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Ⅱ 遅かった
#10 自我
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私は一般人。
そこらへんにいる、つまらない、それぞれ目的を持っている人間。そう思って生きてきた。
けれど。
あの“事件”から、私は______
西崎家の人間だと知った。
そして、それが何を意味しているのかも知った。
私が本家らしい。
それを知った日から、私は偽名を使うことにした。
幾つもの顔を持ち歩いて、今日もこの街を歩く。
そして現在。
私…一応、「西荻すばる」としてこの真っ暗な場所にいる。
そして今。
なんかピカピカな場所にいる。すごい怪しいけど、優しい人について行ったら、私の頭と同じぐらいの所に、一つの光を帯びた扉みたいなのを中心にして、そこから光が広がっている場所に来た。
「さあ出ましょう。あなたの意識から。」
「え…」
何言ってるんだろう?よく聞こえなかった。
「もう一回、言って頂けます?すみません。」
そんなことより、なんか不思議。眩しいって訳じゃあないんだけど。なんか、なんていうか………ピカピカだなあ、と。
「…ふふ。あなた、自我が強いタイプかしら?」
えっ、特にそういう者じゃないです。というか急だなあ。
「あら…そうなの。じゃあやっぱり…本家の血、とかなのかしら?」
「………何を言っているのか、さっぱり。」
「あら、そうなの?……………本当に?」
「本当に。分かりませんね。」
「………そう。」
まさに図星。
さすがに偽名はバレてないよね…?
「それじゃあ、質問を変えましょう。あなたの名前は…本当に、西荻さん、なの?」
うわぁ。ダメだこれ。
「何言ってるんですか。偽名もなんも…」
「実は、ここだけの話…私、心読めるの。」
「………は、はへ~。意外ですね~」
反応に困った。さすがに。そんなことだろうなーとは思っていたが、本当にそうだとは。
「意外?あら、あなたにとってはそうなのかしら?まるで“能力”の事を知っていそうな言い草ね。」
「………………」
「さて…まあ、本題に移りましょうか。」
本題じゃあ…なかったのか。
全部ハッタリだったのか…?だとしても的を射すぎていた気もするが。
「本題…?私をここから出してくれるっていうのがそうじゃないんですか…?」
「その通りよ。だけど、間違えちゃったみたい。ごめんなさいね。次行く場所は絶対出れるわ。」
まさかの複数出口があるタイプの場所だった。そういうタイプってあるのかな?
「ああ…ありがとうございます。」
「そうそう。あと、ここは実はすごい危なくて。ちゃんとついてきなさい。」
うーん、別に1人でもいいんだけどなあ…
まあ、それならそれで、別にいっか。
という、意識から出る…?どういう意味だったんだろう。
この人凄く怪しいけど。
どういうこと………?
間違いなく。
私の求めていた者が。
求めていた者から来てくれた。
あなたのおかげで。
私は_____________
「どうした」
「特に。」
「俺には分かるぞ。その嬉しそーな表情を見れば、心なんか読まなくてもな…」
「さすがね。」
数ヶ月前。この子を完璧に“改造”して、一番親しい仲になった。少なくとも、この子と一緒にいると、悪い気分にはならない。嬉しくなる。
一番“改造”に時間がかかったのも納得が行く。
こんなにも「自我」が強い子にも、私の“改造”が通じたのは奇跡だと思う。
一番信頼できる子。同い年だけど。
「全く…結局、あれはあんまり意味がなかったって事なんだな?」
「……さあ。少しは影響があるんじゃないかしら。あの“事件”の後から、私の計画は変わったのよ?」
「…まあ、それなら。」
少しどころか、一番影響がある。あの“事件”のおかげで、目的に五歩は近づけた。
やっぱり、あなたは手離したくない。
「……滝根、准っていう、俺の友人がいるんだが…」
初耳ね。
「それがどうかした?」
「……あの、“事件”を起こした時。さすがに1人じゃあキツイからあいつを呼んだんだが…」
「…それで?」
「なんというか…………あの“事件”の後、会ってないんだよ。」
「そうなの。それがどうかした…?」
「いや…えーと…だな…誠に言い難いんだが…」
「…?」
「盟奈のこと…バレてるかも、なんて、な。」
「……ああ。そんなこと。大した話題じゃあないわね。」
「いいのか…?」
「気にしてないわ」
「そ……そうか。」
なんか僕の話題が出てる~…
さすがに盗み聞きしてたらまずいかな~…
ここから動けないなあ…
バレたら殺されるなあ…
詰んだかな…?
