321 / 1,259
三百二十話 客は見抜く
しおりを挟む
「・・・・・・なんか、ザ・馬子にも衣裳って感じだな」
ソウスケは礼服に着替え終え、鏡の前で今の自分を見てそう思えた。
髪型は変わっていないが、それでも服装が何時もの冒険者スタイルでは無いので、それだけで雰囲気がガラッと変わる。
そしてソウスケは本来ならビシッと決める礼服を着付けの従業員に崩してくれと頼んだので、少し不良スタイルとなっている。
「ザハークは中々似合っているな」
「ソウスケさんも中々似合いっているぞ。その格好なら貴族だと言い張っても通用するんじゃないのか?」
「そんな事は無い。服装は変わっても顔の幼さが消える訳じゃ無いからな」
(ザハークは・・・・・・ぶっちゃけ後サングラスを装備すればザ・ヤクザかマフィアになるよな)
ソウスケから見た今のザハークの格好は確かにカッコよく見えるが、見る者によっては厳つさと威圧感により逃げ出してしまうかもしれない。
「おう、ソウスケもザハークも中々似合ってるじゃねぇーーか」
「早速着崩してるんだな。やっぱあんま俺らにはビシッとこういった服を着ても苦しく感じるだけだからな」
ジーラスとバルスも既に礼服に着替えており、二人もソウスケとザハークと同様に着崩しているため、ガラの悪い連中だと思う者がいる見た目となっている。
だがソウスケは二人の見た目がワイルド系なので、変にビシッと決めているよりは着崩している方が似合っていると感じた。
「お二人も似合っていますよ」
「ああ。そういった服装もまた味があると感じた」
「そうか、そいつは嬉しいぜ。まっ、褒め合いはここらで終わらせてゲームを楽しもうぜ」
着替え室から離れ、大勢の客が楽しみ、ある者は人生を賭けて勝負に挑んでいる場所に到着。
「ここが、基本的に冒険者から貴族まで立場関係無く賭けという娯楽を楽しむ、一種のステージだな」
「一般市民が遊べるカジノもあるんだが、ここはこの街で一番大手の店だから一般市民は殆ど来れないんだよ」
バルスの質問にソウスケは何となくだが理解する。
(ここのいる客の身に付けている物やギャンブルに使っているチップの量? 正確な事は解らないけど、それらを考えると一般市民の給料でこんなところに来てやらかしたら一発でアウトだろうな)
戦う前から負ければ崖に落ちそうな状況によっぽどの馬鹿か失う物が無ければ人は挑もうとしない。
「ブラックジャックかルーレットにポーカー、ダイスとたくさんのゲームがあるぜ。まっ、一番熱気があるのは剣闘だけどな」
「冒険者同士が戦うんですか?」
「冒険者が稼ぎとして参加する事もあるが、大抵の場合はカジノが専属として雇っている者達が戦うんだよ。まっ、本当に稀にだが騎士が戦ってることもある」
「えっと・・・・・・それは中々にヤバいのでは?」
「俺も中々にヤバいと思う。もし負ければ自分の名誉だけでは無く、仕えている貴族の名に泥を塗る事になるんだからな」
ソウスケの思った通り、騎士が剣闘に参加するのはかなりハイリスクだった。
しかしカジノが側も貴族と関係を悪化させたくないため、対戦相手の者に手加減するように言うのではと思ったが、バルスがそれを否定する。
「カジノには基本的に固定客がいるから剣闘に夢中な人達は大体だが鑑定系のスキルを持っていなくても選手の強さが解るんだよ。つまり騎士相手に八百長の様な真似をすれば、カジノ側だけでなく貴族側にも不利益を与える事になるんだよ」
「あぁ、なるほど。確かに両方にとって良い結果は無い訳ですね」
「ただし、挑んで来た騎士と同等の力を持っている選手を相手として選ぶ。客たちも八百長の試合が見たい訳では無いが、一方的な戦いを見たい訳でもないからな」
「それもそうですね。とりあえずルーレットをやってみたいと思います」
遊ぶゲームを決めたソウスケは金をチップに変え、いざ大人の楽しみに挑戦する。
