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臆病? そうは思わない
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「ふぅ、大量だな」
「あぁ、そうだな」
二人が受けていた依頼、ライガルの肉一頭分。
普通に考えれば、一頭を倒せば十分。
ティールとラストの実力なら、ライガルの肉を無駄に消し飛ばすことなく倒せる。
運良く一体と遭遇した時、ティールはラストにライガルとのバトルを譲った。
だが、その一分後に別のライガルがティールに奇襲を仕掛けた。
「どうやら、本当に運が良いみたいだな」
ライガルとの勝負は、ティールも望むところ。
強敵とのバトルに二人が満足し、両者の戦いが終わった頃……そのタイミングを狙ってか、二人が戦っていた個体よりも大きなライガルが襲い掛かる。
「マスター、俺が戦っても良いか」
「あぁ、良いぞ」
体が大きいということは、それだけ通常の個体と比べて身体能力が高い。
それはティールも理解しているが、それぐらいの差でラストが潰されるとは思っていない。
周囲を警戒しながらも、先に倒し終えた二体の血抜きを行う。
そしてティールが一体の解体を進め始めた頃、決着が着いた。
「にしても、思ったより手強かった感じか?」
「あぁ……ふふ、良い緊張感を得られた」
ラストの腕には二つの切り傷があり、それはライガルの執念が負わせた傷だった。
「そりゃ良かったな」
羨ましいと思いながら、三体の解体をその場で行う。
その日の夕食は、ライガルの肉をふんだんに使用した肉料理。
二人とも腹一杯になるまで食べ……ティールは少々食べ過ぎだと、ほんの少し後悔していた。
「そういえば、今のうちに決めておくか」
翌日も二人は順調に探索を進めている。
そんな中、ティールはラスボスであるアサルトレパードと、どちらが戦うかを今決めようと提案。
「…………今回は、マスターに譲る」
五秒ほど考え込んだ後、ラストはティールに譲ると宣言した。
「おっ? 良いのか??」
「あぁ、言葉通りだ」
「俺としては嬉しいけど……その心は?」
「まだ明確な勝てるイメージがない」
アサルトレパードと対峙した時に、勝てるイメージが浮かばないから挑まない。
人によっては、情けないと馬鹿にするかもしれない。
冒険者ともあろう者が、冒険をしないでどうする……そう思う者もいるかもしれないが、パーティーメンバーであるティールは特にそんな事は思わない。
「そっか。なら、今回は俺が挑むな」
アサルトレパードは、森林暗危の最下層のボス部屋に存在するモンスター。
地上で暴れている様な存在ではなく、倒さなかったからといって、誰かに被害が及ぶわけでもない。
十五層のボス部屋まで辿り着けば、いつでも挑戦することが出来る。
そんな存在だからこそ、今回ラストはあまり無茶をしないと決めた。
無茶をするとしても……それは、勝ち筋が見えた時だけ。
そうこうしているうちに、二人は目的の場所であるボス部屋前に到着した。
「あれって……多分、あの二人だよな」
ティールとラストがボス部屋前に現れると、先に並んでいた冒険者たちが、チラチラと二人の方を見始めた。
この場にいる冒険者たちは、まだ二人が自分たちに絡んで来たルーキーを、本当にボコボコにしたことを知らない。
それでも、現在イガルディスに滞在する優秀な冒険者が、二人は普通ではない……もしかしたら、別格な存在かもしれない……そう評価している事は知っていた。
故に、この場で二人にダル絡みする者はいなかった。
ただ……前回と同じく、ティールは同業者たちに料理を売ることになった。
「ふぅーー……よし」
一人で戦う。
そう決めたティールの顔には、少々緊張の色が浮かんでいた。
(一応、準備はしておくか)
ティールなら……マスターなら、自分とは違って既に勝利のイメージを持っている。
心配するだけ無駄かもしれない。
それでも、ダンジョンでは……命を懸けた戦いでは、何が起こるか分からない。
