた足音で、ライザは本を閉じる。
少女がライザの部屋に来るのは、食事とたまに行う魔法の個人授業くらいなものだ。それ以外だと、来客があったとき。
こんこんという少女のノックを待ってから、ドアを静かに開ける。
「お客さんかしら?」
「うん。すごくきらいなひとなの」
少女は険しい顔をしている。
「それは珍しいわね。名前は聞いてくれた?」
「おしえてくれなかった。たくさんいるの。ぜのんからのシシャっていえばわかるって」
「ゼノンの使者ね。わかったわ、連れてきて頂戴」
しばらくして、
「こちらが、学院長の部屋です」
なぜか名無しの少女ではなく、シオンが数人の男たちを連れて入ってきた。シオンは全員を招き入れてから部屋の扉を閉め、そのままライザの背後に控える。
騎士が一人と、外套に身を包んだ男が三人。全員が帯剣し、後ろにいる三人は表情なく憮然としている。
「これはこれは。お久しぶりでございます、バズ=クラーゼン殿」
ライザは立ち上がり、深々と頭を下げる。
二人は、七年前、戦場で何度か顔を合わせたことがある。
「久しぶりですな、ライザ殿。不躾で悪いのだが、こちらを読んでいただきたい」
懐から折り畳まれた一枚の紙を出し、手渡す。
「これは?」
「アラキア国王陛下から頂いた親書である。我々は、シリウスの一員であるジード=スケイルという男を追ってここまで来た」
「ジード……懐かしい名前ですわね。あなたほどの方をこの国に遣わすなんて、あのバカは、なにをやらかしたのかしら」
今度はバズの背後の男のひとりが、芯に巻かれた羊皮紙を取り出す。それをライザは受け取る。
ざっと目を通し、
「……なるほどね」
「ジード=スケイルの居場所を教えてもらいたい」
「私は何も知りませんわ。それに、あなた方がジードを捕らえてどうしようが、私にも学院にも関係はありません。七年も前にあの男はシリウスを辞めておりますし」
「我々はジードがここに来たという確かな情報を入手している」
ライザは読んだものをシオンにも読むように促す。
「知りません。なんでしたら、学院内を好きなだけ探してくれても結構よ」
バズは首を横に振る。
「そう言うのなら、もうここにはいないのだろう?」
徐々にバズの口調が荒くなってくる。
「最初からいないわ」
シオンは読み終わった紙をライザに戻し、
「で、あなた方は、それだけのために学院に来られたんですか? 学院長は知らないと申しています。これ以上、問いつめても意味がないと僕は思いますね」
「黙れ。私はこの女と話をしているのだ」
その一言にシオンの眼光が鋭くなる。
ライザは特に気にした様子もなく、笑みさえ湛えている。
「私はもう話すことはないわ。アラキア王からの許可も貰っているのでしょう。ええと……あなたの国で、ジードが女と子ども合わせて……五人だったかしら?」
「六人だ」
「そうそう。六人も殺して、その証拠もあるんでしょう?」
「そうだ」
「だったら、勝手に調査でもなんでもして頂戴。シリウスはこの件に関して干渉しませんわ」
「信じることにしよう」
バズが頷く。
ライザから親書を回収し、四人は部屋を出ていこうとする。
「あ、ちょっと待って」
バズが歩みを止め、振り返る。
「これだけは覚えておいて頂戴。ジード以外のアラキア国民に傷ひとつでも負わせたら全員殺すから。どのような理由があってもね」
穏やかな口調のまま、ライザは続ける。
「誰ひとり逃がさない。自国へ逃げても無駄だから」
黙っていたバズだったが、
「できやしないさ」
と、ライズに向かって失笑する。
「あら、もう忘れたの? 七年前のこと」
「……」
「思い出させてあげましょうか」
瞬間──
空気が震え、一触即発な緊張が室内に走る。
バズ=クラーゼンを除く、外套の男たちの表情に動揺の色がうかがえる。その、見えない強烈な圧力に押され、男たちは後ずさった。
「……冗談よ」
ライザが息をつくと同時に、室内の空気の震えが止まる。
怯まないか。
やはりなにかを隠している。そう、ライザは確信した。
