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121、*鉄へのお仕置き 1*
上田綾は午前中に主だった家事を終え、瓢箪山の舞の下に向った。
やはり、家事をなおざりにして居た自分を反省して居たのだろう。
丁度、秋分の日の休日であった。
綾が瓢箪山の舞の下に行く事を聞かされていた愛も又、綾が家を出て間もなく家を出た。
綾の後を追うのではなく、どうやら、行く先は綾の実家の様である。
アーケード街を足早に過ぎて行く姿を、隆(佐々木隆)の部屋から家路に着いて居た鉄(中川鉄男)が目にした。
彼は瓢箪山での散々な出来事を隆に愚痴ってきた所で有った。
『何処へ行くんやろ?』
鉄の胸中に又もや良からぬ思いが浮んだ。
『どうせ暇やし、後を付けて見るか』
後ろから鉄が着いて来て居ること等、全く気付かずに居た愛はスタスタと足を早めて行く。
鉄は愛に気付かれること無くその後を追い、永和の綾の実家まで来ていた。
近くから愛の様子を覗って居ると、愛は玄関には見向きもしないで家の裏へと周って行った。
鉄も辺りを見回してからその方へと向かった。
勝手口から家に入った愛は、
『さ~て。どこから当たろうか?』
愛は前々から気に成って居た綾の浮氣相手の素性を確かめる為にここに来たのである。
何かしらの痕跡が有っても可笑しくはない。
愛は台所から居間、そして、綾が寝室にあてがって居た部屋へとそこここに眼を配りながら進んで行った。
その部屋はきちんと片づけて在り、目ぼしい者は見当たらなかった。
と、台所で物音が~。
『まさか、母さんじゃないよね』
そんな筈は無い。
綾が舞の下に向った事は確かに耳にして居た。
なら~、外に誰がこの家に来ると言うのだろうか?
『どろぼう?』
愛は足音を忍ばせ台所へと戻った。
居間から台所は見渡せる。
愛が物陰から様子を覗って居た時である。
見慣れた顔がにょきっと目の前に現れた。
「えっ!鉄?」
「ご機嫌さん。他に誰も居(お)らんのやろ。溜りに溜ってるもんを出すには打って付けの所やな~」
「何をしにここへ?」
鉄は怪しげな顔をして愛へと距離を詰め出した。
愛は四方を見渡しながら後ずさりをして居る。
愛が大声を上げようと身構えた瞬間、鉄が襲い掛かって来た。
すぐさま、愛は床に倒され身動きが出来なくなった。
まるで、餌に植えた猛獣のように鉄は愛の着衣を荒々しく剥ぎに掛かっている。
四の五の言わせぬ勢いである。
幾ら愛が鉄の身体を押しのけようとも敵う相手ではない。
愛が抗いながらも観念しかけた時である。
『バタバタッ』
数人の人影がその場に押し込んで来たかと思うと、愛に覆い被さって居た鉄は蹴り飛ばされて仕舞った。
鉄は体制を整え、不意に訪れ自分を足蹴にした連中を見上げた。
その不審を晴らすかのように中央の一人が口を開いた。
「残念やったな。もうちょいってとこやったのに~。何処の誰やってな顔やな。お前にお仕置きを頼まれたもんやとだけ言うとく」
愛はその顔に見覚えが在った。
いつぞや、吉住アツ美の窮地を救った人物、宮その人であった。
宮は早朝から徹に指示を受けていたのだ。
『中川鉄男が二度と舞に手だしが出来ない様に、手段は選ばなくていい。思い知らせて置く様に』
と、徹は加えて早急にと告げて居た。
直ぐに、宮は手下を集めその算段に取り掛かった。
鉄も又、彼らから後を追われて居たのである。
そうとも知らず、鉄はチャンスを覗いながら愛の後を付けていた事に成る。
「なんや、お前ら!」
と、鉄は息巻いては見たものの、相手を見れば普通の面々ではない。
鉄はここは逃げるが勝ちとその合間を走り抜けようとしたが、すぐさま、取っ捕まり殴る蹴るの暴行を受ける羽目になった。
「おいっ、顔には手を出すな」
と、宮は手下へ指示した。
愛は、ただ、ソファーの裏に腰を屈めその成り行きを、時折、顔を顰めながら追って居た。
鉄が観念し抵抗も出来なくなったのを見据えた宮は愛の傍に歩みより、
「あんたは上田はんの娘さんやろ?」
愛は体を縮めながら、
「そ、そうです。もしかして、父から~」
「そう云う事でんがな。危ないとこでしたな。そんでやけど、電話を使わせて貰いまっ。上田はんに連絡せなアカンので~」
「ど、どうぞ~」
宮は何やら秘策を考えていた様である。
二度と鉄が同じ事を繰り返さない手立てとは如何なる者であろうか?
