上 下
21 / 33

人のイメージほどあてにならない物はない

しおりを挟む
 もうすぐ王都では貴族会議が行われる。

 この貴族会議で行われるのは問題がある貴族を呼び審問にかけられ処分を受ける、という事。

 審問にかけられるだけで不名誉なのだが更に処分を受ければ貴族社会では死を意味する。

 そして貴族会議には代表者として当主が出るのだけど……。

「何故か僕の所に参加要請があったんだけど、これは何を意味するんだろう……」

 リコット様が頭を抱えています。

「当主代行なんですから当然では?」

「あくまで『代行』だから僕にそんな権利は無い筈なんだよ、もしかして父上か母上が何かやらかしたのか……」

「そんなに思い悩む事は無いと思いますが……、それを言ったら元実家なんて御家断絶待ったなし、の状態ですから」

「レスナー嬢のご実家の方は処分確定じゃないか、って噂が出てるけど」

 確定じゃなくて決定事項です、間違いなくお取り潰しになります。

「まぁ、どんな時でも冷静な判断を、という良い教訓になるんじゃないですか」

「レスナー嬢は達観してるな」

「そりゃあ全てを捨てて修道院に入りましたから」

「いや、学院時代とかなり印象が変わった、と思うんだ。前は所謂『プライドの高い令嬢』という感じだった」

「確かにこんなに気楽に話せる様な人じゃなかった。高嶺の花のイメージが強かったから」

「私そんなイメージがありました?」

「仕方が無いわよ、幼い頃から礼儀作法を厳しく躾けられたんだから」

「それは僕達もそうだけど」

「公爵や王族となると国を背負って外交にも望まなきゃいけなくなるから余計に厳しくなるのよ」

 エメルダ様の意見を聞いて確かにその通りだった。

「だとしたら今が素かもしれませんね、ずっと『貴族の仮面』を被っていたかもしれません」

 幼い頃の私は野山を駆け回るのが大好きな活発な子だった。

 それが成長していって自然と自分の立場を理解して仮面を被らざる終えない状態になったんじゃないか、と思う。

 でも、婚約破棄の件で仮面を外して本来の私が表に出てきたような気がする。

 これはこれで私は凄く満足してるんだけどね。  
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】待ってください

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,868pt お気に入り:44

型録通販から始まる、追放令嬢のスローライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,860pt お気に入り:5,431

わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:1,192

処理中です...