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第二章

第45話 400年前の真実

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400年前、たった一人の魔法使いによって立て続けに3カ国が滅ぼされた。

 ――たった一人で国を滅ぼす事が出来るのは魔女しか居ない――

 事実、私は女神様の使徒として、当時戦争に積極的だった国を滅ぼすという使命を受けていたし、実際、それだけの力を有していた。でも、私はそれを実行に移してはいない。
 私が二重人格か何かで、私の意識外で、もう一人の私が勝手に暴走した、とかでない限り私が国を滅ぼしたという事実は無いはずだ。

 それに、そもそも私の存在を人間が知り得るはずは無かった。
 何故なら私は人目に晒される事の無い山奥でずっと孤独に暮らしていたのだから。

 それなのに、私の容姿的特徴は何故か人々に伝わっていて、いつの間にか『破滅の魔女』なんて物騒な通り名で呼ばれ、例の国滅ぼしの件は私の仕業とされていた。そして、私は『大聖女イリアス』によって討伐された。

 不可解な点が多い前世での私の最期。でも、その真相は未だには分からないままだ。
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