転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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百五十六話探せど見つからず

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翌日、二人は朝食を食べ終えると直ぐに街から出てコボルトの巣を探し始めた。

なるべくモンスターに遭遇しない様に森の中で探索を続けるが、全く出会わないという事はなく度々モンスターと遭遇してしまう。

しかし無駄な体力と魔力を消費したくない二人は盗賊のアジトで手に入れた使い捨ての武器を使って急所に投げつけ、モンスターが声を出す前に仕留める。

お陰で無駄な乱戦を行う事は無かったが、森と言ってもかなりの広さなので二時間程二人が探し回ってもコボルトの巣はまだ見つかっていなかった。

「一旦休憩しよう。探索に体力を使いずぎて戦いの最中にバテましたとか話にならないからな」

「分かりました、あそこに丁度良い切り株があるのであそこで休憩しましょう」

ミレアナが見つけた切り株に腰を下ろすとソウスケは大きく溜息をついた。

「中々見つからないな。結構動き回って調べた筈なんだけどな・・・・・・気配感知には巣と言える程の数が多い反応は無かったよな」

「はい、確かに巣と言える程の数は見つかりませんでした」

日が暮れるまでにまだ時間はあるが、余りのんびりはしていられない。

ソウスケは人差し指で切り株を叩きながら無い物ねだりをしていた。

(マッピングと測量って名前のスキルがあればこうも森の中をぐるぐると探し回らずに済むのにな)

探索する中で簡易な地図を作る事が出来れば、少なくとも同じ場所を通らなくて済む。
二人は奥へ奥へと進んではいるが、右に左にとずれて動いているので数回ほど同じ道を通って時間を無駄にしてしまっている。

(というか・・・・・・今回の件抜きでそういったスキルがあるんだったら是非欲しいな。ダンジョンの宝箱に期待するしかなさそうだな)

コボルトの巣が中々見つからない為、本来ならば意気消沈する場面なのだが約一週間後に楽しみが増えたソウスケの表情はニヤケ面になっていた。

「・・・・・・どこか思い当たる場所でもありましたか?」

「いや、すまん。全く別の事を考えていた。ただ・・・・・・少し可能性が有りそうな場所は思い付いた」

「本当ですか!!??」

立ち上がりながら驚くミレアナにソウスケは両手を前に出して落ち着けと言いながら、座る様に促した。

「可能性が有りそうなってだけで、確証はないんだから落ち着け。まず・・・・・・というか単純に森の中だと少し前に発見した盗賊のアジトの様に都合が良い隠れ場所ってのはあまりな筈だ。コボルト達も人型のモンスターなんだから拠点とする場所は大きく開けていて尚且つ隠れる事が出来る場所・・・・・・だと俺は思うんだよ」

モンスターの習性等に詳しくは無いので自信なさげなソウスケだが、考えは間違ってはいなかった。

「昔村だった場所とかがあるなら話は別かもしれないけど、おそらくそんな場所はない。だから人型のモンスターが巣として選びそうな場所は・・・・・・あそこだ」

ソウスケが指をさした場所は森の奥だった。

「・・・・・・えっと、更に森の奥へ行くぞって事ですか?」

「いや、確かにそれで間違っていないかもしれないけどそうじゃ無い。上を指せばいいのか?」

指先にある場所は鉱山だった。
しかし目測からでも現在地点からそこそこ遠い事が分かる。

「・・・・・・なるほど。確かに鉱山なら大所帯で場所によれば隠れそうなところがあるかもしれませんね」

「だろ。まぁ・・・・・・全力で走れば三十分以内には着きそうだな。着いたらもう一度休憩して探索を続けるぞ」

「了解しました。日が暮れないうちに見つけちゃいましょう!!!」

少し休んだ事で体力が回復したミレアナの元気な姿を見て、ソウスケも釣られて笑みを浮かべた。

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