「でもね、ただ、忘れないで欲しいの。あなたたちに許されてるのは、あなたたちの国で罪を犯したジードを捕らえるだけだってことを」
「言われなくてもわかっている」
「それなら結構よ。呼び止めてごめんなさい」
「失礼する」
◇ ◆ ◇
バズたちが去った後。背後で腕組みして何かを考えているシオンに、
「で、あなたは、どうしてここにいるの?」
「楽しそうだったから……ではなくて。カフルちゃんが怖がりながらあの一行の先頭を歩いているのを見て、代わりに」
ライザの眉間にしわが寄ったのを見て、訂正する。
「それは悪かったわね」
「いいんですよ。面白かったですし」
「……いい性格してるわ」
「あの堅物、何が目的なのでしょうか」
シオンは部屋の脇にある椅子を持ってきて、ライザの前に座る。
「目当ては私じゃなかったみたいね。結構、恨まれていることは確かだと思うけど」
「忠告にしては穏やかでしたが」
「今回の派遣は、国家レベルで承認を受けてるわけだから、私から手を出すことはないってわかってるのよ」
「僕にはわからないですね。そこまで執拗にジードを追う必要があるのでしょうか」
「殺人者を擁護するの?」
ライザが笑う。
「冗談を言ってる場合じゃないですよ」
「私はね、シオン」
ライザは声を落とし、右手でイヤリングを触りながら、
「ずっと考えていたことがあるの」
「……」
「あなたも知っての通り、魔法は千年以上も前に一度滅びたわ──でも、それはどうしてか? 内乱で滅んだという説もあるけど、そんなことで魔法が完全に途絶えたとは、私には思えない」
「では、」
「魔法の力に代わる力──少し前に古文書を読んでいて、魔法の力を無力化させる道具が存在していた、という記録を見つけたわ」
「では、魔法は外からの力によって、滅びたということですか?」
「そう考えるほうが自然じゃないかしら」
魔法の力を本当に無効にできるのなら、ランク持ちは普通の人間と変わらない。力を失った魔法士たちは殺され、モジュレータやキープレート、魔法書は処分された。
現存している魔法に関係する道具の数々は、何らかの偶然で、処分されるのを免れたものなのだろう。そう、ライザは考えていた。
「気になるのよね、バズのあの自信が」
「そうした道具をあの男が持っているということですか?」
「さあね。その可能性があるってこと。さっきバズは私の脅しを笑って返した。あの態度が、ちょっと気になっただけ」
「確かに……ただの命知らずのバカか、もしくは、なんらかの勝算があったとしか……」
「後者よ、たぶんね。そして、ジードはリアに行った。リアにはライズがいるわ。これは偶然?」
ライズはその絶大な魔力で、ゼノン領内で最も多くの被害を与えた。戦争で最も功績をあげた。ゼノン公国を敗北に追い込んだ人物と言っても過言ではない。
「一番憎まれているのは、私でも国王陛下でもなくて、ライズでしょうね」
「それがバズたちの狙いだと言うのですか」
「だからあの時、ゼノンは国ごと滅ぼしておくべきだったのよ。平和ボケしてなければいいんだけど。昔から甘いから、あの子は」
「……心配ですね」
その一言を待っていたかのように、ライザは微笑み、
「じゃあ、よろしく頼むわね」
「は?」
意味がわからず、困惑するシオン。
「『は』じゃなくて『はい』でしょ?」
「はい?」
「いい返事。行ってらっしゃい」
今から三年前、クライトの東にあるタイズトの町で少女は見つかったという。少女はその時、血まみれの両親の胸に抱かれ、大きな泣き声をあげていた。
町に少女の両親を知る者はいなかった。
そして少女の名前を知る者もいなかった。
タイズトの町を調査をしていた『シリウス』の魔法士が、身元の知れない少女を引き取り、ライザの元に連れてきた。
少女は未知のウイルスの感染していた。
便宜上、少女はライザの養女ということになっている。しかし、ライザはこの七年間、多忙でなかなか少女のために時間を割くことができなかった。
少女を育てたのはライザが雇った乳母で、自分は仕事の合間に様子を見てたまに遊んでいただけ。子育ての楽な部分を掻い摘んでいただけだという気持ちが常にあり、ライザは自分が母親の代わりだとは思っていなかった。
