あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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世代では最強だろう

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木剣による斬撃を素手で捌こうとするジンに対し、ティールは脚力強化を使用して一気に後方へと跳ぶ。
ただのバックステップではあるのだが、その速度とティールの状況判断の速さに今日一驚かされた。

(こいつ……何度俺を驚かせば気が済むんだよ。今、明らかにスピードが一段階上がった。速度強化系のスキル……オーソドックスなら脚力強化。ただ、身体強化に脚力強化って……こいつどんだけ鍛えてるんだ?)

ティールが投擲の訓練をしてるという話は何度か聞いたことがある。
ただ、身体強化に加えて脚力強化のスキルを習得する程の訓練をしているとは聞いたことが無い。

(やっぱりギフトを貰ってたんじゃ……でもやっぱり隠す必要が無いよな。武器系のスキルじゃなくても、体を強化する系のギフトならば隠す必要は無いし……本当に解らない奴だな)

「ティール、なんでそんなに大きく下がったんだ?」

「なんでって……今俺の攻撃を捌いてから反撃しようとしたじゃないですか。そりゃ避けようとしますよ」

大きく下がった理由を明確に話すティール。
その回答にジンはいったい今までにどれ程の戦闘を経験したのか物凄く気になり始めた。

(こいつ、そこまでしっかりと見えていたのか。おそらく目の動きとかでそういうのを把握したんだろうが……だからってそう簡単に反応出来るものか?)

まだ素の状態でも全力で動いていないジンだが、それでもティールに対して一種の危機感を感じた。

(これは……あれだな。冒険者自体に何度も感じた危機感だ。少し上のいる奴ら、自分の隣にいる奴ら、そして自分のすぐ後ろを付いてくる奴らに感じた感情だ)

冒険者時代にライバルと言える者達に抱いた感情。
それをティールに対して抱いてしまった。

(正直この村で俺に勝てる奴は……リースさんの全力を見て無いから分からねぇーが、接近戦なら絶対に負けない自信がある。おそらくレントが成長しても負けないだろう。だが、いくらなんでもティールの成長速度は早過ぎる)

ジンは冒険者時代に貴族の子供と接する機会が何度かあった。
その子供達はやはり貴族の子供という事もあり、同い年の平民や一般市民と比べて実力が圧倒的に高い。

だが、ティールからはそれすら飲み込んでしまう様な力を感じる。

「まだまだ余裕は有りそうだな。それじゃ、今度はこっちから行くぞ」

ティールがギリギリ反応出来る速さを見極め、何度も蹴りや手刀を繰り出す。
上下左右斜めからありとあらゆる角度からの攻撃に対してティールは冷静さを失うことは無く躱し、流し続ける。

(クソッ! 流石元冒険者だ。まだ大きなダメージは貰っていないけど、この連撃から抜け出せない!!)

ティールもなるべくスタミナを鍛えるようにはしているが、やはり大人のジンには敵わない部分が存在する。
しかしジンの永遠に続くかとも思える猛攻は二分ほどで終わり、そこで模擬戦は終了した。

「えっと……特別稽古は終わりって感じですか?」

「まっ、そんな感じだな。というか……お前絶対に同年代の奴らと比べてもダントツで強いぞ」

「そ、そうですか。ありがとうございます」

実力者から褒められるのは素直に嬉しいティールは俯きながら照れる。

(というか上三歳を含めてもこいつに勝てる奴はいないんじゃないのか? レベルの高さも要因だが、明らかに戦い慣れている、尋常じゃない程にな。・・・・・・一応聞いてみるか)

ティールの中で一番気になっていた事を正直に答えてくれるかどうかは分からないが、やはり確認しておきたい内容だった。

「ティール、お前もしかしてこっそり村の外に出てモンスターと戦ったりしてるのか?」

「……はい、そこそこの頻度で」

この人には嘘を付いても無駄だろうと判断したティールは正直に話した。

「おぉ~~~、やっぱりか。まっ、お前ぐらい強かったらこの村周辺にいるモンスター程度なら問題無いか」

「そうですね。もう大体戦ったことがあるモンスターばかりなので、あんまり油断は良く無いと解ってますけど、基本的に問題は無いです」

「だろうな。お前のメイン武器は投擲? なんだろうし、滅多に危険な目には合わないだろう。でも、一回ぐらいちょっと恐怖を感じたモンスターとかいただろ」

「まぁ……いましたね。勝つことには勝ちましたけど、本当の意味で恐怖を感じました」

「へぇーーーー……気になるねぇ。どんなモンスターと戦ったんだ?」

「・・・・・・内緒です」

突然の回答拒否にジンは目が点になる。
そしてティールが回答を拒否したと再確認したジンは再度教えてくれと頼むが、なんとなく面倒な気がしたので恐怖を感じたモンスターの名前は伏せた。
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