冷めた2人ですが周りからはおしどり夫婦と言われている件について(仮)

こうじ

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王族主催のパーティーにて

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 婚約破棄されてから数日後、私は王族主催のパーティーに参加していた。
 この数日間はなんとなくだがモヤモヤした日々を送っていて、今回だって出るのが嫌だった。
 多分、元婚約者だって出席するだろうし2人の仲の良い姿を見たら私はいたたまれない。
 でも、そんな個人的な理由で休める訳が無く当然だが出る事になった、貴族としての君を義務である。
 なので早々に私は王族の挨拶が終わってから会場の隅どころかベランダに出て夜風に当たっていた。
「貴族って面倒くさいなぁ……」
 私はワインをクビッと一口飲んだ。
「やっぱり傷ついてはいるのよねぇ……」
 そう言ってまたワインを飲む。
 ワインを飲んでいくとだんだんとイライラが募ってきた。
 この豪華な会場も優雅な音楽も何もかも気に入らない。

「「貴族(王族)なんて信用できるかっ!!」」

 思わず大声で叫んでしまった。
 そして、叫んだ後に私は気づいた。
 あれ? 今、誰か声が聞こえたような……。
 それは明らかに男性の声だった。
 慌てて横を振り向くとそこには男性の姿があった。
 向こうも私に気づいたみたいで驚いたような顔をしていた。
 夜だから暗いし会場からのわずかな光でしか認識出来ないけど衣装からして多分、私と同じぐらいもしくは下の貴族ではないだろうか。
「あっ、どうも……」
「こちらこそ……」
 凄く気まずい……。
「あの、聞こえていましたか?」
「えぇ、まぁ……」
 そりゃそうだろうなぁ、と思う。
「その、何か嫌な事でもあったんでしょうか? 今、王族と聞こえたんですが」
「あ、まぁそうですね……」
 男性はゴニョゴニョと口ごもっている。
「大丈夫です、私は口が固いので。あ、私エリーナ・カルデナと申します」
「カルデナって侯爵家の?」
「えぇ、そうです」
「そうでしたか、僕はマイル・ライオスと言います。地方の貧乏男爵家の跡取りです」
 その名前を聞いて私はピンと来た。
「マイル様って確かテストで常に上位に入っておりますよね」
  そう、私が通っている貴族学院の定期テストで必ず上位にくい込んでいる。
「まぁ……、勉強しか脳がありませんから……。エリーナ様も優秀ではありませんか」
「マイル様みたいに上位に入った事はありませんわ」
「でも、頭が良くてもどうにもならない事があるんですよ……」
 そう言って苦笑いをするマイル様。
「僕ね、婚約者を奪われたんですよ」     
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