ようやく学院の運営が軌道に乗り、時間に余裕ができたライザだったが、少女とうまく接することができずにいた。
それは、ライザが少女の名付け親になることに躊躇したことや、少女が内向的であまり気持ちを表に出さないことも影響している。
少女には、今も名前が無い。
学院の生徒たちは、カフルと呼ばれているようだが、本人はあまり気に入っていないようだった。
少女は自分で考えると言っているが、なかなかいい名前が見つからないらしい。
それでもライザとしては、少女の意思を尊重したかった。
◇ ◆ ◇
聞き慣れた足音で、ライザは本を閉じる。
少女がライザの部屋に来るのは、食事とたまに行う魔法の個人授業くらいなものだ。それ以外だと、来客があったとき。
こんこんという少女のノックを待ってから、ドアを静かに開ける。
「お客さんかしら?」
「うん。すごくきらいなひとなの」
少女は険しい顔をしている。
「それは珍しいわね。名前は聞いてくれた?」
「おしえてくれなかった。たくさんいるの。ぜのんからのシシャっていえばわかるって」
「ゼノンの使者ね。わかったわ、連れてきて頂戴」
しばらくして、
「こちらが、学院長の部屋です」
なぜか名無しの少女ではなく、シオンが数人の男たちを連れて入ってきた。シオンは全員を招き入れてから部屋の扉を閉め、そのままライザの背後に控える。
騎士が一人と、外套に身を包んだ男が三人。全員が帯剣し、後ろにいる三人は表情なく憮然としている。
「これはこれは。お久しぶりでございます、バズ=クラーゼン殿」
ライザは立ち上がり、深々と頭を下げる。
二人は、七年前、戦場で何度か顔を合わせたことがある。
「久しぶりですな、ライザ殿。不躾で悪いのだが、こちらを読んでいただきたい」
懐から折り畳まれた一枚の紙を出し、手渡す。
「これは?」
「アラキア国王陛下から頂いた親書である。我々は、シリウスの一員であるジード=スケイルという男を追ってここまで来た」
「ジード……懐かしい名前ですわね。あなたほどの方をこの国に遣わすなんて、あのバカは、なにをやらかしたのかしら」
今度はバズの背後の男のひとりが、芯に巻かれた羊皮紙を取り出す。それをライザは受け取る。
ざっと目を通し、
「……なるほどね」
「ジード=スケイルの居場所を教えてもらいたい」
「私は何も知りませんわ。それに、あなた方がジードを捕らえてどうしようが、私にも学院にも関係はありません。七年も前にあの男はシリウスを辞めておりますし」
「我々はジードがここに来たという確かな情報を入手している」
ライザは読んだものをシオンにも読むように促す。
「知りません。なんでしたら、学院内を好きなだけ探してくれても結構よ」
バズは首を横に振る。
「そう言うのなら、もうここにはいないのだろう?」
徐々にバズの口調が荒くなってくる。
「最初からいないわ」
シオンは読み終わった紙をライザに戻し、
「で、あなた方は、それだけのために学院に来られたんですか? 学院長は知らないと申しています。これ以上、問いつめても意味がないと僕は思いますね」
「黙れ。私はこの女と話をしているのだ」
その一言にシオンの眼光が鋭くなる。
ライザは特に気にした様子もなく、笑みさえ湛えている。
「私はもう話すことはないわ。アラキア王からの許可も貰っているのでしょう。ええと……あなたの国で、ジードが女と子ども合わせて……五人だったかしら?」
「六人だ」
「そうそう。六人も殺して、その証拠もあるんでしょう?」
「そうだ」
「だったら、勝手に調査でもなんでもして頂戴。シリウスはこの件に関して干渉しませんわ」
「信じることにしよう」
バズが頷く。
ライザから親書を回収し、四人は部屋を出ていこうとする。
「あ、ちょっと待って」
バズが歩みを止め、振り返る。
「これだけは覚えておいて頂戴。ジード以外のアラキア国民に傷ひとつでも負わせたら全員殺すから。どのような理由があってもね」
穏やかな口調のまま、ライザは続ける。
「誰ひとり逃がさない。自国へ逃げても無駄だから」
