転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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百四十六話何をしても無駄

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ソウスケは心の底から怒号を発した為、新たなスキルを手に入れていた。
そのスキルの効果により武器を掴もうとしてた盗賊達に体が一瞬硬直した。

身体強化を使い普段よりスピードが上がっているソウスケにとってその一瞬は十分すぎる時間であり、その間に振るわれた蛇腹剣と飛竜の双剣から放たれた斬撃により、盗賊達に甚大な被害を与えていた。

今のソウスケに心臓や脳等の急所を狙って確実に殺すという考えは無く、先ずは攻撃を当てて行動が不能になったところで確実に殺そうと考えている。
なので蛇腹剣に体を抉られ、風の斬撃を喰らったとしても直ぐに死ぬ事は出来ず、激痛に襲われて碌に動けない状態になってしまう。

盗賊達の中に鬼のように暴れ狂うソウスケを見て出口から逃げ出そうとする奴もいるが、それを見逃すほどソウスケは甘くない。

五体も武器として使用出来るソウスケは足から風の刃を放ち、足か胴体を真っ二つにして完全に動けないようにした。

ソウスケが圧倒的な戦力で盗賊達を蹂躙する中、腕に覚えがある盗賊達は傷つきながらも何とか蛇腹剣を掻い潜り、風の刃を回避してソウスケに近づく事が出来者も数名いた。

「いつまでも調子に乗ってんじゃねぇぞ、クソガキ!!!!!」

持っている斧の効果により大きさからは考えられない程軽量の武器を持っている男がソウスケの脳天目掛け、大きく斧を振りかぶって叩き斬ろうとした。

「いつも調子に乗ってんのはお前らだろ」

足に土の魔力を込めてソウスケは地面を踏みつけた。

すると目の前の斧を持った盗賊の真下から土の槍が勢いよく飛び出してきた。

肛門から脳まで貫かれた男はそのまま空中で動かなくなり、持っていた斧を落とした。

他に数名程ソウスケの近くまでたどり着けた者はいたが、誰もソウスケに傷を付けることは出来なかった。
接近戦は完全に無理だと分かった盗賊達は一人の盗賊を守る様に、でもあまり一塊にならずといった感じで戦い方を変えた。

それを見たソウスケは相手が単純に森やダンジョンの中で対峙したモンスターならば少し感心したかもしれないが、今のソウスケにはそういった感情は全くなかった。

「・・・・・・盗賊が多少頭使ったところで何も変わらないんだよ」

ほんの一瞬だけ飛竜の双剣を空中で手放したソウスケは、手のひらから圧縮した水の魔力を詠唱中の魔法使いの額に向けて放った。

ワイバーンにもダメージを負わせた攻撃をただの盗賊が耐え切れる事は無く、魔法使いを守る様に前に立っていた盗賊と一緒に額を貫いた。

余りの速さに盗賊達はソウスケの攻撃を認識する事が出来ず、何が起こったのか・・・・・・何故自分の仲間達が倒れたのか分からなかった。

「何ボーっとしてるんだよ」

相手が完全に硬直しているからといって手を緩めるようなことわせず、寧ろ数が少なくなってきた事でゴールが見えてきたソウスケの速さは加速した。

抉り、切断して、串刺しに、駒切にして一分と経たずに盗賊の数は後一人となった。

最後の最後まで生き残った盗賊はソウスケの戦いぶりを見て失禁しており、歯に手も足も震えていた。

自分にゆっくり一歩ずつ近づいて来るソウスケが盗賊にとっては、大きな鎌も持った死神に見えた。

最後の一人を残して盗賊達は死んだため、静かな盗賊のアジト内に響くソウスケの足音が盗賊の心臓の音を速めた。

「な、なんなんだよ。なんなんだよお前は!!! いきなり俺らのアジトで暴れまわりやがって!! 何が目的なんだよお前は!!!」

盗賊は自分の命がもう少しすれば無くなると分かっていても、いきなり自分達のアジトに乗り込んで暴れまわった目の前の少年にその理由を聞かずにはいられなかった。

そんな盗賊の心からの叫びにソウスケは何故そんな事を思うのか全く理解出来なかった。

「お前らが盗賊で、俺が冒険者だからだ。後・・・・・・自分達が今までやって来た事を考えて、老衰で人生の最後を迎えられるとでも思ってんの?」

ソウスケのは既に盗賊の半径五メートルまで近づいていた。

「そんな訳無いだろ。言っておくけど、その道しかなかったって言うのは理由にならないから」

ライト文芸にきっかけは一対一の勝負からを書き始めました。
興味があったら読んでみてください
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