転移したらダンジョンの下層だった

四十九話情報収集

周りの人達に自分の元気なムスコをばれない様に歩きながら宿に戻ったソウスケは、夜の大人な時間になるまで木を削ってモンスターのフィギュアを作るか、錬金術で造ってみたい物や、鍛冶スキルを使って造ってみたい武器などを考えながら時間を潰した。

そしてソウスケは夢を買いに行く前に、その夢の場所を得るためにそこそこベテランそうで、新人を食い物にしなさそうな冒険者を探した。
そんな情報を得るのにちょうど良さそうな人物を見つけ、情報を聞き出そうとした。

「おじさん。少し聞きたいことがあるんだけどいいかな？」

そう言いながらソウスケは、そっと銀貨を一枚テーブルに置きながら冒険者の隣に座った。

「んん？　いきなりなんだぼう、ず・・・・・・いや、坊主は悪かったな。俺に何か用か話の分かる新人冒険者」

酒を飲みながら夕食を食べていた冒険者は、いきなり隣に座って来たソウスケになんだコイツといった目を向けてきたが、情報を得るために相手に目地を驕る、もしくは金を渡すと言った冒険者としては基本的な事をソウスケが知っていると分かり、銀貨を受け取って食事を一旦止めソウスケの質問を聞く態勢をとった。

相手の冒険者が話を聞いてくれると分かったソウスケは、安心した表情になり心の中でホッと一息ついた。
そして知りたかった娼館の情報を聞き出し始めた。

「自分はまだこの街に来て日数が殆ど経っていなくて、どこにどんな店があるのかあまり分からないんですよ。なので娼館のある場所を是非教えてほしいなと思って」

ソウスケの質問を聞いた冒険者は、自分の予想していた質問と違いキョトンとした顔になったが、直ぐにニヤニヤとした顔つきになった。

「なるほどな。坊主・・・・・・いや、少年も立派な男だって事だな。見たところまだ冒険者になって数日ってところか？」

この冒険者は、ベテランなだけあって普段の状態なら、ソウスケの実力に勘付ける実力を持っているのだが、元々ソウスケの実力が分かりずらいのと、酒が入っているのもあって完全に実力も新人の冒険者だと勘違いしていた。

「そうですね。まだ冒険者になって一週間ぐらいですね」

「そうかそうか。けど・・・・・・冒険者としての童貞は既に捨てているみたいだな」

酔っていてソウスケの正確な力量が分からずとも、それくらいは冒険者としての勘のような物で分かっていた。
ソウスケは最初冒険者としての童貞という意味が分からなかったが、直ぐにモンスターを殺して報酬を得ることだと理解した。そして真面目に答える必要は無いと思い、適当に答えた。

「はい、数日前に捨てました」

「ほぉ～～、中々やるな。見た感じ装備は親か親戚の御下がりってところか？」

本当は冒険者の言う通りではないのだが、そういう設定にしているので否定はしなかった。

(このおじさん良い感じに勘違いしてくれてるな。有難いことだ）

「はい。おじいちゃんが冒険者だったので、当時使っていた装備を譲ってもらいました」

「そうか、おじいちゃんに貰ったか。新人にしては有難いことだな。俺は家族にそういう人がいなかったからな。っと、そういう話が聞きたいんじゃなかったんだよな。娼館の場所だったな。この宿屋を出て右にに十分ぐらいの間歩いて行くとな、直ぐに分かるようになってるんだよ。多分店に客を呼ぶために綺麗な姉ちゃんたちが、冒険者や一般人に声を掛けているのが直ぐに見える。そこから奥に入っていけば殆どの店は大人の店だ」

冒険者はそこに行った時の事を思い出し、だらしない顔になっていた。
そんな冒険者に、ソウ助も気持ちは何となく分かるのでそこをからかったり等はしなかった。

「場所はその辺りだ。それで値段だが最低でも少年が俺にくれた銀貨一枚だ。そんでそうだな～～～～、銀貨十枚から三十枚程あればそこそこ良い女が抱けるはずだ。金貨一枚もあれば夢の様な女を抱けるぞ」

冒険者の夢の様な女と言う言葉に、再びソウスケのムスコが元気になってしまった。