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三十二話若者の特権
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「力と雰囲気がちぐはぐしてるか・・・・・・まぁ、確かに自分でもそんな感じするな。でも、取りあえずポーションの液体を入れるビンは、売ってくれそうだな。つっても・・・・・・錬金術ってどうやるんだろうな? 道具を使って作るのか、それとも本当に何かと何かを、混ぜ合わせる感じで作るのか。どっちかは分からないけど魔力を使って多数の物を一つに混ぜ合わせるって、気がするな。もの凄く直感だけど」
ソウスケが錬金術のやり方について悩んでいると、奥からお婆さんがポーションのピンを数十本と、それを入れるケースと少し分厚い本を持ってきた。
「ほれ。ポーションを入れるピンが四十本とそのケース。そして錬金術に必要な素材が載っている本だよ」
「えっ! あの、俺はポーションを入れるビンだけしか、頼んでいないと思うんですけど・・・・・・」
戸惑うソウスケに、お婆さんは笑顔で答えた。
「なぁに。久しぶりに面白そうな新人冒険者が来たもんだからね。少しサービスしてやろうと思っただけさ。お前さんが気にすることは全くない」
「でも・・・・・・本とかってかなり高かったと思うんですけど」
ソウスケの中での知識では、この世界では活版印刷の技術は全然進んでいないと思っていた。なので本一冊でも、日本にいたときの値段と比べると、バカ高いのでは予想した。
実質、ソウスケが予測した通り、この世界では基本的に本の値段は高い。数千円は当たり前。数万から数十万する本だってある。
だが、婆さんはソウスケから、錬金術に必要な素材が載ってある本の値段を取る気は無かった。言葉通り、少しのサービスといった感じで渡すつもりだった。
「まぁ、そりゃ高いね、基本的には。でも言ったろ、サービスだよサービス。この本はもう私は使うことが無いからね。あれだよ、宝の持ち腐れって奴だね。だからあんたにやるよ。ほれ」
「あ、ありがとう、ございます。本当に」
「どういたしまして。おっと一つ聞いておかなきゃね。あんた、直観的にでいいから答えな。錬金術のスキルを使うとき、自分は道具を使う派かい、それとも魔力だけで作る派かい」
お婆さんは思いだしたかのように、かなり重要な事をソウスケに聞いてきた。
その問いに、さっきの自分の直観をソウスケは言った。
「多分、魔力で作る派だと思います」
「そうかい・・・・・・なら、錬金術のスキルで何かを作るときは、最終的に作る物の構造をきちんと把握しておいた方が良いよ。そっちの方が成功率も上がって、完成度の高い者が出来るはずだよ」
「わ、分かりました。助言、有難うございます!!」
ソウスケが頭を下げながらお礼を言うと、それがお婆さんにとって可笑しかったのか、急に笑い出しった。
「はっはっはっはっは、なんとま~~~礼儀正しい冒険者だね。新人でも、お前さんみたいに礼儀正しい冒険者ほとんど見たことが無いね」
「そ、そうなんですか?」
ソウスケにとって、新しく何かの団体に入ると言う事は、部活に新入部員として入るのと同じことだと思い、自分の様な態度が当たり前だと思っていた。
「そうさね・・・・・・冒険者になったばかりの新人ってのはね、冒険者になっただけで自分は強くなったと、勘違いしてるのが多いんだよ。冒険者になったら、学ばなきゃいけないことが沢山あるってのに・・・・・・大したもんでもない、そこら辺の武器を携えて、討伐依頼を受けて、低ランクのモンスターにボロボロにやられて、とぼとぼと帰って来る。それならまだ良いんだよ。当たり前だけど、中には帰ってこない奴だっている。雑魚に分類されているゴブリンにだって、油断していたら後ろから、ボカッと殴られる事だってある」
お婆さんの話で、昨日助けたパーティーの人たちの事を、ソウスケは思い出した。
(昨日助けたあいつらも、確かゴブリンに追い詰められてたな。俺が助けてなきゃ・・・・・・二人ぐらいは逃げ切れたかもしれないけど、悲惨な目に合うか、トラウマになるかは確実だったろうな。
「確かに、強がりは若者の特さ。でもね、冒険者の仕事に携わっている人、同じ冒険者の先輩、長い間冒険者を見て来た人。そういった人達の話は、ちゃんと聞いておいた方が良いもんなんだよ。そういった知識だけで命を拾うことだってある。まぁ、若い者にはまだ、そういった考えが出来ない者が多いのも確かなんだろうけどね・・・・・・」
お婆さんは遠い目をしながら、ソウスケに自分の考えを離した。
(・・・・・・もしかしたら、そういった冒険者をこの人は見て来たのかもしれないな。自分の店によって、買い物して、そして二度と自分の店に来なかった冒険者を。まぁ、それが本当に死んだのか、店に来なくなっただけかは知らないけどな。でも、そういった事が起きても不思議じゃないよな)
人が二度、死に追い詰められている場面を見たソウスケは、お婆さんが話した出来事に対してそんな事は無いだろう、といった考えはなかった。
