悪役令嬢から『薬屋』に転職しました!

こうじ

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噂を聞きました

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「漸くお客さんが引いたわ」

 午前中の営業を終了して現在、お昼の休憩中だ。

 薬を買う人もいるんだけどお喋りをしに来る人もいて賑やかだ。

「喫茶スペースでも作ろうかしら……」

 そんな事を考えながらランチを食べていたらドアが開いた。

「すいません、今は休憩中なんですが、てアウール様でしたか」

「食事中に悪いね、ちょっと耳に入れたい話があってね」

 入ってきたのはアウール・ヴィンホンド様、この町を治めている領主様の息子だ。

 貴族だから当然私の話は知っているんだけど全く気にせず接してくれている。

「なんですか、私に聞かせたい話って?」

「君の元実家の話だよ」

 そういえば、こっちに来てから実家、というか貴族関係の話は聞いた事ないな。


「コートロール公爵家が自己破産したらしい」

「はぁっ!?」

 私は思わず大声を出してしまった。

「自己破産って公爵家がですか!?」

「そう、だから今王都ではその話題で持ち切りらしい」

 公爵家は貴族の中では一番地位が高い、それだけ財力もある訳だから滅多に自己破産する事は無いし経済的にピンチだったら国がフォローしてくれる筈だ。

「一体何があったんですか……」

「原因は君の妹みたいだ」

「妹、ミレーザが何かやらかしたんですか……」

「君が家を追放された後、王太子はミレーザ嬢との婚約を国王様に伝えたらしいが当然だけど良い返事がなくて条件付きで婚約を了承したらしい」

「条件付き?」

「そう、『王妃教育でエリーナ以上の結果を出す』のが条件らしい」

「それ……、私が言うのもなんですけどかなり無理がありますよ」

「まぁ、国王も自分の顔を潰されたからね、そう簡単に認める訳にはいかないだろうし他の貴族の手前厳しい態度を取らないといけないんだろう。それでミレーザ嬢は王妃教育を1年間受けたんだけど結果は……」

「ダメだったんですね」

 だって私が婚約したのは10歳の時で全てが完了したのに8年かかったんだもの、1年で私以上の結果を出せ、ていうのはかなり無理のある話だ。

 それにミレーザは言っては悪いけど顔は可愛いけど頭が悪い。

 勉強よりも友人と遊んでいるタイプなのだ。

「ミレーザ嬢はストレスで宝石やらドレスやらを買いまくっていたみたいなんだけどそのお金を出していたのは王太子、どうも国の費用に手を出してしまったらしい」

「うわぁ……、国の費用って税金だから私用で使っているのがバレたら国民の反感を買うのは必然ですよね」

「そう、コートロール家は王家から使ったお金の返金を要求されて家や土地を売ってすっからかんになってしまったんだって」

 どれだけ使っていたのよ、バカ妹よ……。

「勿論、王太子との婚約の話は無くなって、ミレーザ孃は借金返済の為に夜の街に働きに出なければならなくなったらしいし公爵夫妻も鉱山で肉体労働をしているそうだ」

 絵に書いた様な転落劇だ……。 
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