ソウスケは礼服に着替え終え、鏡の前で今の自分を見てそう思えた。
髪型は変わっていないが、それでも服装が何時もの冒険者スタイルでは無いので、それだけで雰囲気がガラッと変わる。
そしてソウスケは本来ならビシッと決める礼服を着付けの従業員に崩してくれと頼んだので、少し不良スタイルとなっている。
「ザハークは中々似合っているな」
「ソウスケさんも中々似合いっているぞ。その格好なら貴族だと言い張っても通用するんじゃないのか?」
「そんな事は無い。服装は変わっても顔の幼さが消える訳じゃ無いからな」
(ザハークは・・・・・・ぶっちゃけ後サングラスを装備すればザ・ヤクザかマフィアになるよな)
ソウスケから見た今のザハークの格好は確かにカッコよく見えるが、見る者によっては厳つさと威圧感により逃げ出してしまうかもしれない。
「おう、ソウスケもザハークも中々似合ってるじゃねぇーーか」
「早速着崩してるんだな。やっぱあんま俺らにはビシッとこういった服を着ても苦しく感じるだけだからな」
ジーラスとバルスも既に礼服に着替えており、二人もソウスケとザハークと同様に着崩しているため、ガラの悪い連中だと思う者がいる見た目となっている。
だがソウスケは二人の見た目がワイルド系なので、変にビシッと決めているよりは着崩している方が似合っていると感じた。
「お二人も似合っていますよ」
「ああ。そういった服装もまた味があると感じた」
「そうか、そいつは嬉しいぜ。まっ、褒め合いはここらで終わらせてゲームを楽しもうぜ」
着替え室から離れ、大勢の客が楽しみ、ある者は人生を賭けて勝負に挑んでいる場所に到着。
「ここが、基本的に冒険者から貴族まで立場関係無く賭けという娯楽を楽しむ、一種のステージだな」
「一般市民が遊べるカジノもあるんだが、ここはこの街で一番大手の店だから一般市民は殆ど来れないんだよ」
バルスの質問にソウスケは何となくだが理解する。
(ここのいる客の身に付けている物やギャンブルに使っているチップの量? 正確な事は解らないけど、それらを考えると一般市民の給料でこんなところに来てやらかしたら一発でアウトだろうな)
戦う前から負ければ崖に落ちそうな状況によっぽどの馬鹿か失う物が無ければ人は挑もうとしない。
「ブラックジャックかルーレットにポーカー、ダイスとたくさんのゲームがあるぜ。まっ、一番熱気があるのは剣闘だけどな」
「冒険者同士が戦うんですか?」
「冒険者が稼ぎとして参加する事もあるが、大抵の場合はカジノが専属として雇っている者達が戦うんだよ。まっ、本当に稀にだが騎士が戦ってることもある」
「えっと・・・・・・それは中々にヤバいのでは?」
「俺も中々にヤバいと思う。もし負ければ自分の名誉だけでは無く、仕えている貴族の名に泥を塗る事になるんだからな」
ソウスケの思った通り、騎士が剣闘に参加するのはかなりハイリスクだった。
しかしカジノが側も貴族と関係を悪化させたくないため、対戦相手の者に手加減するように言うのではと思ったが、バルスがそれを否定する。
「カジノには基本的に固定客がいるから剣闘に夢中な人達は大体だが鑑定系のスキルを持っていなくても選手の強さが解るんだよ。つまり騎士相手に八百長の様な真似をすれば、カジノ側だけでなく貴族側にも不利益を与える事になるんだよ」
「あぁ、なるほど。確かに両方にとって良い結果は無い訳ですね」
「ただし、挑んで来た騎士と同等の力を持っている選手を相手として選ぶ。客たちも八百長の試合が見たい訳では無いが、一方的な戦いを見たい訳でもないからな」
「それもそうですね。とりあえずルーレットをやってみたいと思います」
遊ぶゲームを決めたソウスケは金をチップに変え、いざ大人の楽しみに挑戦する。
122
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる