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間に合うか?
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「マスター、あの視線を向けてた奴はどうするんだ」
三十階層のボスモンスター三体を討伐し、地上に戻って来たティールたちは、そのまま冒険者ギルドへ向かい、いつも通り必要ないモンスターの素材を売却した。
当然ながら、二十一階層から遭遇したモンスターは全て討伐しており、初の探索の二十六階層から三十階層の樹海エリアではのんびり移動していたため、多くのモンスターと遭遇していた。
結果、売却額は白金貨が出てくるほどの大金となった。
ティールはギルドが販売用に保有しているビンを大量に購入したが、それでも素材の売却額が大幅に減ることはなかった。
「あの視線っていうと、あの男のこと?」
「あぁ、あの男のことだ」
これまでと同じく、一度の換金で白金貨を手に入れた……とは解らない様に袋に硬貨を入れて渡された。
素材の量もあまりに多いため、カウンターではなく解体用の倉庫で査定が行われた。
なので、実際にティールたちがどういったモンスターの素材を売却し、どれほどの金額を受け取ったのかは分からない。
しかし……ティールたちが解体用の倉庫へ向かった事は解っているため、とにかく三人が大金を得たということだけは解る。
故に、いつも通り多くの同業者から様々な視線を向けられていた。
そんな中で……ある男の視線が強くティールに突き刺さった。
「どうすると言われてもなぁ……一応、視線を向けてくるだけで、何か仕掛けてきた訳ではないだろ」
「そうだな。しかし、明らかにマスターを狙っていただろう」
会話に出てくるあの男とは、クラン紫獅の誓いに所属している実力派ルーキーのヒツギ。
ティールとはちょっとした因縁があり、ティールとしては先日ギルド内で決着がついたと思っていた。
「そうだけど、別に殺意は向けられていなかったな~」
ヒツギは離れた場所からではあるものの、ティールに強烈な戦意を向けていた。
その際、視線が一度もティールからアキラに移ることはなかった。
「一度、ティールと戦いたいと思っているのだろうな」
「マスターと試合を、か。冒険者としてその実力を知りたいというのであれば、解らなくもないが……」
現状、ヒツギは強烈な戦意が籠った視線を向けているだけであり、上から目線で「それなりに騒がれてる君の実力、僕が確認してあげるよ!!!!」といった感じで絡んできてはいない。
仮にそういった態度で試合を申し込んできた場合、ティールは即断るつもりでいる。
「……戦る意味はなんだ?」
「失ったプライドを取り戻すためだろう」
アキラは女性ではあるものの、冒険者であると同時に侍でもある。
それもあって、ヒツギが何を考えているのか、解らなくもなかった。
「失ったプライド……もしや、ギルドのロビーで結果として恥をかいて失ったプライドのことか?」
「…………そういう言い方も出来るな」
ラストにとっては、ただヒツギが過剰な自信を暴走した結果、下手なプライドを失っただけにしか思えず、わざわざ取り戻そうとするものか? と疑問に感じた。
「そういえば、前にもしかしたらその可能性があるかもって話したね。けど、それならなんで申し込んで来ないんのかな」
それ相応の対価を用意して貰えれば、もしくは公衆の面前で土下座までいかずとも、腰を九十度に折って頼み込んできたのであれば、挑戦を受けても良いと考えている。
「ボス部屋から地上に戻った時、同業者たちがティールに向けていた視線や会話を覚えているか?」
「なんとなくですけど、覚えてますよ。多少とはいえ、面識のない冒険者たちにも認眼られるようになって嬉しかったですね」
「ふふ、そうだろうな。そしてヒツギがティールに直ぐに試合を申し込んで来なかったのは、それが理由だ」
「なるほど。ようやくマスターの実力を、あの男も理解出来た訳か」
大恥をかいた日、ヒツギはティールがBランクの冒険者であることを初めて知った。
その日以降も、順調にティールが波状試練を攻略しているという情報が耳に入る。
パーティーメンバーのラストとアキラが頑張っているから。
そう考えれば楽だったが、ヒツギは真のぼんくらではなかった。
そもそもBランクまで、運だけで……パーティーメンバーの力だけで登れないことを知っている。
「つまり、今あの男はマスターを倒す為に、牙を研いでいる最中だと」
「私の勝手な予想ではあるが」
アキラの個人的な予想を聞き、ラストは多少ではあるが、ヒツギの評価を改めた。
そんな中、ティールはあることを考えていた。
(多分、受けるには受けると思うけど…………別に、これから先ジラーニを拠点にして活動するわけじゃないからなぁ……)
