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六十八話ヒヨコは黙っていろ
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青年の店員の物言いにソウスケは普通にイラッとし、少し言い返そうとすると店長のお爺ちゃんが速攻で青年に言い返した。
「鑑定系統のスキルもない卵から孵化もしていないヒヨコが生意気言っているんじゃない。この前の自分の勝手な判断で乗客を逃がしおったくせに。この兄ちゃんの強さは相当なもんじゃよ。本気になればお前さんなんぞ一秒であの世行きじゃ」
「へぇっ、そんな事あるわけないだろ。どっからどう見ても駆け出しの冒険者だ、ろ・・・・・・」
ソウスケは店員が言い終わる前にこめかみスレスレにフィギュアを作る時についでに作った、木の針を投げた。
放たれた木の針は店員の髪の毛にかすり、後ろの壁に半分ほどまで突き刺さった。
その様子を店員はぎこちなく首を動かしながら確認した。
「もし、俺が投げたその壁に突き刺さっている木の針がお前の喉に放たれていたら・・・・・・さて、お前はどうなっていただろうな。俺は、お爺ちゃんの言った通りになったと思うぞ」
「・・・・・・」
ソウスケの言葉を聞いた店員は、顔がサ――っと青くなり血の気が引いた。
そして体が小刻みにプルプル震えだした。
「別に、俺は誰かに偉そうに何か言えるほど偉くはないけどこれだけはお前に言えるぞ。人を見た目で判断しない方が身のためだぞ。特に鑑定系のスキルを持っていないなら尚更な。さっ、早く奴隷を見せてくださいよお爺ちゃん」
「うむ、そうじゃな。阿保は置いておいて早く地下に向かうとしよう」
二人は店員から視線を外して、雑談しながら奴隷が生活している地下へと向かった。
ソウスケから警告に似た様な物を受けた店員は、二人が地下に向かい姿が見えなくなってからも暫く動けなかった。
「にしても、さっきの木の針の投擲は見事じゃったの。投擲の訓練でもしておったのか?」
「まぁ、そうですね。お祖父ちゃんからも投擲は物があれば直ぐに行える攻撃だから、訓練する事に越した事はないと言われていたので」
「そうかそうか。良い爺さんを持ったな。お主がその若さである程度の強さを持っている理由が何となく分かったわ」
お爺ちゃんはソウスケの言葉に納得がいき、満足気な顔をしているがソウスケは嘘をついたため、若干だが罪悪感があった。
(架空のお祖父ちゃん中々約に立つな、ただ、答える時にお祖父ちゃんを使うから、その度にちょっとした罪悪感を感じるのがなぁ・・・・・・。まぁ、必要な設定だから仕方がないと言えば仕方がないんだけどな)
ソウスケがちょっとした罪悪感に悩んでいると、お爺ちゃんは思い出したかのようにソウスケに質問をした。
「そういえば聞くのを忘れておったの。金に余裕はあるらしいが、予算はいくらまでじゃ」
「そうですね・・・・・・」
ソウスケはあまり値段を高めに言わない方が良いのかと思ったが、そのせいで有能な奴隷が紹介されないのは勿体ないと思い、ケチるのをやめた。
「金貨百枚くらいなら大丈夫ですよ」
「・・・・・・・・・・・・マジでか」
ソウスケの答えた金額にお爺ちゃんは流石に驚きが隠せず、口を大きく開け中々の間抜け面になっていた。
「マジです」
お爺ちゃんがようやく絞り出した言葉に、ソウスケは至って真面目な顔で答えた。
「・・・・・・お主、無いとは思うがもしかして貴族の子息か?」
「・・・・・・うん、どっかで似た様な質問をされた気がするけど全く違いますよ。その可能性はお爺ちゃんも殆ど無いって分かって、聞きましたよね」
「ああ、そうじゃ。お主には悪いかもしれんが、全くもって貴族特有の匂いがせん。どんなに良い貴族や悪い貴族でも、変わらぬ貴族の匂いという物がな」
お爺ちゃんの言葉にソウスケはそれはそうだろうと思った。
ソウスケ自身も自分にそんな匂い、風格があるとは一切思っていなかった。
(貴族、王族等々が殆ど関係ないところから来たからな。日本にだってそういったのは・・・・・・華族や天皇のごく少数しかなかったしな。家が富豪と言う訳でも無く、ごく一般の家庭だったしな)
ソウスケとしては未だに貴族や王族といった人物には会った事が無いので、お爺ちゃんが言う匂いについては全く分からなかった。
「まぁ、何故そんな大金を持っているのかは聞かん。久しぶりの上客じゃからの」
「はは、そうしてくれるとありがたいかな。っお、この扉の先に奴隷達がいるんですか?」
「そうじゃよ。お主が欲する奴隷は戦闘が出来る奴隷、で良いか?」