宮は電話口に出た徹に向ってその事を告げている。
「そうでっか。ほんならその通りやらせて貰いまっ。えっ、そうでっか、ほんなら~」
宮は受話器を愛の方に翳した。
「上田はんが娘に代われって~」
愛は恐る恐る受話器を手にした。
『何でまた、そんな所で~。まぁ、ええ。その人たちは愛に危害を加える事は無いから、心配しないで彼らの云う通りにしてればいい。詳しいことは後で聞くから、分かったな』
「はい。それでも~」
『なんや、声が震えてるな。まぁ、無理も無いか。事が始まったらしばらく表に出てもいいし、そこらに隠れて居るんや。眼が汚れるだけやからな。ええな』
「はい、そうします。・・・ごめんなさい」
『なにも、愛が謝る事で無い。全部、そいつの身から出た錆(さび)のせいやからな~』
やはり、家事をなおざりにして居た自分を反省して居たのだろう。
丁度、秋分の日の休日であった。
綾が瓢箪山の舞の下に行く事を聞かされていた愛も又、綾が家を出て間もなく家を出た。
綾の後を追うのではなく、どうやら、行く先は綾の実家の様である。
アーケード街を足早に過ぎて行く姿を、隆(佐々木隆)の部屋から家路に着いて居た鉄(中川鉄男)が目にした。
彼は瓢箪山での散々な出来事を隆に愚痴ってきた所で有った。
『何処へ行くんやろ?』
鉄の胸中に又もや良からぬ思いが浮んだ。
『どうせ暇やし、後を付けて見るか』
後ろから鉄が着いて来て居ること等、全く気付かずに居た愛はスタスタと足を早めて行く。
鉄は愛に気付かれること無くその後を追い、永和の綾の実家まで来ていた。
近くから愛の様子を覗って居ると、愛は玄関には見向きもしないで家の裏へと周って行った。
鉄も辺りを見回してからその方へと向かった。
勝手口から家に入った愛は、
『さ~て。どこから当たろうか?』
愛は前々から気に成って居た綾の浮氣相手の素性を確かめる為にここに来たのである。
何かしらの痕跡が有っても可笑しくはない。
愛は台所から居間、そして、綾が寝室にあてがって居た部屋へとそこここに眼を配りながら進んで行った。
その部屋はきちんと片づけて在り、目ぼしい者は見当たらなかった。
と、台所で物音が~。
『まさか、母さんじゃないよね』
そんな筈は無い。
綾が舞の下に向った事は確かに耳にして居た。
なら~、外に誰がこの家に来ると言うのだろうか?
『どろぼう?』
愛は足音を忍ばせ台所へと戻った。
居間から台所は見渡せる。
愛が物陰から様子を覗って居た時である。
見慣れた顔がにょきっと目の前に現れた。
「えっ!鉄?」
「ご機嫌さん。他に誰も居(お)らんのやろ。溜りに溜ってるもんを出すには打って付けの所やな~」
「何をしにここへ?」
鉄は怪しげな顔をして愛へと距離を詰め出した。
愛は四方を見渡しながら後ずさりをして居る。
愛が大声を上げようと身構えた瞬間、鉄が襲い掛かって来た。
すぐさま、愛は床に倒され身動きが出来なくなった。
まるで、餌に植えた猛獣のように鉄は愛の着衣を荒々しく剥ぎに掛かっている。
四の五の言わせぬ勢いである。
幾ら愛が鉄の身体を押しのけようとも敵う相手ではない。
愛が抗いながらも観念しかけた時である。
『バタバタッ』
数人の人影がその場に押し込んで来たかと思うと、愛に覆い被さって居た鉄は蹴り飛ばされて仕舞った。
鉄は体制を整え、不意に訪れ自分を足蹴にした連中を見上げた。
その不審を晴らすかのように中央の一人が口を開いた。
「残念やったな。もうちょいってとこやったのに~。何処の誰やってな顔やな。お前にお仕置きを頼まれたもんやとだけ言うとく」
愛はその顔に見覚えが在った。
いつぞや、吉住アツ美の窮地を救った人物、宮その人であった。
宮は早朝から徹に指示を受けていたのだ。
『中川鉄男が二度と舞に手だしが出来ない様に、手段は選ばなくていい。思い知らせて置く様に』
と、徹は加えて早急にと告げて居た。
直ぐに、宮は手下を集めその算段に取り掛かった。
鉄も又、彼らから後を追われて居たのである。
そうとも知らず、鉄はチャンスを覗いながら愛の後を付けていた事に成る。
「なんや、お前ら!」
と、鉄は息巻いては見たものの、相手を見れば普通の面々ではない。
鉄はここは逃げるが勝ちとその合間を走り抜けようとしたが、すぐさま、取っ捕まり殴る蹴るの暴行を受ける羽目になった。
「おいっ、顔には手を出すな」
と、宮は手下へ指示した。
愛は、ただ、ソファーの裏に腰を屈めその成り行きを、時折、顔を顰めながら追って居た。
鉄が観念し抵抗も出来なくなったのを見据えた宮は愛の傍に歩みより、
「あんたは上田はんの娘さんやろ?」
愛は体を縮めながら、
「そ、そうです。もしかして、父から~」
「そう云う事でんがな。危ないとこでしたな。そんでやけど、電話を使わせて貰いまっ。上田はんに連絡せなアカンので~」
「ど、どうぞ~」
宮は何やら秘策を考えていた様である。
二度と鉄が同じ事を繰り返さない手立てとは如何なる者であろうか?
宮は電話口に出た徹に向ってその事を告げている。
「そうでっか。ほんならその通りやらせて貰いまっ。えっ、そうでっか、ほんなら~」
宮は受話器を愛の方に翳した。
「上田はんが娘に代われって~」
愛は恐る恐る受話器を手にした。
『何でまた、そんな所で~。まぁ、ええ。その人たちは愛に危害を加える事は無いから、心配しないで彼らの云う通りにしてればいい。詳しいことは後で聞くから、分かったな』
「はい。それでも~」
『なんや、声が震えてるな。まぁ、無理も無いか。事が始まったらしばらく表に出てもいいし、そこらに隠れて居るんや。眼が汚れるだけやからな。ええな』
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