転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
133 / 1,259

百三十二話よく分からないけど、とりあえずお金が掛かるんだろうな

しおりを挟む
自分を訪ねて来た執事がどの様な用件で来たのかを理解したソウスケは、特に予定は無いので外に待機してあった馬車に乗ってマーカスの息子が経営している紹介へと向かった。

「私もオセロとチェスという娯楽を体験させて貰いましたが、大変楽しい思いをさせていただきました。私個人としては娯楽の革命ではと思いました」

「そ、そんな大した物じゃないですよ」

目の前の自分より圧倒的に年上の男性に頭を下げられ、敬語を使われる事に未だにソウスケは慣れていなかった。

「まぁ、やりようによって賭け事にもなりますからね。それに上手くいけばオセロやチェスの大会が開けたりするのではとちょっと思っています」

ソウスケは過去に読んだ事がある漫画の中にオセロで金を賭けて戦う漫画を思い出し、それを再現できないかと考えていた。

(名前は・・・・・・なんだっけ? 確かルールに一手一手に時間制限があったような・・・・・・いや、持ち時間だったか? 一手の時間制限なら砂時計でも造ればルールに加えられそうだな)

どうやって砂時計を造ろうかとソウスケが考えていると、執事がテンション上げ気味でそれは良い考えだ、現実味のある話だと言い始めた。

「オセロやチェスが広まれば一、二年後には大会が開けそうですね。それに特別何かに秀でていなければいけないという訳ではありませんからね。誰でも夢を見れる可能性がある大会です」

「・・・・・・確かにそうかもしれませんね。ただ、誰でも参加できるというところが良い点であり、本当に大会を開くとしたら面倒な点ですけどね」

誰でも参加できるという事は、参加人数が圧倒的に多くなるという事。一般人、商人、冒険者、貴族、果ては王族までもが参加できる。勿論そうなれば八百長や買収、脅迫等で一般人や冒険者は天辺を狙える可能性が低くなる。

その辺りはおいおい考えるとして、参加人数の多さをどう捌けば良いのか、ソウスケは日本で生きていた時に知識・・・・・・というより、部活をやっていれば誰でも考え着く内容を思い出した。

(それぞれの街で大会を開き、そこで勝った代表者達が大きな街に集まってトーナメント形式で戦う。それが一番だろうな。でも・・・・・・拳闘、剣闘試合と違って観客が楽しめる内容じゃないから大会を開くのに、そこまで金が動くのかが疑問だな)

内心にで苦笑いしながらソウスケはオセロやチェスの大会を開ける日は遠いだろうな考えた。

「そうですね、大会を開くとなれば大量のお金を動かさなければなりませんからな。しかし・・・・・・本当にソウスケ様は冒険者なのですか? 学び、経験を積めば十分に商人になれるとは思いますが」

「無理ですよ、俺に商人なんて。精々アイデアマンが良いところですね。それに・・・・・・ほら、あれじゃないですか。俺の勝手な見解かもしれないですけど、商人って腹黒くて搦め手が上手くて、口が達者で、上に行けば行くほど権力が大きくて、後ろめたい事を躊躇わない、そんな印象何ですよ。表の顔は良くても裏で何しているか全くわからない。勿論マーカスさんやその息子さん、トーラスさんを悪く言う訳じゃないですよ」

自身が言った通り、マーカスが自ら表に出せないような事を裏でしているとはあまり考えられなかった。
だが、よくニュースで裏で悪事を働いていた、堅気でない人間と関係を持っていた有名人を見ていた為、どうしても商人を完全に信用するという事が出来ず、そんな黒い世界に飛び込みたいとも思わなかった。

「それに・・・・・・俺、あんまり口が達者じゃないんですよ。修羅場になった時に考え方は商人とは結構かけ離れていると思うんですよ。もし、商談相手が脅迫とかして来たら、思わず殺してしまうかもしれないんで」

「・・・・・・なるほど、確かにソウスケさんは商人に向いていない様ですね。いえ、戦闘能力が高い商人というのは面白そうですが、ソウスケさん。もし、自分や自分の周りにいる人に害が及ぶようならば、その根元まで潰す・・・・・・そういった考えをお持ちですよね」

ソウスケは目の前の妙齢に男性に対して畏怖を覚えた。

(・・・・・・俺はこの人を前にして自分の力を見せていない。そして俺が実際に実力が高い方だとしても、雰囲気は全く追いついていない。もしかして俺が一人でダンジョンのラスボスを倒した事が伝わっているのか? だとしても、俺の性格まで分かるのか?)

自分に害をなす人間を殺すかどうかはさておき、元は今後の人生の為に潰しておいた方が良いとは考えていた。

(・・・・・・まずは人を殺す事に慣れないとな。後、暗殺とか俺がやったてばれたら絶対に面倒だから、そこら辺も考えておかないとな)

ソウスケの思考は着々と異世界色に染まっていた。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

【めっさ】天使拾った【可愛ぃなう】

一樹
ファンタジー
酔っ払いが聖女を拾って送迎する話です。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

処理中です...