Darkness.

ささささのは

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Ⅲ その時は

#13 視線

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堂崎魁斗が持つ「能力」は、生まれながらにして発現していた。

心を読む「能力」。それは、意図して行うことが出来た。
「能力」の制御が効いた。それは、彼にとって唯一の武器であった。

心を読むことによって、相手が考えている事全てが頭に入ってくる。だった。

しかし、“彼女”との出会いで、彼の武器は増えた。


それが、彼が心から望んだ結末なのか。

















隣に、妙に既視感のある男性がいる。
名前は知らないけど…
なんか見覚えあるっていうか…

この人は…えっと………ああ、思い出した!
でもまあ、一応知らないフリしとこう。

「あら、お久しぶりね。」

「ご無沙汰してます」

嘉慈さんと最後に出会ったのは1年と7ヶ月前だから…使い方は合ってるよね?

「………いや……俺…お前のこと、知ってるぞ」

「全く同じ事を考えていたようですね」

もしかして心読まれてる?って並に同じこと思ってました!
もしやこれは運命…?いや、でも…ちょっとなあ…

「……まあ、そう、らしいな。」

「でも、自分あなたのこと知らないし、なんなんですかね。どこかですれ違いました?」

「さあ。お互いに面識があるってのは流石に妙じゃあないか?」

「まあ、そうですね。1年と7ヶ月経ってれば、忘れた方がおかしくないですもんね。」

「………………」

なんか、相手の人すごく微妙な表情なんだけど。
なんか口でも滑らした…かな………あっ。

日時を言うのはダメだったか___!

「…すれ違っただけなのに、1年以上の日時さえも覚えてるとは、流石だな」

「ああ…印象に残ったもので。」

流石に、あの“事件”の事を話しちゃったらどうなるかはわかんないけど大変なことになりそ~。

「……“事件”…か。よく覚えてないな…」

なんか言われました?

「ふふ…なんだか、びっくりするほど蚊帳の外にされている気がするのだけれど…」

「あ、すみません」

「ところで」

なんだなんだ。

「1つ、気になるところがあるんだけれど。」

「な、なんでしょうか…」

目が鋭くて怖いなぁ~…

「どうやったら、2度もここに来れるのよ?」

全くもって、同じ気持ちです………













えっと……いや、お前、でも初対面の人にお前は失礼か…?
そんなことはどうでもいい。

2度もこの“暗闇”へ来たと?

どういうことだ。もしや、お前も“改造”されてるタイプの奴だったか…?それとも「能力者」か…?


ここへは、「能力者」か「能力者」の影響を受けている者しか自由に出入りすることは出来ない。………と、こいつが言っていた気がする。記憶は曖昧だが。

こいつが言っている事は大体信頼は出来ないが、まあ…辻褄とかは合うから、合っているとは思う。

「俺も同感だ…てか、何してんだお前。こんなところで。」

「いや、ここから出たいんですよ。だから、出口をこの人に教えてもらおうと…」

明らかに、その言動も自分の意思で来たものじゃないな。




……こいつ。嘉慈が「能力者」を“改造”する手順ってのは大体決まってたはずだ。

「能力者」をここへ迷い込ませて…そいつと出会って…出口まで連れて行って…そこで………

「分かったわ。ついてきなさい。」

……えーっと…この場合、俺はどうしたらいい…?
この空間の出口は知らんし、この…こいつは女か?男か?
とりあえず、こいつについて行くなって止めたら多分、俺がまずいしな…

と、とりあえず…俺もついてくか…



堂崎魁斗は、考えるのをやめた。









続く
テンポ悪くてごめんね。
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