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幕間 リコット、公爵の告白を聞き色々思う

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 尋問はまず事の経緯が尋問官かが報告された。

 レスナー嬢を蔑ろにして妹であるリナリー嬢を溺愛していた事、レスナー嬢の元婚約者とリナリー嬢の関係を黙認していた事、リナリー嬢の妊娠を機にレスナー嬢に婚約者を譲れ、と言った事、その婚約は王妃様が拒絶した事……。

 淡々と語られるその話にリコットの周囲の貴族の反応は様々だった。

 眉間に皺を寄せる者、冷笑を浮かべる者、軽蔑する者、表情を固くする者……。

(ほとんどの人達は自分達とは無関係だと思ってはいるんだろうけど……、こればかりは当事者になってみないとわからないんだよなぁ)

 尋問官は一つ一つの事に関して公爵に確認していき公爵は否定しなかった。

「貴方は何故レスナー嬢とリナリー嬢の教育に差をつけたのですか?娘なのですから平等に育てるのが当たり前ではないか、と思いますが」

「……普通の家ではそうだろうが我が家は公爵家、どこに行っても恥をさらさない完璧な娘に育てなければいけない、と思っていた。レスナーは私達の期待に答えて立派な娘になったが自分の意見を言わないのが不気味に思ってしまった。だからリナリーはなるべく意思を尊重してあげようと思い……」

「意見を言わない、と言いましたが現在レスナー嬢は公爵家と縁を切り修道女として暮らしています。彼女にもちゃんと自分の意志があったという事になりませんか?」

「……その通りです。きっとレスナーは私達に認められたくて努力をしていたんだ、と思います。ですが私達はそれが当たり前である、と思い褒める事をしなかった。気づくのが遅くなってしまい……、後悔しています……」

 そう言って公爵は言葉を詰まらせていた。

(家もそういえば余り褒めてもらった事が無かったな……)

 リコットの両親は子育てには無関心で一緒にいる時間も少なかったし家族らしい会話も無かった。

(僕もレスナー様も似た者同士かもしれないな)

 公爵の証言を聞きながらリコットはそんな風に思った。
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