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二百六十八話一撃では・・・・・・

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「ザハークがグラップラーフォレストコングの相手をするなら俺は普通のフォレストコングを相手にするか」

相手が自分より巨体であり接近戦が得意そうなゴリラモンスターを相手に気合いを入れて臨戦態勢にはいる。

「それでは私はあの手と足が長いフォレストモンキーの上位種? を相手にしましょう」

直ぐに弓に矢を装填して何時でも矢が放てる体制を取る。

「ふぅーーーー・・・・・・ハッ!!!!!」

気合い一喝。

ザハークの闘志が一気に高まるのを感じたグラップラーフォレストコングは余裕の表情を消し、構えを取る。

先に仕掛けたのは・・・・・・少々テンションが高まっていたソウスケだった。
フォレストコングの数は五体。

数の差だけで言えばソウスケの方が圧倒的に不利。
しかしそんな事を関係ないとばかり自身が持つ強化系のスキルをすべて使う。
そしてフォレストコングが目で追う事は出来ても、体が追いつかないスピードで地面を駆けて先手を取る。

「シャッ!!!」

一手目は上段の右回し蹴り。

並みの冒険者やモンスターならば頭を切り取られる、もしくは弾け飛ぶ蹴りをフォレストコングはギリギリ左腕を上げてガードに成功した。
だがソウスケの蹴りはただガードしただけで勢いが衰える事は無くそのままフォレストコングの体を回転させて吹き飛ばした。

蹴り飛ばされたフォレストコングはもう一体の同族にぶつかり、そのまま二体とも吹っ飛んだ。

「チッ、壊しきれなかったか」

骨を砕いた感触はあった。しかしそれで腕が使えなくなるのかと言えばそうでもない。
襲い掛かる剛腕を躱しながらソウスケは蹴り飛ばしたフォレストコングの様子を盗み見る。

(・・・・・・痛覚耐性みたいなスキルを持っているのか? それとも今までの戦いから骨が折れたくらいの痛みでは戦闘不能にならないのか・・・・・・どっちも可能性としてはあるか)

生半可な攻撃は効かないと分り、ソウスケは更にギアを上げてカウンターで右ストレートをフォレストコングの腹にぶち込む。

「ゴアアアアアァァァアアアアアアア!!!!!!」

ソウスケの両サイドを取った二体のフォレストコングが両腕を振り上げ、四つの鉄槌を振り下ろす。

「それは喰らいたくない!」

貰っては無傷では済まないと即座に判断してバク転で躱す。
動きが止まった一瞬を突いてフォレストコングの横っ腹に炎を纏った前蹴りを放つ。
焼けるような痛みに刺す様な激痛がフォレストコングを襲う。

流石のフォレストコングもその一撃を喰らった吹っ飛び、悲鳴を上げながら地面を転がる。

「・・・・・・重傷だろうけどあれで死なないのかよ」

もしかしたら体に穴を空ける事は出来るのではとソウスケは思っていた。
しかし前蹴りは確かにフォレストコングの皮膚を焼いて貫き、内部まで抉った。
もしかしたらこのままいけば戦闘不能に至るかもしれない。ただし即死状態にはならなかず痛みに悶えて転がっている。

「ゴアアア!!!」

「オッ、ラアアア!!!」

真正面から連撃を放ってきたフォレストコングにソウスケはタイミングを合わせて全て拳を合わせて打ち合う。
拳の面積はフォレストコングの方が広いが、蛇腹剣で喰らったスキルの内の一つである竜鱗を使ったソウスケの拳には分が悪く、指が所々赤くなっていく。

しかしその殴り合いに水を差さない、そんな精神はモンスターには無い。

隙だらけである背後とサイドを狙って一撃をぶちかまそうとする。
だがそれを読んでいたソウスケは目は一切目の前のフォレストコングから目を逸らさずに水魔法、ウォーターブラストを発動させて木々にぶつかるまで吹き飛ばした。

吹き飛ばされたフォレストコングに外傷はないものの、圧縮されてから放たれた水の激流砲を喰らって無傷では済まず、胸骨がボロボロになっており内臓が損傷している個体もいた。

祖助との打ち合いで拳の骨に徐々に罅が入っていき、速度が落ちたタイミングを見計らって向かって来る拳を左手で掴む。
そして右手で腕を掴み、力任せに背負い投げを決めた。
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