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三百二十八話 そりゃ傑作ww!!
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「カジノって料理店まで中にあるんですね」
「そりゃカジノに熱中し過ぎてたら腹が減って来るのは当然だからな。気軽に飲める簡易的なバーも多いが、こういったしっかりとした料理店も幾つかある。しかもここのカジノレベルにもなれば出てくる料理は全て上等なものだ」
カジノ内で料理を食べ始めたソウスケ達の机には幾つもの皿が乗っかっている。
ソウスケやジーラスにバルスもそこそこの量を食べたが、皿が何枚も乗っている原因はザハークだった。
「そんなに食べる程美味かったか?」
「ああ。中々に美味な味だった。ただ不満があるとすれば一皿一皿の量が少ないということぐらいだ」
「こういう店は大体料理が一般的な料理店と比べて少ないからな。本当に味を楽しむ為の店って事だ」
一皿銀貨数枚が当たり前の店で、ザハークは軽く二十皿ほど食べていた。
周囲の客たちがどんどん料理を平らげていくザハークに注目していた。
だがその中でザハークを汚い様な目で見る者はいない。
その理由はザハークが従魔であるのにも関わらず、食べ方がとても綺麗だったから。
「ザハークはこういった店での食べ方はどこで習ったんだ?」
「事前にソウスケさんから教えて貰っていた。一度それを習えば後は実戦に移すだけだ。そこまで難しい事では無い」
ザハークは持ち前の学習能力の高さを活かし、テーブルマナー等は既に学習済み。
しかしテーブルの上に重ねられている皿の量がそれを台無しにしている感は否めない。
「ソウスケもこういった事に慣れてるんだな」
「そうですか? 自分としては見様見真似でやってるだけなんですけど」
ソウスケも過去にこういった店で料理を食べた事は無いが、姿勢を正しくしてなるべく音を立てずに食べればそれっぽくなるかと思い、それをザハークに伝えて実践している。
「それが凄いって言ってるんだ。冒険者は基本的にそういった事に関して雑な奴が多いからな。それにギルドの講習にもそういった内容は無いから自力で覚えるしかないんだよ」
「結構なお偉いさんと食事をするって事は高ランクになればそこまで珍しくないからな。俺達が冒険者だと解っているからそこまで気にする人は多くない。でも冒険者をただ自分達の言う事を訊く者だと思っている様な奴らだと、結果的に面倒な結末を迎えるのも事実だ」
そもそも冒険者を見下す様な者は一緒に食事を取ろうなどと考える者は殆どいないのだが、その場のノリや成り行きで一緒に食事をする事はある。
そこで冒険者のテーブルマナーに口を出して口論になり、冒険者ギルドにクレームが来た件は過去に何度かある。
「やっぱり面倒なんですね。権力を持っている者は」
「はっはっは、確かにそうだな。ただ親が持つ権力を自身の権力だと勘違いしている奴ほどそういった傾向にある」
「ジーラスは、そういった子供に絡まれた事があるのか? 表情から実体験を得た事があるように感じたが」
「俺達がある程度有名になって来た時頃に絡んで来た貴族のガキ共がいたんだよ」
ジーラスはその過去が面白かったのか、ニヤニヤとしながら語り始める。
「ガキ共の数は三人だったか。ただ、絡んで来たのは実質一人だけだ。確か侯爵家の子息だって言ってたな。俺らとは初対面だったのにも関わらずいきなり俺達の護衛をさせてやるって言いだしたんだよ」
「させてやる、ですか。普通はしてくださいと言うものだと思うんですけど」
「そいつは普通じゃなかった事だ。後ろに付いていた二人は俺達にそんな態度を取っては駄目なんじゃないかと思っていたのか、ビクビクオドオドしていたからな」
「それが一般的な態度だろぅ」
ザハークから見てジーラスとバルスは強面の部類に入る。ザハーク自身も同じ部類だと解っているが、二人も負けず劣らず強面だと思っている。
「俺達は顔を見合わせて基本的には相手にしないんだが、一応身なりが貴族だったからいきなり突っ撥ねんのも良くないと思ってな。まずは報酬は幾らなんだって聞いたんだよ」
「その後が傑作だったぜ。自分達を護衛できることが報酬だってドヤ顔で言うんだぜ!! 王族とかを護衛出来たとかなら確かに自身の武勇伝として誇れるかもしれねぇーーーけど、侯爵家のガキがそんな頭のネジが外れた事を言うもんだから俺達は全員その場で笑っちまってよ。俺達だけじゃなく、その場にいた冒険者全員か」
「は、ははは。そりゃ自分のその場に居たら笑ってしまいますね」
「だろ! そこでそのガキが色々と怒鳴りながら文句を言ってくるんだが、全部の当主である親の権力を借りたセリフでな。そんで俺達が正論を返すと顔を真っ赤にして親に言いつけてるみたいなセリフを残してギルドから出て行ったんだよ」
「結局後日、その侯爵家の執事さんと当主様が迷惑料を持って頭を下げに来たけどな。その隣ではそのガキがボコボコになってプルプルと震えていた筈だ」