「大前提はそうですね」
どんな奴隷がいるのか、ソウスケは不謹慎ながらも少しワクワクしていた。
「鑑定系統のスキルもない卵から孵化もしていないヒヨコが生意気言っているんじゃない。この前の自分の勝手な判断で乗客を逃がしおったくせに。この兄ちゃんの強さは相当なもんじゃよ。本気になればお前さんなんぞ一秒であの世行きじゃ」
「へぇっ、そんな事あるわけないだろ。どっからどう見ても駆け出しの冒険者だ、ろ・・・・・・」
ソウスケは店員が言い終わる前にこめかみスレスレにフィギュアを作る時についでに作った、木の針を投げた。
放たれた木の針は店員の髪の毛にかすり、後ろの壁に半分ほどまで突き刺さった。
その様子を店員はぎこちなく首を動かしながら確認した。
「もし、俺が投げたその壁に突き刺さっている木の針がお前の喉に放たれていたら・・・・・・さて、お前はどうなっていただろうな。俺は、お爺ちゃんの言った通りになったと思うぞ」
「・・・・・・」
ソウスケの言葉を聞いた店員は、顔がサ――っと青くなり血の気が引いた。
そして体が小刻みにプルプル震えだした。
「別に、俺は誰かに偉そうに何か言えるほど偉くはないけどこれだけはお前に言えるぞ。人を見た目で判断しない方が身のためだぞ。特に鑑定系のスキルを持っていないなら尚更な。さっ、早く奴隷を見せてくださいよお爺ちゃん」
「うむ、そうじゃな。阿保は置いておいて早く地下に向かうとしよう」
二人は店員から視線を外して、雑談しながら奴隷が生活している地下へと向かった。
ソウスケから警告に似た様な物を受けた店員は、二人が地下に向かい姿が見えなくなってからも暫く動けなかった。
「にしても、さっきの木の針の投擲は見事じゃったの。投擲の訓練でもしておったのか?」
「まぁ、そうですね。お祖父ちゃんからも投擲は物があれば直ぐに行える攻撃だから、訓練する事に越した事はないと言われていたので」
「そうかそうか。良い爺さんを持ったな。お主がその若さである程度の強さを持っている理由が何となく分かったわ」
お爺ちゃんはソウスケの言葉に納得がいき、満足気な顔をしているがソウスケは嘘をついたため、若干だが罪悪感があった。
(架空のお祖父ちゃん中々約に立つな、ただ、答える時にお祖父ちゃんを使うから、その度にちょっとした罪悪感を感じるのがなぁ・・・・・・。まぁ、必要な設定だから仕方がないと言えば仕方がないんだけどな)
ソウスケがちょっとした罪悪感に悩んでいると、お爺ちゃんは思い出したかのようにソウスケに質問をした。
「そういえば聞くのを忘れておったの。金に余裕はあるらしいが、予算はいくらまでじゃ」
「そうですね・・・・・・」
ソウスケはあまり値段を高めに言わない方が良いのかと思ったが、そのせいで有能な奴隷が紹介されないのは勿体ないと思い、ケチるのをやめた。
「金貨百枚くらいなら大丈夫ですよ」
「・・・・・・・・・・・・マジでか」
ソウスケの答えた金額にお爺ちゃんは流石に驚きが隠せず、口を大きく開け中々の間抜け面になっていた。
「マジです」
お爺ちゃんがようやく絞り出した言葉に、ソウスケは至って真面目な顔で答えた。
「・・・・・・お主、無いとは思うがもしかして貴族の子息か?」
「・・・・・・うん、どっかで似た様な質問をされた気がするけど全く違いますよ。その可能性はお爺ちゃんも殆ど無いって分かって、聞きましたよね」
「ああ、そうじゃ。お主には悪いかもしれんが、全くもって貴族特有の匂いがせん。どんなに良い貴族や悪い貴族でも、変わらぬ貴族の匂いという物がな」
お爺ちゃんの言葉にソウスケはそれはそうだろうと思った。
ソウスケ自身も自分にそんな匂い、風格があるとは一切思っていなかった。
(貴族、王族等々が殆ど関係ないところから来たからな。日本にだってそういったのは・・・・・・華族や天皇のごく少数しかなかったしな。家が富豪と言う訳でも無く、ごく一般の家庭だったしな)
ソウスケとしては未だに貴族や王族といった人物には会った事が無いので、お爺ちゃんが言う匂いについては全く分からなかった。
「まぁ、何故そんな大金を持っているのかは聞かん。久しぶりの上客じゃからの」
「はは、そうしてくれるとありがたいかな。っお、この扉の先に奴隷達がいるんですか?」
「そうじゃよ。お主が欲する奴隷は戦闘が出来る奴隷、で良いか?」
「大前提はそうですね」
どんな奴隷がいるのか、ソウスケは不謹慎ながらも少しワクワクしていた。
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