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二百三十四話相乗効果
しおりを挟む「ふぅーー。こいつ結構強かったな」
「グリーンタイガーは足音を消すのが上手いモンスターですからね」
「それに短時間だけだがカメレオンみたいに姿を消す。足音も消す技術も相まって攻撃が躱しずらかった」
ソウスケ達は二十三階層でランクDのグリーンタイガーを解体している。
ボスに挑むまでのある程度の期間を決めてから行動は初めて三週間、大半の時間はモンスターの素材や魔石集めに専念していたため、レベルがそう簡単に上がらなくなっているソウスケとミレアナがお互いに二程上がり、レベルがそもそも低かったザハークに関しては十以上上がっていた。
「ソウスケサン、コイツハジャバラケン二タベサセナイノデスカ?」
「あぁ・・・・・・正直姿を短時間消すスキルは欲しいが、こいつの素材や魔石はまだ持っていなかったからな。次こいつを見つけたらその時に食べさせるよ」
蛇腹剣には既にソウスケ自身だけでは扱えないスキルが多数あり、主に人が覚える事が出来ないスキルが多数存在する。
ただ、中にはソウスケ自身が習得しているスキルも存在する。
それらのスキルは蛇腹剣が喰らっても意味が無いのではとソウスケは思っていた。
しかしある考えを思い付いたソウスケは適当なモンスター相手実験をする。
ソウスケが既に持っている身体強化のスキルと、蛇腹剣がモンスターを喰らって得た身体強化スキルの同時発動。
同じスキルならば発動しても結果は変わらないのではと半分思っていたソウスケだが、結果は良い意味で裏切られた。
本来の力なら流石に素手での一撃では倒せない相手。身体強化を使っても数撃は必要。
にも拘わらず、ソウスケは一撃で倒してしまった。
(あれには驚いたな。あれ以来自身のスキルと蛇腹剣が持つスキルの重複発動は試していないけど、魔法の方も威力やスピードが上がったりするのか? だとしたらこいつ本当に有能過ぎるな)
チラッとソウスケは指輪状に形を変えている蛇腹剣に目を向ける。
「あんまり頼るのは良くないと思うが、必要な時は遠慮なく使わせて貰うぞ」
「どうかしましたか?」
「いいや、何でも無い。グリーンタイガーの解体も終わった事だし、もう少し探索を進めよう」
ミレアナとザハークが同意し、次の層へと向かおうとしたところで一つの雄叫びが聞こえた、
「グアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
ソウスケ達は一斉に雄叫びの聞こえた方へ振り向いた。
「距離は・・・・・・そう遠くは無いか?」
「どうでしょうか。今の雄叫び声量からして少し距離があるかと」
「イマノコエハタブンオーガノモノダトオモイマス」
ソウスケもザハークの意見に今までの経験から同意であった。
ただし普通のオーガかどうかは解らなかった。
(おそらくだが、通常のオーガでは無い気がする。・・・・・・それはそれで美味しいし、一先ず近くまで行ってみよう)
交戦しているのが冒険者のパーティーであり、尚且つ優勢の状況ならば手は出さない。
ただそうでない場合は手を出す。そう決めたソウスケはミレアナとザハークに声をかけ、直ぐにオーガの雄叫びが聞こえた方向へと向かった。
「・・・・・・えっと、ジャングル系のダンジョンだからああいったモンスターが多いのか?」
「だと思います。ダンジョンの中にいるモンスターはダンジョンの影響を受けやすいですからね」
「なるほど。グリーンタイガーの次はフォレストオーガか」
通常のオーガと比べて肌は緑、体格も一回り大きい。
そしてところどころ部位の形が違う。
そんな通常のオーガと比べて強さも頭一つ大きく見えるフォレストオーガに対し、相対するパーティーも負けてはいなかった。
パーティー人数は三人だけだが、それでもフォレストオーガに善戦している。
「・・・・・・ジブンタチノタスケハヒツヨウナイカモシレマセンネ」
ザハークの言葉通りかもしれない。自分達はこの場から離れて探索を進める方が時間の有効活用かもしれない。
ただ何が起こるか解らないのがダンジョンな為、ソウスケはその場から直ぐには離れず、少し様子を見る事にした。
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