黙っていたバズだったが、
「できやしないさ」
と、ライズに向かって失笑する。
「あら、もう忘れたの? 七年前のこと」
「……」
「思い出させてあげましょうか」
瞬間──
空気が震え、一触即発な緊張が室内に走る。
バズ=クラーゼンを除く、外套の男たちの表情に動揺の色がうかがえる。その、見えない強烈な圧力に押され、男たちは後ずさった。
「……冗談よ」
ライザが息をつくと同時に、室内の空気の震えが止まる。
怯まないか。
やはりなにかを隠している。そう、ライザは確信した。
「でもね、ただ、忘れないで欲しいの。あなたたちに許されてるのは、あなたたちの国で罪を犯したジードを捕らえるだけだってことを」
「言われなくてもわかっている」
「それなら結構よ。呼び止めてごめんなさい」
「失礼する」
◇ ◆ ◇
バズたちが去った後。背後で腕組みして何かを考えているシオンに、
「で、あなたは、どうしてここにいるの?」
「楽しそうだったから……ではなくて。カフルちゃんが怖がりながらあの一行の先頭を歩いているのを見て、代わりに」
ライザの眉間にしわが寄ったのを見て、訂正する。
「それは悪かったわね」
「いいんですよ。面白かったですし」
「……いい性格してるわ」
「あの堅物、何が目的なのでしょうか」
シオンは部屋の脇にある椅子を持ってきて、ライザの前に座る。
「目当ては私じゃなかったみたいね。結構、恨まれていることは確かだと思うけど」
「忠告にしては穏やかでしたが」
「今回の派遣は、国家レベルで承認を受けてるわけだから、私から手を出すことはないってわかってるのよ」
「僕にはわからないですね。そこまで執拗にジードを追う必要があるのでしょうか」
「殺人者を擁護するの?」
ライザが笑う。
「冗談を言ってる場合じゃないですよ」
「私はね、シオン」
ライザは声を落とし、右手でイヤリングを触りながら、
「ずっと考えていたことがあるの」
「……」
「あなたも知っての通り、魔法は千年以上も前に一度滅びたわ──でも、それはどうしてか? 内乱で滅んだという説もあるけど、そんなことで魔法が完全に途絶えたとは、私には思えない」
「では、」
「魔法の力に代わる力──少し前に古文書を読んでいて、魔法の力を無力化させる道具が存在していた、という記録を見つけたわ」
「では、魔法は外からの力によって、滅びたということですか?」
「そう考えるほうが自然じゃないかしら」
魔法の力を本当に無効にできるのなら、ランク持ちは普通の人間と変わらない。力を失った魔法士たちは殺され、モジュレータやキープレート、魔法書は処分された。
現存している魔法に関係する道具の数々は、何らかの偶然で、処分されるのを免れたものなのだろう。そう、ライザは考えていた。
「気になるのよね、バズのあの自信が」
「そうした道具をあの男が持っているということですか?」
「さあね。その可能性があるってこと。さっきバズは私の脅しを笑って返した。あの態度が、ちょっと気になっただけ」
「確かに……ただの命知らずのバカか、もしくは、なんらかの勝算があったとしか……」
「後者よ、たぶんね。そして、ジードはリアに行った。リアにはライズがいるわ。これは偶然?」
ライズはその絶大な魔力で、ゼノン領内で最も多くの被害を与えた。戦争で最も功績をあげた。ゼノン公国を敗北に追い込んだ人物と言っても過言ではない。
「一番憎まれているのは、私でも国王陛下でもなくて、ライズでしょうね」
「それがバズたちの狙いだと言うのですか」
「だからあの時、ゼノンは国ごと滅ぼしておくべきだったのよ。平和ボケしてなければいいんだけど。昔から甘いから、あの子は」
「……心配ですね」
その一言を待っていたかのように、ライザは微笑み、
「じゃあ、よろしく頼むわね」
「は?」
意味がわからず、困惑するシオン。
「『は』じゃなくて『はい』でしょ?」
「はい?」
「いい返事。行ってらっしゃい」
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