「なるほど、確かに傑作ですね」
ソウスケはフォルス達とは大違いだなと思いながら、心の中で大爆笑していた。
「そりゃカジノに熱中し過ぎてたら腹が減って来るのは当然だからな。気軽に飲める簡易的なバーも多いが、こういったしっかりとした料理店も幾つかある。しかもここのカジノレベルにもなれば出てくる料理は全て上等なものだ」
カジノ内で料理を食べ始めたソウスケ達の机には幾つもの皿が乗っかっている。
ソウスケやジーラスにバルスもそこそこの量を食べたが、皿が何枚も乗っている原因はザハークだった。
「そんなに食べる程美味かったか?」
「ああ。中々に美味な味だった。ただ不満があるとすれば一皿一皿の量が少ないということぐらいだ」
「こういう店は大体料理が一般的な料理店と比べて少ないからな。本当に味を楽しむ為の店って事だ」
一皿銀貨数枚が当たり前の店で、ザハークは軽く二十皿ほど食べていた。
周囲の客たちがどんどん料理を平らげていくザハークに注目していた。
だがその中でザハークを汚い様な目で見る者はいない。
その理由はザハークが従魔であるのにも関わらず、食べ方がとても綺麗だったから。
「ザハークはこういった店での食べ方はどこで習ったんだ?」
「事前にソウスケさんから教えて貰っていた。一度それを習えば後は実戦に移すだけだ。そこまで難しい事では無い」
ザハークは持ち前の学習能力の高さを活かし、テーブルマナー等は既に学習済み。
しかしテーブルの上に重ねられている皿の量がそれを台無しにしている感は否めない。
「ソウスケもこういった事に慣れてるんだな」
「そうですか? 自分としては見様見真似でやってるだけなんですけど」
ソウスケも過去にこういった店で料理を食べた事は無いが、姿勢を正しくしてなるべく音を立てずに食べればそれっぽくなるかと思い、それをザハークに伝えて実践している。
「それが凄いって言ってるんだ。冒険者は基本的にそういった事に関して雑な奴が多いからな。それにギルドの講習にもそういった内容は無いから自力で覚えるしかないんだよ」
「結構なお偉いさんと食事をするって事は高ランクになればそこまで珍しくないからな。俺達が冒険者だと解っているからそこまで気にする人は多くない。でも冒険者をただ自分達の言う事を訊く者だと思っている様な奴らだと、結果的に面倒な結末を迎えるのも事実だ」
そもそも冒険者を見下す様な者は一緒に食事を取ろうなどと考える者は殆どいないのだが、その場のノリや成り行きで一緒に食事をする事はある。
そこで冒険者のテーブルマナーに口を出して口論になり、冒険者ギルドにクレームが来た件は過去に何度かある。
「やっぱり面倒なんですね。権力を持っている者は」
「はっはっは、確かにそうだな。ただ親が持つ権力を自身の権力だと勘違いしている奴ほどそういった傾向にある」
「ジーラスは、そういった子供に絡まれた事があるのか? 表情から実体験を得た事があるように感じたが」
「俺達がある程度有名になって来た時頃に絡んで来た貴族のガキ共がいたんだよ」
ジーラスはその過去が面白かったのか、ニヤニヤとしながら語り始める。
「ガキ共の数は三人だったか。ただ、絡んで来たのは実質一人だけだ。確か侯爵家の子息だって言ってたな。俺らとは初対面だったのにも関わらずいきなり俺達の護衛をさせてやるって言いだしたんだよ」
「させてやる、ですか。普通はしてくださいと言うものだと思うんですけど」
「そいつは普通じゃなかった事だ。後ろに付いていた二人は俺達にそんな態度を取っては駄目なんじゃないかと思っていたのか、ビクビクオドオドしていたからな」
「それが一般的な態度だろぅ」
ザハークから見てジーラスとバルスは強面の部類に入る。ザハーク自身も同じ部類だと解っているが、二人も負けず劣らず強面だと思っている。
「俺達は顔を見合わせて基本的には相手にしないんだが、一応身なりが貴族だったからいきなり突っ撥ねんのも良くないと思ってな。まずは報酬は幾らなんだって聞いたんだよ」
「その後が傑作だったぜ。自分達を護衛できることが報酬だってドヤ顔で言うんだぜ!! 王族とかを護衛出来たとかなら確かに自身の武勇伝として誇れるかもしれねぇーーーけど、侯爵家のガキがそんな頭のネジが外れた事を言うもんだから俺達は全員その場で笑っちまってよ。俺達だけじゃなく、その場にいた冒険者全員か」
「は、ははは。そりゃ自分のその場に居たら笑ってしまいますね」
「だろ! そこでそのガキが色々と怒鳴りながら文句を言ってくるんだが、全部の当主である親の権力を借りたセリフでな。そんで俺達が正論を返すと顔を真っ赤にして親に言いつけてるみたいなセリフを残してギルドから出て行ったんだよ」
「結局後日、その侯爵家の執事さんと当主様が迷惑料を持って頭を下げに来たけどな。その隣ではそのガキがボコボコになってプルプルと震えていた筈だ」
「なるほど、確かに傑作ですね」
ソウスケはフォルス達とは大違いだなと思いながら、心の中で大爆笑していた。
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