404 / 833
そこまで殺しにこない
しおりを挟む
「ふんっ!!!」
先日まで、アサルトレパードとの戦闘はティールが行っていた。
その間……ラストはただボーっとしていた訳ではなく、アサルトレパードの動きをじっくり観察してた。
相対すればその速さと動きに惑わされるも、一歩引いた位置から観ていれば、その動きもある程度見えてくる。
今のラストであれば、頭にインプットした内容から、次の動きを完全に把握することも難しくない。
「ッ!?」
「むっ! そう簡単には、いかないか」
とはいえ、アサルトレパードもBランクという凶悪な存在。
ラストのカウンターは確かにアサルトレパードの動きを捉えていたが、なんと空中で無理矢理体を捻り、薄皮一枚を斬る結果となった。
(あの身軽さを、再度頭に叩き込まねばならないな)
身体能力と環境も合わさり、ラスト的には隠動のスキルを持つキラータイガーよりも厄介だと感じる。
スピードや空中での身軽さに関しても、今まで戦ってきた強敵の中でもピカ一。
再度動きを完全に把握して牙竜を叩きこんだとしても、後出しじゃんけんの様に、空中で躱されてしまう可能性がある。
(竜化を使用して腕力を上げ、斬撃のスピードを上げたとしても……完全に捉えるのは、まだ難しそうだな)
薄皮一枚を超えて、皮と肉が少々斬れる程度。
アサルトレパードは再生のスキルを持っておらず、治癒力もそこまで高くはない。
放っておけば自然と癒えるが、速攻で裂傷が癒えることはない。
ただ、決着が着く一手ではないことは確か。
(そういえば、猛る本能、というスキルを、持っているのだったな)
瀕死に近い状態になると、痛覚を遮断し、全身の筋力を上昇。
つまり、身体能力が向上する。
加えて、回復速度までが向上する。
まさに生への本能が猛るからこそ、得られる能力。
しかし、スキルを使用することで、寿命を削るというデメリットも存在する。
一度の使用で一年、数年、十数年と寿命が削れることはない。
仮にそれほどの生命力を削れば、Aランクの中でも中位に位置する力を得られる。
そうなれば、もはやラスト一人だけで手に負える相手ではない。
発動自体は任意で行えるが、ダンジョンのボスモンスターとして生まれたアサルトレパードが、その発動を恐れることはない。
仮に冒険者から逃げようとしても、ボスであるアサルトレパードに逃げ場ないのも、冒険者と同じ条件。
(個人的には、その状態のアサルトレパードも、倒したいが! 油断は、禁物といった、ところか!!)
非常に五感が優れた状態を手に入れた。
そのお陰でアサルトレパードと対峙しても、倒せるイメージが脳内に浮かんだ。
それでも、猛る本能を使用したアサルトレパードが相手では、少々分が悪い。
最悪な状況を考えられるだけの冷静さを持っているラストだが……このまま何もしなければ、スタミナ勝負で負けてしまう。
「ッ!!??」
そこで今度はカウンターとして斬撃ではなく、火のブレスをかました。
牙竜による斬撃よりも範囲は広く、致命傷にはならずとも、それなりのダメージを与える広範囲攻撃。
アサルトレパードはこの戦いで一度も見たことがない広範囲の攻撃に、驚きながらも無理矢理体を動かし、空中に回避。
「隙あり」
「ギィヤァアアアッ!!??」
火のブレスを殆ど躱したその反応速度と、空中での動きに関しては、見事としか言えない。
だが、火のブレスをギリギリ回避した後のことまでは、頭が回っていなかった。
これが今までボス部屋で戦ってきた冒険者の動き、攻撃方法などが全て脳内に刻まれている個体などであれば、二撃目のカウンターも対処されたかもしれない。
しかし、いくら宝を求めて挑んでくる冒険者たちを食らうダンジョンも、そこまで恐ろしい進化を遂げようとはしなかった。
「お疲れ様、ラスト。ナイスファイトだったな」
「あぁ……そうだな。一つ、強くなれたと実感した戦いだった」
ナイスタイミングで放たれた斬撃をまともに食らい、アサルトレパードは真っ二つに切り裂かれ、地面に転がっていた。
先日まで、アサルトレパードとの戦闘はティールが行っていた。
その間……ラストはただボーっとしていた訳ではなく、アサルトレパードの動きをじっくり観察してた。
相対すればその速さと動きに惑わされるも、一歩引いた位置から観ていれば、その動きもある程度見えてくる。
今のラストであれば、頭にインプットした内容から、次の動きを完全に把握することも難しくない。
「ッ!?」
「むっ! そう簡単には、いかないか」
とはいえ、アサルトレパードもBランクという凶悪な存在。
ラストのカウンターは確かにアサルトレパードの動きを捉えていたが、なんと空中で無理矢理体を捻り、薄皮一枚を斬る結果となった。
(あの身軽さを、再度頭に叩き込まねばならないな)
身体能力と環境も合わさり、ラスト的には隠動のスキルを持つキラータイガーよりも厄介だと感じる。
スピードや空中での身軽さに関しても、今まで戦ってきた強敵の中でもピカ一。
再度動きを完全に把握して牙竜を叩きこんだとしても、後出しじゃんけんの様に、空中で躱されてしまう可能性がある。
(竜化を使用して腕力を上げ、斬撃のスピードを上げたとしても……完全に捉えるのは、まだ難しそうだな)
薄皮一枚を超えて、皮と肉が少々斬れる程度。
アサルトレパードは再生のスキルを持っておらず、治癒力もそこまで高くはない。
放っておけば自然と癒えるが、速攻で裂傷が癒えることはない。
ただ、決着が着く一手ではないことは確か。
(そういえば、猛る本能、というスキルを、持っているのだったな)
瀕死に近い状態になると、痛覚を遮断し、全身の筋力を上昇。
つまり、身体能力が向上する。
加えて、回復速度までが向上する。
まさに生への本能が猛るからこそ、得られる能力。
しかし、スキルを使用することで、寿命を削るというデメリットも存在する。
一度の使用で一年、数年、十数年と寿命が削れることはない。
仮にそれほどの生命力を削れば、Aランクの中でも中位に位置する力を得られる。
そうなれば、もはやラスト一人だけで手に負える相手ではない。
発動自体は任意で行えるが、ダンジョンのボスモンスターとして生まれたアサルトレパードが、その発動を恐れることはない。
仮に冒険者から逃げようとしても、ボスであるアサルトレパードに逃げ場ないのも、冒険者と同じ条件。
(個人的には、その状態のアサルトレパードも、倒したいが! 油断は、禁物といった、ところか!!)
