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百十八話もしかしたら
しおりを挟むコボルトから魔石を取り終え、アイテムボックスにしまったソウスケはコボルトとの戦いで疑問に思った事をミレアナに話した。
「なぁ、ミレアナ。コボルトの上位種の数が少し多くなかったか?」
「・・・・・・そうですね。低ランクのモンスターの上位種が集団でいるのはそこまで珍しい訳じゃないですけど、少し数が多かったですね」
二人が考える通り、コボルトの上位種の集団の個体数は平均と比べ倍近くいた。
倒したコボルトの上位種の死体を改めて数えたソウスケは、少し嫌な予感がした。
それはミレアナも同じようで、眉間に皺を寄せて難しい顔になっていた。
(俺はそこまでモンスターの習性とかに詳しい訳じゃないけど、少し以上だと思うな。ダンジョンの中でコボルトの上位種が多数襲い掛かって来るのなら、そこまで上層じゃない限り異常だとは感じないけど、森の中での襲撃となれば話が別な気がするな)
一先ずソウスケは自分よりモンスターの習性に詳しいであろうミレアナに原因を訊いた。
「コボルトの上位種が集団で行動していた。しかも数は七・・・・・・これはどう見るべきだミレアナ」
「多分ですけど、コボルトジェネラルがいるかもしれません。ランクは確かCだった筈です。力はそこまで無いですが、速さはかなりの物だと思います。ですが私とソウスケが戦っても万が一に負ける事はありません。ただ・・・・・・」
言葉が最後に方になると小さくなり、自分で考えられる最悪の状況を頭の中に浮かべたミレアナの表情は決して良くなかった。
「ただ・・・・・・なんだ?」
「もし原因がコボルトキングが原因なら少し厄介ですね。ランクはBに上がり、速さも大幅に上がり力も無視できないレベルまで上がります。それに何といっても自分に従うモンスターを強化するスキルを持っています。コボルトジェネラルも持っていますが、効果はコボルトキングとは大きく差があります」
「コボルトキングか・・・・・・なぁ、ワイバーンと比べてどっちの方が強い?」
キングと言うからには、かなりの強さを持っているのだろうとソウスケは思い、もしかしたら自分がダンジョンの最下層で戦ったワイバーンより強いのかもしれないとすら考えた。
(戦いずらさで言えばワイバーンの方が飛んでいるから上だとは思うけど、スピードは完全にコボルトキングの方が聞く限り速そうだな。う~~~~ん数にもよるけど、状況によっては本気で戦いわないと足元を掬われる可能性も無くはないだろうな)
ソウスケはアイテムボックスの中に閉まっている剣と、指輪に嵌めている剣。二つの剣で本気で戦うところを想像してみた。結果、コボルトキングは倒せても周囲を滅茶苦茶にしてしまうのではないかと思い、二つの剣を使うのは却下した。
「そうですね・・・・・・どちらかと言えばコボルトキングの方が身体能力、持っているスキルを含めて上の方だと思いますが、ソウスケさんが戦ったワイバーンと比べると同等か少しワイバーンの方が実力は上な気がしますね。・・・・・・どうしますか?」
「どうするとは?」
「ギルドに報告するか私達二人で討伐するかです」
何となく分かってはいたが改めてミレアナからの提案を聞いたソウスケは、あっさりとそれを言ってしまうなと思い、少し頭を悩ませた。
(いや・・・・・・まぁ、確かに二人で出来なくはないが、それを口に出すか普通? ・・・・・・いつかミレアナの天然なうっかり発言で面倒事になるかもしれないな)
ミレアナ自身に悪気はないと思っているため、ソウスケは怒らず注意だけをした。
「ミレアナ。確かに俺達二人でコボルトキングとコボルトキングが率いる集団を倒せるかもしれない。それを俺とお前、二人だけでいる場合に言うのは構わないが他にその場で俺達二人以外に大勢の人がいる場では、あまりそういった事は思っても口に出すなよ」
「そ、そうですね。注意しておきます」
ソウスケが目立つのを嫌っている事を思い出したミレアナは意識して、そういった発言を控えようと思った。
そして昼頃になると二人もお腹が空いてきたためオークの肉を取り出し、近くの木を集めて焼き始めた。
丁度良い匂いがして来たところで、二人の影に鳥の形をした影が現れた。
鳥型の影に気が付いたソウスケは直ぐに上を向いた。
すると、空から鳥型のモンスターが焼いているオークの肉目掛けて猛スピードで降下してきていた。
新作、屑野郎が成り上がるのもありじゃないかもよろしくお願いします
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