転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
64 / 1,259

六十三話・・・・・・怪しくはあるな

しおりを挟む
「そうですね。お言葉に甘えて少し貰いましょう。良かったら、今夜私の家で一緒にワイバーンの肉を食べませんか?」

「へぇ?」

ソウスケは全くもって予想していなかったセーレの返しに、思わず間抜けな声を出してしまった。
ただワイバーンの肉を物欲しそうに見ていたので、少し分けようかと思ってい声を掛けたソウスケだったが、まさか夕食の誘いが来るとは思っていなかった。

「私、こう見えても料理は結構出来るんですよ。そうですね・・・・・・今日はメイが退勤時間が私と同じなので三人で一緒に食べましょうか」

「は、はい。そ、そそそうですね。食事は人が多い方が楽しいですからね」

ソウスケは、よく考えずに返事をして了承してしまった。

(メイって・・・・・・あのメイさんだよな。巨乳ならぬ魔乳を持つあのほわ~~んとした雰囲気を放っている可愛い受付嬢だよな。・・・・・・俺は最後まで理性を保てるのか?)

理性を保てるかどうかは一旦置いて置き、ソウスケは蒼穹に冒険者が使えるローブを買おうと思った。

「えっと、それじゃぁ俺は何時ごろにギルドに戻ってきたらいいですか」

「そうですね・・・・・・六時ごろに戻ってきてもらってよろしいですか?」

「分かりました。六時ですね。せ、セーレさんの手料理楽しみにして待ってます」

ソウスケの言葉にセーレはクスッと笑いながら期待していてくださいねと、返事を返した。
その笑顔にソウスケがやられたのは言うまでもない。

セーレと一緒に夕食を食べる約束をしてからギルドを出たソウスケは、とりあえず実践で使えるローブが欲しいと思い、防具屋を探していた。

「ローブを買うにしても、実戦で耐えられる物が欲しいな。もしくは何かしらの効果が付与されているマジックアイテムが欲しいな」

防具屋を探し続けるソウスケだが、良さそうな店は一向に見当たらない。

(ふぅーー、中々良い店は見つからないな。どうせならギルドを出る前にセーレさんに聞いておけば良かったな。今からギルドに戻るのはちょっとな・・・・・・表通りじゃない所に行ってみるか)

もしかしたら隠れた名店があるのではと思い、ソウスケは裏路地に入った。

「治安は良くないだろうけど、チンピラぐらいならなんとでもなるだろうな。・・・・・・逆にうっかり力加減を間違えて殺してしまはないか心配だな」

これからは手加減を覚えた方が良いかもとソウスケは思い始めた。

裏路地に入ってから二十分程が経ったが、いまだにソウスケが期待できると感じる店は無かった。

「表通りの店と比べて、正直粗悪品が多いな。まぁ、中には良さそうなアイテムや武器はあった気がするけど、値段は法外って感じだったな。こういうのなんて言うんだっけ・・・・・・ブラックマーケットだったか?」

ちなみにソウスケは裏路地に入ってから一度も絡まれていなかった。
だが、いかにも裏社会に生きているといった感じの人を何人か見たため、絡まれてはいないが警戒心は上がっていた。

「何か良さそうな店はないのか~~~~~っと、・・・・・・」

ソウスケの目が一つの店に止まった。
その店は裏路地にある店にしては外見は中々の物だった。
正直表通りで商売した方が儲かるのではとソウスケは思った。

(店の中にある商品に期待できそうだな。けど、それより中にいる人はあれか・・・・・・もしかして元冒険者か?)

気配察知のスキルを使い、中に人がいるのかを確認したソウスケは、気配感知に引っかかった気配の強さに驚いた。

「まだランクBやAの冒険者に会った事は無いからそこら辺の人の強さの基準は分からないけど、恐らくかなり強いな。切り札を戦力に考えなければ俺より強いだろうな。・・・・・・まぁ、店に入って急に襲い掛かって来るなんて事は無いだろう」

危険は恐らくないだろうと判断したソウスケは店に向かった。
そして店に前に立ち、看板に書かれてある言葉を読んだ。

「えーーーっと、強き人物は歓迎する。弱き者は金を持っていても帰れ。で合ってるかな? 何というか・・・・・・普通店の看板にそんな言葉を載せるか? 俺は、弱くはない・・・・・・筈だ。取りあえず入ってみよう」

いきなりナイフや魔法が飛んで来たらどうしようと考えながら、ソウスケはドアの取っ手に手を掛けた。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

【めっさ】天使拾った【可愛ぃなう】

一樹
ファンタジー
酔っ払いが聖女を拾って送迎する話です。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...