転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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四百十四話 一人でのんびり森を散策

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「一人でのんびりと森を散策するのも悪く無いな」

気分的に一人で行動したかったソウスケはミレアナとザハークとは別行動で森の中を気の抜けた表情で散策している。

ただ、街の外で行動しているので当然、モンスターがソウスケに襲い掛かる。
敵を酸で溶かすスライム。
頭は悪いが学習する醜い鬼、ゴブリン。
敵を締めつけて骨を砕き、破壊するバインドスネーク。
その角……刃で敵を斬り裂くソードラビット。

スライムとゴブリンに関しては冒険者のルーキーでも問題無く倒せる相手だが、バインドスネークとソードラビットは油断していなくても重傷を負う、もしくは殺されてしまう可能性だってある。

だが、冒険者としての期間はルーキーであっても、戦闘力に関しては達人と言える領域に達しているソウスケに敵うどころか傷一つ付けることは出来ず……文字通り瞬殺されてしまった。

攻撃手段は拾った石ころによる投擲のみ。

表皮が意外と固いバインドスネークに対しては念の為石に魔力を纏って投げたが、それ以外は石に何も仕掛けをせずに投げて倒した。

「やっぱり蛇肉も美味しいな。ただ……あんまり強いモンスターは襲ってこないな。いや、そこまで街から離れていないんだし、俺が強いと感じるモンスターがいたら大惨事だな」

現時点のソウスケが強いと感じるモンスター。
それはダンジョンの四十階層以降に出現するボスモンスターレベルとなる。

ソウスケが現在滞在する街を拠点とする冒険者達の質は低く無いが、それでもそのレベルのモンスター相手には対応が難しい。

「キキキッ!!!!」

「キッキ!!」

「ウッキッキーーーー!!!!」

「ウッドモンキーか」

木の上から三体ウッドモンキーがソウスケに向かって襲い掛かるが、事前に存在を知っていたソウスケは特に驚かない。

冷静に……両腕をウッドモンキーに向ける。

「圧壊」

次の瞬間、二体のウッドモンキーの頭部がグチャッ、といきなり潰された。
外から内側に向かって潰された仲間に驚き、視線がソウスケから逸れてしまうウッドモンキー。

「キキッ!!!???」

「おーーいおいおい、空中で跳んでる時によそ見はダメでしょ。タダでさえ移動方法が無いのに」

基本的にモンスターであっても空中で自由自在に動ける種族は多くない。
そしてそれにはウッドモンキーも当てはまる。

「圧壊」

先程と同じ言葉をソウスケ呟くと、ウッドモンキーは頭を潰された仲間と同じく頭部を潰されて残されたからだが地面に落ちる。

「相変わらず、結構反則だよなこのスキル」

ソウスケが過去にクラッシュベアを殺し、蛇腹剣で喰らったことで使えるようになったスキル、圧壊。
握力の上昇、だけでは無く離れた対象をも潰すことが出来る能力。

(もしこれを退治戦で使うとすれば・・・・・・ぶふッ!! そ、それは流石に可哀そうか?)

敵対する相手に対して圧壊をどう使用するかを考えると、真っ先に男ならば金的を潰すと思いついてしまった。
言葉を聞けばどのような技か予測出来るが、それでも初見殺しに近いこの技を防ぐ、もしくは躱せる者がこの世界にどれだけいるか……殆どの男の片玉が、もしくは両玉が餌食となる。

「危機察知能力に長けた奴なら躱されるかもしれないけど、初見の奴には効くだろうな。おっ、美味そうな実が生ってる」

以前に食べたことがある果物を見つけたソウスケはその場から軽く飛んで数個ほど実を取り、地面に無事着地する。
そして水を生み出して軽く洗い、風の魔力を使って器用に皮を剥いていく。

「あむっ……うん、美味い。こうやって採れたてを食べるのも良いな」

同業者から見れば今のソウスケは完全に気を抜きすぎている様に見える。
しかし、ソウスケのレベルを高さから考えれば死角から不意打ちを喰らっても大して効かず、異常状態を含む攻撃も蛇腹剣のお陰で耐性を持ってるのであまり効かない。

「ん? ・・・・・・あまりよろしく無い音が聞こえたな」

誰かがピンチになっている、という確証がある音では無いが気になる音が聞こえた方向に向かってソウスケは走り出した。
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