予想外という言葉を忘れず、ラストもティールと共にボス部屋足を踏み入れた。
「あぁ、そうだな」
二人が受けていた依頼、ライガルの肉一頭分。
普通に考えれば、一頭を倒せば十分。
ティールとラストの実力なら、ライガルの肉を無駄に消し飛ばすことなく倒せる。
運良く一体と遭遇した時、ティールはラストにライガルとのバトルを譲った。
だが、その一分後に別のライガルがティールに奇襲を仕掛けた。
「どうやら、本当に運が良いみたいだな」
ライガルとの勝負は、ティールも望むところ。
強敵とのバトルに二人が満足し、両者の戦いが終わった頃……そのタイミングを狙ってか、二人が戦っていた個体よりも大きなライガルが襲い掛かる。
「マスター、俺が戦っても良いか」
「あぁ、良いぞ」
体が大きいということは、それだけ通常の個体と比べて身体能力が高い。
それはティールも理解しているが、それぐらいの差でラストが潰されるとは思っていない。
周囲を警戒しながらも、先に倒し終えた二体の血抜きを行う。
そしてティールが一体の解体を進め始めた頃、決着が着いた。
「にしても、思ったより手強かった感じか?」
「あぁ……ふふ、良い緊張感を得られた」
ラストの腕には二つの切り傷があり、それはライガルの執念が負わせた傷だった。
「そりゃ良かったな」
羨ましいと思いながら、三体の解体をその場で行う。
その日の夕食は、ライガルの肉をふんだんに使用した肉料理。
二人とも腹一杯になるまで食べ……ティールは少々食べ過ぎだと、ほんの少し後悔していた。
「そういえば、今のうちに決めておくか」
翌日も二人は順調に探索を進めている。
そんな中、ティールはラスボスであるアサルトレパードと、どちらが戦うかを今決めようと提案。
「…………今回は、マスターに譲る」
五秒ほど考え込んだ後、ラストはティールに譲ると宣言した。
「おっ? 良いのか??」
「あぁ、言葉通りだ」
「俺としては嬉しいけど……その心は?」
「まだ明確な勝てるイメージがない」
アサルトレパードと対峙した時に、勝てるイメージが浮かばないから挑まない。
人によっては、情けないと馬鹿にするかもしれない。
冒険者ともあろう者が、冒険をしないでどうする……そう思う者もいるかもしれないが、パーティーメンバーであるティールは特にそんな事は思わない。
「そっか。なら、今回は俺が挑むな」
アサルトレパードは、森林暗危の最下層のボス部屋に存在するモンスター。
地上で暴れている様な存在ではなく、倒さなかったからといって、誰かに被害が及ぶわけでもない。
十五層のボス部屋まで辿り着けば、いつでも挑戦することが出来る。
そんな存在だからこそ、今回ラストはあまり無茶をしないと決めた。
無茶をするとしても……それは、勝ち筋が見えた時だけ。
そうこうしているうちに、二人は目的の場所であるボス部屋前に到着した。
「あれって……多分、あの二人だよな」
ティールとラストがボス部屋前に現れると、先に並んでいた冒険者たちが、チラチラと二人の方を見始めた。
この場にいる冒険者たちは、まだ二人が自分たちに絡んで来たルーキーを、本当にボコボコにしたことを知らない。
それでも、現在イガルディスに滞在する優秀な冒険者が、二人は普通ではない……もしかしたら、別格な存在かもしれない……そう評価している事は知っていた。
故に、この場で二人にダル絡みする者はいなかった。
ただ……前回と同じく、ティールは同業者たちに料理を売ることになった。
「ふぅーー……よし」
一人で戦う。
そう決めたティールの顔には、少々緊張の色が浮かんでいた。
(一応、準備はしておくか)
ティールなら……マスターなら、自分とは違って既に勝利のイメージを持っている。
心配するだけ無駄かもしれない。
それでも、ダンジョンでは……命を懸けた戦いでは、何が起こるか分からない。
予想外という言葉を忘れず、ラストもティールと共にボス部屋足を踏み入れた。
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