非常に五感が優れた状態を手に入れた。
そのお陰でアサルトレパードと対峙しても、倒せるイメージが脳内に浮かんだ。
それでも、猛る本能を使用したアサルトレパードが相手では、少々分が悪い。
最悪な状況を考えられるだけの冷静さを持っているラストだが……このまま何もしなければ、スタミナ勝負で負けてしまう。
「ッ!!??」
そこで今度はカウンターとして斬撃ではなく、火のブレスをかました。
牙竜による斬撃よりも範囲は広く、致命傷にはならずとも、それなりのダメージを与える広範囲攻撃。
アサルトレパードはこの戦いで一度も見たことがない広範囲の攻撃に、驚きながらも無理矢理体を動かし、空中に回避。
「隙あり」
「ギィヤァアアアッ!!??」
火のブレスを殆ど躱したその反応速度と、空中での動きに関しては、見事としか言えない。
だが、火のブレスをギリギリ回避した後のことまでは、頭が回っていなかった。
これが今までボス部屋で戦ってきた冒険者の動き、攻撃方法などが全て脳内に刻まれている個体などであれば、二撃目のカウンターも対処されたかもしれない。
しかし、いくら宝を求めて挑んでくる冒険者たちを食らうダンジョンも、そこまで恐ろしい進化を遂げようとはしなかった。
「お疲れ様、ラスト。ナイスファイトだったな」
「あぁ……そうだな。一つ、強くなれたと実感した戦いだった」
ナイスタイミングで放たれた斬撃をまともに食らい、アサルトレパードは真っ二つに切り裂かれ、地面に転がっていた。
58
あなたにおすすめの小説
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー
みーしゃ
ファンタジー
生まれつきMPが1しかないカテリーナは、義母や義妹たちからイジメられ、ないがしろにされた生活を送っていた。しかし、本をきっかけに女神への信仰と勉強を始め、イケメンで優秀な兄の力も借りて、宮廷大学への入学を目指す。
魔法が使えなくても、何かできる事はあるはず。
人生を変え、自分にできることを探すため、カテリーナの挑戦が始まる。
そして、カテリーナの行動により、周囲の認識は彼女を聖女へと変えていくのだった。
物語は、後期ビザンツ帝国時代に似た、魔物や魔法が存在する異世界です。だんだんと逆ハーレムな展開になっていきます。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
灼熱の連撃(ラッシュ)と絶対零度の神速剣:転生した双子のチート令嬢は、その異能で世界を救う
夜詩榮
ファンタジー
あらすじ
現代日本。活発な空手家の娘である姉・一条響と、冷静沈着な剣道部員である妹・一条奏は、突然の交通事故に遭う。意識が薄れる中、二人を迎え入れたのは光を纏う美しい女神・アステルギアだった。女神は二人に異世界での新たな生と、前世の武術を応用した規格外のチート能力を授ける。そして二人は、ヴァイスブルク家の双子の姉妹、リーゼロッテとアウローラとして転生を果たす。
登場人物
主人公
名前(異世界) 名前(前世) 特徴・能力
リーゼロッテ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 響ひびき 双子の姉。前世は活発な空手家の娘で黒帯。負けず嫌い。転生後は長い赤みがかった金髪を持つ。チート能力は、空手を応用した炎の魔法(灼熱の拳)と風の魔法(超速の体術)。考えるより体が動くタイプ。
アウローラ・ヴァイスブルク 一条いちじょう 奏かなで 双子の妹。前世は冷静沈着な剣道部員。学業優秀。転生後は長い銀色の髪を持つ。チート能力は、剣術を応用した氷/水の魔法(絶対零度の剣)と土の魔法(鉄壁の防御・地形操作)。戦略家で頭脳明晰。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる