転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
220 / 1,259

二百十九話無理無理

しおりを挟む
「店の人があんまりザハークに対してビビんなくて良かったな」

「従魔が泊まれる宿ですからね。ザハークより高ランクのモンスターを今まで見て来たので、ホブ・ゴブリンぐらいではあまりビビる事はないんじゃないでしょうか。それにザハークが言葉を喋るところをみれば他の客に迷惑は掛けないという信用が少しは変えたと思いますよ」

「それや人の言葉を喋るモンスターなんてそういないだろうからな。ところでさ、ザハークって最終的にはどんなモンスターに進化すると思う」

ゴブリンからホブ・ゴブリンに進化したザハーク。順当に進化していけば最終的にたどり着くのは全てのゴブリンを統べる、ゴブリンロード。
しかしソウスケはそのまま進化していくとは思えなかった。

(やっぱゴブリンにしては体ががっしりしてるしなぁ。まっ、それは俺が毎日三食飯を与えてるからかもしれないけど。それに普通のホブ・ゴブリンじゃなくて希少種だ。一般的な進化のルートを辿るとも限らない)

ただしソウスケにはゴブリン以外の進化ルートが思い付かない。

「もしかするとオーガに進化するかもしれませんね」

「オーガ? なんでだ? そっち方面に進化したら確かに色々と嬉しいけど、その可能性はあるのか?」

「ゴブリンは別名小鬼と呼ばれています。そしてオーガの別名は大鬼。鬼という種類は一緒です。なのでもしかすれば途中でオーガに進化するという分岐点があるかもしれません」

「小鬼と大鬼か・・・・・・言われてみれば納得できなくわないな」

ザハークがこれからゴブリンとして進化し続けてもソウスケは捨てる気は一切ないが、それでも色々と面倒事は避けられないと直感的に感じている。
なのでオーガに進化すればその面倒事が多少は減るかもしれないと思わなくも無かった。

「ただ・・・・・・そうなると色々と装備とかを新調した方が良さそうだな」

「そうですね。今はまだ体格が小さいので今ある物で代用できていますが、体格がオーガ並みになれば基本的に人が扱う服や武器は小さいですからね」

「せっかく知能向上ってスキルが有るんだから、攻撃パターンを肉弾戦だけにするには勿体無いからな」

上手くいけば自分と同じオールラウンダーになるだろうと思ったソウスケは思わずニヤケてしまう。

(ザハークがそこまで強くなれば俺達二人と一体で大抵の敵は倒せそうだな。けどそこまで強くなればそれはそれでザハークを狙う阿保が現れても可笑しくないないな)

未だ横暴で自分勝手な権力者に合った事が無いソウスケは、無理やり強引な手段でミレアナやザハークを奪いに来るのではという不安があった。

(俺の力があればそうそう負ける事は無い筈だ。ただ権力者相手に無理やり潰したら・・・・・・張本人を殺せば結果オーライなのか? ただそういった件でギルドに迷惑を掛けるのはちょっとな・・・・・・)

「難しそうな顔をしていますが、何を悩んでいるのですか?」

「あぁ・・・・・・あれだ、大きな力をもった権力者にミレアナやザハークを狙われたどう対処しようかと思ってな」

「? 私達の実力があれば力尽くで返り討ちにできると思いますが」

ミレアナの考えている対処はソウスケにとって思いの外脳筋的な方法だった。

「いや、確かにそれが一番無駄な考えが要らなくて手っ取り早い方法なんだが、運が悪ければ俺達がお尋ね者になるかもしれないだろ。流石に国と対峙して勝てるとは俺も思っていないし」

「そう考えると力尽くで解決するのはあまりよろしくない様ですね。・・・・・・それなら、暗殺が一番効果的なのではないでしょうか」

暗殺、その言葉を聞いてソウスケは名案だとは思ったが、自身がそれを出来ると思えなかった。

(最初の頃は気配を消して一撃でって感じで倒してたけど、別に厳重な警備を掻い潜ったりはしてないからな)
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

処理中です...