当然ながら、ティールは波状試練を攻略し終え、満足するまで探索し尽くした後、また別の目的地を見つけて移動する。
それまでに牙を研ぎ終えるかは……ヒツギ自身にも解らない。
三十階層のボスモンスター三体を討伐し、地上に戻って来たティールたちは、そのまま冒険者ギルドへ向かい、いつも通り必要ないモンスターの素材を売却した。
当然ながら、二十一階層から遭遇したモンスターは全て討伐しており、初の探索の二十六階層から三十階層の樹海エリアではのんびり移動していたため、多くのモンスターと遭遇していた。
結果、売却額は白金貨が出てくるほどの大金となった。
ティールはギルドが販売用に保有しているビンを大量に購入したが、それでも素材の売却額が大幅に減ることはなかった。
「あの視線っていうと、あの男のこと?」
「あぁ、あの男のことだ」
これまでと同じく、一度の換金で白金貨を手に入れた……とは解らない様に袋に硬貨を入れて渡された。
素材の量もあまりに多いため、カウンターではなく解体用の倉庫で査定が行われた。
なので、実際にティールたちがどういったモンスターの素材を売却し、どれほどの金額を受け取ったのかは分からない。
しかし……ティールたちが解体用の倉庫へ向かった事は解っているため、とにかく三人が大金を得たということだけは解る。
故に、いつも通り多くの同業者から様々な視線を向けられていた。
そんな中で……ある男の視線が強くティールに突き刺さった。
「どうすると言われてもなぁ……一応、視線を向けてくるだけで、何か仕掛けてきた訳ではないだろ」
「そうだな。しかし、明らかにマスターを狙っていただろう」
会話に出てくるあの男とは、クラン紫獅の誓いに所属している実力派ルーキーのヒツギ。
ティールとはちょっとした因縁があり、ティールとしては先日ギルド内で決着がついたと思っていた。
「そうだけど、別に殺意は向けられていなかったな~」
ヒツギは離れた場所からではあるものの、ティールに強烈な戦意を向けていた。
その際、視線が一度もティールからアキラに移ることはなかった。
「一度、ティールと戦いたいと思っているのだろうな」
「マスターと試合を、か。冒険者としてその実力を知りたいというのであれば、解らなくもないが……」
現状、ヒツギは強烈な戦意が籠った視線を向けているだけであり、上から目線で「それなりに騒がれてる君の実力、僕が確認してあげるよ!!!!」といった感じで絡んできてはいない。
仮にそういった態度で試合を申し込んできた場合、ティールは即断るつもりでいる。
「……戦る意味はなんだ?」
「失ったプライドを取り戻すためだろう」
アキラは女性ではあるものの、冒険者であると同時に侍でもある。
それもあって、ヒツギが何を考えているのか、解らなくもなかった。
「失ったプライド……もしや、ギルドのロビーで結果として恥をかいて失ったプライドのことか?」
「…………そういう言い方も出来るな」
ラストにとっては、ただヒツギが過剰な自信を暴走した結果、下手なプライドを失っただけにしか思えず、わざわざ取り戻そうとするものか? と疑問に感じた。
「そういえば、前にもしかしたらその可能性があるかもって話したね。けど、それならなんで申し込んで来ないんのかな」
それ相応の対価を用意して貰えれば、もしくは公衆の面前で土下座までいかずとも、腰を九十度に折って頼み込んできたのであれば、挑戦を受けても良いと考えている。
「ボス部屋から地上に戻った時、同業者たちがティールに向けていた視線や会話を覚えているか?」
「なんとなくですけど、覚えてますよ。多少とはいえ、面識のない冒険者たちにも認眼られるようになって嬉しかったですね」
「ふふ、そうだろうな。そしてヒツギがティールに直ぐに試合を申し込んで来なかったのは、それが理由だ」
「なるほど。ようやくマスターの実力を、あの男も理解出来た訳か」
大恥をかいた日、ヒツギはティールがBランクの冒険者であることを初めて知った。
その日以降も、順調にティールが波状試練を攻略しているという情報が耳に入る。
パーティーメンバーのラストとアキラが頑張っているから。
そう考えれば楽だったが、ヒツギは真のぼんくらではなかった。
そもそもBランクまで、運だけで……パーティーメンバーの力だけで登れないことを知っている。
「つまり、今あの男はマスターを倒す為に、牙を研いでいる最中だと」
「私の勝手な予想ではあるが」
アキラの個人的な予想を聞き、ラストは多少ではあるが、ヒツギの評価を改めた。
そんな中、ティールはあることを考えていた。
(多分、受けるには受けると思うけど…………別に、これから先ジラーニを拠点にして活動するわけじゃないからなぁ……)
当然ながら、ティールは波状試練を攻略し終え、満足するまで探索し尽くした後、また別の目的地を見つけて移動する。
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