ドアマットヒロインにはなりません!

こうじ

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突然の再婚宣言

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「リリアナ、実は再婚したい、と思っている」

「……はい?」

 その宣言は母が亡くなり、葬儀を終え漸く落ち着いた直後だった。

「お父様、気でも狂いましたか? お母様が亡くなってからまだ数日も経ってないのに再婚する、てどういう心境ですか。それに葬儀の支度や準備も執事や私に任せて家には帰らず放置状態にして……」

「まっ、待て待て!! 私はお前の事を思って言っているんだ!」

 私のお説教が長引くと思ったのだろう、お父様は遮って来た、チッ。

「私の事ですか?」

「お前はこのヘンデル公爵家の長女でありリーゼル王太子の婚約者で将来の王太子妃、いずれは王妃になる。 そんなお前の親が私だけというのはどうだろう、だからこそ私は再婚するのだ」

 再婚は決定事項ですか、なんとも準備が良い事で……。

「それにお前に妹が出来るんだ! これ以上嬉しい事は無いだろう」


「……ちょっとまってください。 既に子供がいるんですか?」

「えっ、あっ!」

 しまった!という顔をするお父様、しかし時は遅い。

「お父様、正座」

「えっ、正座って……」

「正座」

「はい……」

 現在の状況、私は仁王立ち、お父様は正座して顔面蒼白状態。

「相手の方とはいつからのご関係で?」

「えーと、それは……」

「ご関係は?」

「が、学生時代に付き合っていた事があって結婚してからもその連絡とかしていて……」

「子供はおいくつですか?」

「15歳……」

「私の1つ下ですね、隠し子という事になりますね。 これは私とお母様に対する裏切り行為になりますね」

「ち、違うっ!? 私はマリーナもメリアスも両方愛しているんだっ! 勿論リリアナの事も」

「クズは黙ってください」

「ヒィッ!?」

 とりあえずこの事はお父様のご実家に連絡して締めてもらう事にして、あ、お母様のご実家にも連絡した方が良いですね、お母様を溺愛していた伯父様はきっと激怒するでしょうし。

(それよりもこの状況……、まさか現実に起こるとは思っていなかったわ)

 そう、この状況、私リリアナ・ヘンデルが愛読している小説に似ているのだ。
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