「っと、辛気臭い感じになってすまないね。値段は銀貨十五枚だけど持ってるかい?」
「あ、はい。今出しますね」
ソウスケはアイテムボックスの中から、銀貨を取り出した。
それを見たお婆さんの顔が、驚いた顔になっていた。
そんなお婆さんの顔を見てから、ソウスケはしまったと思った。
ソウスケが錬金術のやり方について悩んでいると、奥からお婆さんがポーションのピンを数十本と、それを入れるケースと少し分厚い本を持ってきた。
「ほれ。ポーションを入れるピンが四十本とそのケース。そして錬金術に必要な素材が載っている本だよ」
「えっ! あの、俺はポーションを入れるビンだけしか、頼んでいないと思うんですけど・・・・・・」
戸惑うソウスケに、お婆さんは笑顔で答えた。
「なぁに。久しぶりに面白そうな新人冒険者が来たもんだからね。少しサービスしてやろうと思っただけさ。お前さんが気にすることは全くない」
「でも・・・・・・本とかってかなり高かったと思うんですけど」
ソウスケの中での知識では、この世界では活版印刷の技術は全然進んでいないと思っていた。なので本一冊でも、日本にいたときの値段と比べると、バカ高いのでは予想した。
実質、ソウスケが予測した通り、この世界では基本的に本の値段は高い。数千円は当たり前。数万から数十万する本だってある。
だが、婆さんはソウスケから、錬金術に必要な素材が載ってある本の値段を取る気は無かった。言葉通り、少しのサービスといった感じで渡すつもりだった。
「まぁ、そりゃ高いね、基本的には。でも言ったろ、サービスだよサービス。この本はもう私は使うことが無いからね。あれだよ、宝の持ち腐れって奴だね。だからあんたにやるよ。ほれ」
「あ、ありがとう、ございます。本当に」
「どういたしまして。おっと一つ聞いておかなきゃね。あんた、直観的にでいいから答えな。錬金術のスキルを使うとき、自分は道具を使う派かい、それとも魔力だけで作る派かい」
お婆さんは思いだしたかのように、かなり重要な事をソウスケに聞いてきた。
その問いに、さっきの自分の直観をソウスケは言った。
「多分、魔力で作る派だと思います」
「そうかい・・・・・・なら、錬金術のスキルで何かを作るときは、最終的に作る物の構造をきちんと把握しておいた方が良いよ。そっちの方が成功率も上がって、完成度の高い者が出来るはずだよ」
「わ、分かりました。助言、有難うございます!!」
ソウスケが頭を下げながらお礼を言うと、それがお婆さんにとって可笑しかったのか、急に笑い出しった。
「はっはっはっはっは、なんとま~~~礼儀正しい冒険者だね。新人でも、お前さんみたいに礼儀正しい冒険者ほとんど見たことが無いね」
「そ、そうなんですか?」
ソウスケにとって、新しく何かの団体に入ると言う事は、部活に新入部員として入るのと同じことだと思い、自分の様な態度が当たり前だと思っていた。
「そうさね・・・・・・冒険者になったばかりの新人ってのはね、冒険者になっただけで自分は強くなったと、勘違いしてるのが多いんだよ。冒険者になったら、学ばなきゃいけないことが沢山あるってのに・・・・・・大したもんでもない、そこら辺の武器を携えて、討伐依頼を受けて、低ランクのモンスターにボロボロにやられて、とぼとぼと帰って来る。それならまだ良いんだよ。当たり前だけど、中には帰ってこない奴だっている。雑魚に分類されているゴブリンにだって、油断していたら後ろから、ボカッと殴られる事だってある」
お婆さんの話で、昨日助けたパーティーの人たちの事を、ソウスケは思い出した。
(昨日助けたあいつらも、確かゴブリンに追い詰められてたな。俺が助けてなきゃ・・・・・・二人ぐらいは逃げ切れたかもしれないけど、悲惨な目に合うか、トラウマになるかは確実だったろうな。
「確かに、強がりは若者の特さ。でもね、冒険者の仕事に携わっている人、同じ冒険者の先輩、長い間冒険者を見て来た人。そういった人達の話は、ちゃんと聞いておいた方が良いもんなんだよ。そういった知識だけで命を拾うことだってある。まぁ、若い者にはまだ、そういった考えが出来ない者が多いのも確かなんだろうけどね・・・・・・」
お婆さんは遠い目をしながら、ソウスケに自分の考えを離した。
(・・・・・・もしかしたら、そういった冒険者をこの人は見て来たのかもしれないな。自分の店によって、買い物して、そして二度と自分の店に来なかった冒険者を。まぁ、それが本当に死んだのか、店に来なくなっただけかは知らないけどな。でも、そういった事が起きても不思議じゃないよな)
人が二度、死に追い詰められている場面を見たソウスケは、お婆さんが話した出来事に対してそんな事は無いだろう、といった考えはなかった。
「っと、辛気臭い感じになってすまないね。値段は銀貨十五枚だけど持ってるかい?」
「あ、はい。今出しますね」
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そんなお婆さんの顔を見てから、ソウスケはしまったと思った。
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