あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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そこまでは知らない

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「……マスター、思っていた以上に、虫のモンスターが多い、な」

「そうだ、なッ!!!!」

現在、ティールたちはスパイダー系のモンスターと戦闘中。

蜘蛛は正確には無視ではないのだが、この世界では本当に昆虫の生態に詳しい研究者、学者たちしか知らない。
ティールには知性というギフトがあるものの、足が八本あるのと六本ある違いなどから、細かい部分まで理解、把握することは出来ない。

因みに、現在三人が戦っているスパイダー系のモンスターは放出する糸にも毒を込められるため、非常に厄介なモンスターであり……冒険者たちの中には、無駄な戦闘を避けようと逃走する者もいる。

そんな中……ラストとしても、スパイダー系のモンスターの様な個体はあまり好みの個体ではないが、だからといってティールとアキラだけに任せようという怠惰な気持ちも起きない。
そのため、なるべく素材を無駄にしない様に……八本の足をぶった斬りながら完全に動けなくなるまで追い詰め、丁寧に討伐していた。

「ふぅ~~~。これで……虫系モンスターの襲撃は五回目か?」

「そうだな。因みに虫系モンスター以外の襲撃は、最初の猿っぽいモコボルトだけだな」

顔には出ていないが、雰囲気からテンションが下がっているのが丸解かりのラスト。

アキラも斬り応えがあるモンスターを求めていたため、ラストほど雰囲気にも出ていないが、ややテンションが落ち気味だった。

「森……樹海だからね。そういう事もあるよ」

三人は冒険者ギルドで購入した地図を見ながら、のんびりと下の階層に続く階段を目指していた。

その為、最初の猿っぽいコボルト以外に遭遇したモンスターが全て虫系というのは……本当に偶々偶然だった。

(もしかしたらだけど、一般的な森と比べて、この樹海って場所は……このダンジョンに限らず、動物よりもモンスターが多いのかもな)

ギルドから購入した情報には軽く目を通していたが、事細かく見ていなかったティール。
それでは情報を購入した意味がないじゃないかとツッコまれることは解っているが……知らない未知を体験、冒険するのは冒険者の醍醐味。

ティールはその醍醐味を楽しむ為に、敢えて深く細かく読んでいなかった。

「でもさ、ラスト。虫系のモンスターが多く生息してるってことは、この前戦ったディレッドビートルみたいな力強いモンスターもいるってことだよ」

「ッ……そうか。それは、そうだな。確かに楽しみだ」

ディレッドビートル。
Bランクの巨大カブトムシのモンスターであり、ラストがティールからの指示もあって、ソロでは討伐出来なかった個体。

(多分だけど、ギルドから買い取った情報にあったと思うんだよな……まぁ、危険なモンスターはディレッドビートルだけじゃないと思うけど)

ティールの想像通り、樹海というエリアにはカブトムシ以外の危険度の高い昆虫もおり……勿論、昆虫以外のモンスターがエリアの一部を支配している場合もある。

「そういえばアキラさん、ディレッドビートルの角とどんなモンスターの素材を使うか決まりました?」

「むっ…………正直なところ、まだ迷っている」

ディレッドビートルの角を刀の材料として使うことに関してはもう迷っていない。
だが、その角が非常に良質な素材であると解っているため、中々もう一つ加える素材が決まらない。

「この街に刀を造れる職人はいるらしいから、本当に後は素材だけだな」

「そうなのだが……やはり、同じ火属性を持つモンスターの素材を加えた方が良いだろうか?」

「……この前討伐した雷鳥の素材はダメなのか?」

ティールが探すのに何日も掛った雷鳥。

だが、二人も戦えるな戦ってみたいな~~と思い始めてから数日後、二人とも雷鳥と遭遇して討伐することに成功した。
羽や内臓の大半は売却したが、骨などはティールの亜空間に入っている。

「…………候補止まり、だな」

「それなら、いっそ今回はこの樹海の中で、ディレッドビートルの角に勝るとも劣らない素材を探しましょうよ」

そこまでしてもらうのは、とアキラが申し出る前に、ティールの中で今後の予定が確定した。
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