続く!
そこらへんにいる、つまらない、それぞれ目的を持っている人間。そう思って生きてきた。
けれど。
あの“事件”から、私は______
西崎家の人間だと知った。
そして、それが何を意味しているのかも知った。
私が本家らしい。
それを知った日から、私は偽名を使うことにした。
幾つもの顔を持ち歩いて、今日もこの街を歩く。
そして現在。
私…一応、「西荻すばる」としてこの真っ暗な場所にいる。
そして今。
なんかピカピカな場所にいる。すごい怪しいけど、優しい人について行ったら、私の頭と同じぐらいの所に、一つの光を帯びた扉みたいなのを中心にして、そこから光が広がっている場所に来た。
「さあ出ましょう。あなたの意識から。」
「え…」
何言ってるんだろう?よく聞こえなかった。
「もう一回、言って頂けます?すみません。」
そんなことより、なんか不思議。眩しいって訳じゃあないんだけど。なんか、なんていうか………ピカピカだなあ、と。
「…ふふ。あなた、自我が強いタイプかしら?」
えっ、特にそういう者じゃないです。というか急だなあ。
「あら…そうなの。じゃあやっぱり…本家の血、とかなのかしら?」
「………何を言っているのか、さっぱり。」
「あら、そうなの?……………本当に?」
「本当に。分かりませんね。」
「………そう。」
まさに図星。
さすがに偽名はバレてないよね…?
「それじゃあ、質問を変えましょう。あなたの名前は…本当に、西荻さん、なの?」
うわぁ。ダメだこれ。
「何言ってるんですか。偽名もなんも…」
「実は、ここだけの話…私、心読めるの。」
「………は、はへ~。意外ですね~」
反応に困った。さすがに。そんなことだろうなーとは思っていたが、本当にそうだとは。
「意外?あら、あなたにとってはそうなのかしら?まるで“能力”の事を知っていそうな言い草ね。」
「………………」
「さて…まあ、本題に移りましょうか。」
本題じゃあ…なかったのか。
全部ハッタリだったのか…?だとしても的を射すぎていた気もするが。
「本題…?私をここから出してくれるっていうのがそうじゃないんですか…?」
「その通りよ。だけど、間違えちゃったみたい。ごめんなさいね。次行く場所は絶対出れるわ。」
まさかの複数出口があるタイプの場所だった。そういうタイプってあるのかな?
「ああ…ありがとうございます。」
「そうそう。あと、ここは実はすごい危なくて。ちゃんとついてきなさい。」
うーん、別に1人でもいいんだけどなあ…
まあ、それならそれで、別にいっか。
という、意識から出る…?どういう意味だったんだろう。
この人凄く怪しいけど。
どういうこと………?
間違いなく。
私の求めていた者が。
求めていた者から来てくれた。
あなたのおかげで。
私は_____________
「どうした」
「特に。」
「俺には分かるぞ。その嬉しそーな表情を見れば、心なんか読まなくてもな…」
「さすがね。」
数ヶ月前。この子を完璧に“改造”して、一番親しい仲になった。少なくとも、この子と一緒にいると、悪い気分にはならない。嬉しくなる。
一番“改造”に時間がかかったのも納得が行く。
こんなにも「自我」が強い子にも、私の“改造”が通じたのは奇跡だと思う。
一番信頼できる子。同い年だけど。
「全く…結局、あれはあんまり意味がなかったって事なんだな?」
「……さあ。少しは影響があるんじゃないかしら。あの“事件”の後から、私の計画は変わったのよ?」
「…まあ、それなら。」
少しどころか、一番影響がある。あの“事件”のおかげで、目的に五歩は近づけた。
やっぱり、あなたは手離したくない。
「……滝根、准っていう、俺の友人がいるんだが…」
初耳ね。
「それがどうかした?」
「……あの、“事件”を起こした時。さすがに1人じゃあキツイからあいつを呼んだんだが…」
「…それで?」
「なんというか…………あの“事件”の後、会ってないんだよ。」
「そうなの。それがどうかした…?」
「いや…えーと…だな…誠に言い難いんだが…」
「…?」
「盟奈のこと…バレてるかも、なんて、な。」
「……ああ。そんなこと。大した話題じゃあないわね。」
「いいのか…?」
「気にしてないわ」
「そ……そうか。」
なんか僕の話題が出てる~…
さすがに盗み聞きしてたらまずいかな~…
ここから動けないなあ…
バレたら殺されるなあ…
詰んだかな…?
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